第44話回顧 4
ドーベルモンのアニメーション・デザインを最初に見た印象は、恐ろしげな顔つきながらも、ドーベルマン犬らしく忠実性を持っている――と感じた。マスターにただ従うのではなく、忠心で仕えているという様な。
リアル・ワールドで究極体進化させるには、まだ人間側の準備も整っておらず、デジタル・ワールド側から干渉しての支援しかない。だが現状のデジタル・ワールドでは四聖獣を筆頭に、デ・リーパーと生存を賭けた戦いをしている。
「人間と共に進化するデジモン」と、ギルモンやテリアモン、レナモンらを呼んだのは、チンロンモンとスーツェーモンだった。彼らの力を運んで貰う役割を、ドーベルモンに託した。
明治通り側からデッキに上がって来るグラウモン。
既にキュウビモンが何者かを襲うADRと交戦している。
あそこだ!
よーし! いっちょやっちゃうぞー!
ガルゴモン、グラウモンに飛び乗って――
いくぞ!ガルゴモン!
おっおー! ガルゴモン飛翔。
咆哮するグラウモン。
ガトリング・アーム!!
ADR-04はあまり強くはない様だ。
エクゾースト――
フレイム!
ADRが掃討されるや駆けていくキュウビモン。
狙われてたのは――、とジェン。
あれは……? 目を細めるタカト。
逃げていく向こう側からも現れるADR-04!
キュウビモン!
鬼火玉!
少女に襲いかかろうとしていたADRを掃討。
大丈夫かーっ!? と声を掛けるジェン。
だれ……? 誰なの!?
立ち上がって振り向く少女。
あっ――、違う……。
誰? と留姫も警戒。
円形ウィンドウ内にノイズ。
誰が通信してきているんだ!?
あ――と山木――
向こうで作業をしているワイルド・バンチの背を見る。
アーク……。と呟く山木。
ああっ!!
ドルフィン!
少女はウィスパーな声で――
デジモンと戦う、テイマー――。
ぼくたちの――、こと……?
探してた。
あんた誰なのよ!? どこから来たの!?
タカト!
どうしたの? グラウモン。
女の子の横にいるの、デジモンだ!
!
「デジタル・ワールドのテーマ」が流れ始める。
遠目には大型過ぎる犬。だが――
アリス――、この者たちなのか?
そうみたいだよ……。良かったね……。
ドルフィン! あなたが書いたアークのコア――。
そのプログラムは、デジモンのものだと言いましたね。
いや、デジモンそのものではない。デジコア――、
つまり、デジモンの最も基礎的な部分だけだ。
そのプログラムは……。
だが、それが自分の意思で行動した――。
アークに意思が生まれた。そういう可能性がある。違いますか?
デジモンは――
我々の思惑、設計を越えた何かを、予め持っていたのかもしれないなぁ……。
――ここでやっとアリスの写真が見える。が今話ではかなり角度がついている。
山木、ドルフィンのターミナルを操作。
アークはこちら側に何かを伝えようとしています。
なんだって!?
――一瞬映し出される、幽霊船の様になっているアーク船内――。だがまだ赤いコアの部分は生きている。
唸るドーベルモン。
それが君のパートナー?
この子は、ドーベルモン。
そっと体に触れる。ドーベルモンは心地よさそう。
この子がこの世界に現れたのは、ちょっと前の事。
来てくれて――、嬉しかった。
でも――、なぜここに来たの?
哀しい目になるアリス。
俺は、伝えに来た!
口パクせずに、台詞を言う。
伝えるって――
な――
激しい音と振動――!
何!?
ここからスペクタクル。
凄いピンチな場面なのに、「EVO」のイントロが流れ始めている。
危ない!!!
レーザービームの様に、デ・リーパーがビーム噴出。
鉄筋構造を一瞬にして熱し――
カットしていく。
走る亀裂。
遂にイーストデッキが崩落。
だーだだだだだだだ
だだだだだだだだ
姿を現すADR-05 Creep Hands。ADR-04 Bubblesと同じく荒牧伸志デザイン。
このアングルの画面を見た時の驚愕は忘れられない。テレビアニメの域を越えている。
でかい!
デザインを見た時、ここまで巨大だとは思わなかった。シンプルなライン、エネルギー供給源の共通性以外に、ADRシリーズに特別な共通点は3デザイナーによって特に設けられていなかったと思うが、板橋さんの色指定でこうした色味が共通されていた。
「EVO」はもう歌頭に入っているが、ここで進化バンク。ラピッドモン、タオモン、メガログラウモンの3連続。
留姫、アリスを庇う様に立つメガログラウモン――
その前にタオモン。
見上げるADR。
梵筆閃!
苦渋の顔。
タオモンに伸ばしてくる腕を――
くっ! とメガログラウモンが引き下げる。
ADR-05はあばら骨の内側はがらんどう。しかし――
メガログラウモンの頭部に激突してくる!
更に首を締め上げてくる!
ラピッドモン、決め技を――
ラピッドモンも掴まれてしまう!
異常に強い力で倒されるメガログラウモン。
うわあああああああああっ!
ラピッドモン!!!
やっぱり究極体に進化しないと!――とタカトは切実に――。
ここはデジタル・ワールドじゃない! ぼくたちがデータにならなければ一緒に戦えない!
だから、私が来たの。
この子を連れて――
ドーベルモン、なんでぼくたちが――
俺は伝えに来た。スーツェーモンとチンロンモンの命により。
ええっ!? 四聖獣!?
アークが伝えようとしているものとは、映像であった。
デジタル・ワールドから見たリアル・ワールド。しかし今、それをデ・リーパーが食らい付くそうとしている。
しかし、そここで戦火。デジモンが必死に戦っているのだ。スーツェーモンは四枚の羽根を取り戻せた様だ。
これは……!
アリス、ここまで連れてきてくれて、ありがとう。
アリスという名前はここで初めて呼ばれる。
もう……?
離れていてくれ、アリス。
目を背けるアリス。それまで聞こえていた騒音が一瞬かき消えて――
その背後で風が――
駆け上ったドーベルモン――
四聖獣はデジタル・ワールドでデジモンたちと共に、デ・リーパーと戦っている!
しかし! デ・リーパーの最も進化した部分が
この世界に来ているのだ!
お前たちが戦わねばならない! デジモンと共に戦うテイマーたちよ! 四聖獣からお前たちに力を伝える!
一瞬、子犬の顔になる。最初にアリスの前に現れたのは、こういう姿だったのかもしれない。
赤=スーツェーモン、青=チンロンモンの力の象徴。
二つの光の帯に分離。
ドーベルモン……。
なんだって!? とタカト。
デジタル・ワールドの力!? とジェン。
タオモンもADRに引き倒される。
早く! 早く何とかしないと!
そうだ! この世界では
ぼくたちが戦わなきゃいけないんだ!
メガログラウモン! 行くぞ!
ラピッドモン! タオモン!
! 顔を上げるタオモン。
ラピッドモン、メガログラウモンも必死に身を起こす。
D-Arkを高く掲げる三人。ここで44話は終わる。
貝澤さんが作ったオープニングで、第1話から描かれてきた「D-Arkを掲げるテイマーたち」という構図を、やっとここで劇中に採り入れられた。
ADR-04 Bubbles
ADR-05 Creep Hands
手はもっと人間らしい形に変更されている。腕がバネ状に伸びるというのもデザイン通り。デュークモン進化バンクのロイヤル・セイバーが成立するまでもこれに似た機構だったが、アニメでは腕が変形するという描写が多くなった。
前半は冷徹に客観描写。中盤では心温まる家族愛を。そして終盤は謎の少女とそのパートナー、とまではなっていなかったかもしれないデジモンによって得た力で、次回はやっとリアル・ワールドでの究極体進化を果たす。
アリス・マッコイというキャラクターについては、次回も少し登場しているので、次回のエントリで記そう。
私が今気になっているのは、ドーベルモンを応募してくれた人が、どういう思いでこの作品を観てくれたのか。テイマーズの物語ではこれまでだが、デジモンの中には残り続けている。
お二人は今話まで。ありがとうございました。
あ、アリスというキャラクターについては別に書くけれど、今話の声。聖子、ルミ子、レナモンが多い今話で、更に少女声。今井由香さんのこれはもうギフトとしか言えない。最初、関プロデューサーにアリスも演じて戴くと聞いて、内心どうなのかと思っていたけど、アフレコで仰天した。
タカトがD-Arkを掲げる前、絵ではそれほど高まっていないのだけれど、津村さんは目一杯の力を入れていたのが、見直すと印象的だ。そう、タカトはそういう高まりをしていた筈だ。
第三部に入って、アナウンサーといったキャラクターがクレジットされなくなってしまった。東映アカデミー所属の若手の方が、初期話数からずっと支えてくれていた。恐らくドーベルモンもそうなのだと思う。
内原戸教授は菊池さんが演じられたと思う。
#44 Credits
ギルモン~グラウモン~メガログラウモン:野沢雅子
松田啓人:津村まこと
テリアモン~ガルゴモン~ラピッドモン:多田 葵
李 健良:山口眞弓
レナモン~キュウビモン~タオモン/牧野ルミ子/秦 聖子/アリス・マッコイ
:今井由香 (実に今話は4役もこなされた事に)
牧野留姫:折笠冨美子
加藤樹莉(ADR-01):浅田葉子
松田剛弘:金光宣明
松田美枝:松谷彼哉
李 鎮宇:金子由之
李《柳瀬》麻由美:安達まり
ロブ・“ドルフィン”・マッコイ:菊池正美
バベル:乃村健次
アイシュワリャ・ライ(カーリー):松岡洋子
水野悟郎(SHIBUMI):諏訪太朗
山木満雄:千葉進歩
鳳 麗花:永野 愛
監査委員:佐藤晴男
土岐アナウンサー:宮下冨三子
クルモン:金田朋子
インプモン/ドーベルモン:高橋広樹
ナレーション:野沢雅子
※ドーベルモンのクレジットがないという。→Tweet(下記)で教えて戴いた。
原画:山室直儀 永木龍博 藪本陽輔
動画:小林美穂子 渡邊 渉
背景:鈴木慶太 佐々木友子 山田美奈子
デジタル彩色:村田邦子 鏡沼孝子 星川麻美 井浦祥子
デジタル合成:三晃プロダクション
広川二三男 則友邦仁 松平高吉 石川晴彦 花見早苗
演出助手:まつもとただお
製作進行:坂本憲知生
いつもありがとうございます。
— さくらえび (@1860830177) 2021年6月29日
ちなみにソースがWikipediaの情報しかないですが、ドーベルモンの声優さんはインプモン役の高橋広樹さんになっていました。
私が聴いた感じでも、凛として落ち着いた声色が高橋さんだなと主観的に思います。https://t.co/Rn8E1jal5X https://t.co/Z8FcWZ3Y70