Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

Digimon Tamers 2021

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昨日8/1、横須賀芸術劇場でデジフェス2021が無事に開催され、朗読劇「デジモンテイマーズ2021」も披露された。
8/7までは配信を見られる。

このイヴェントの事で連絡があったのは昨年12月。翌年8月に大規模なイヴェントを開催するというのは勇気がある決断だと思った。
昨年暮れの段階で、メディアの報道の調子は変わりそうになかったので、ほぼ予想通りな世間状況であり、想定内だったと思う。

デジフェスは東映アニメーションの企画部、イヴェント事業部が主催するもので、そこにバンダイなど各社が協力するという態勢。コアには過去から将来に続くデジモン・アニメというコンテンツが主軸にある。
これからの音楽業界なども、リアル・イヴェントが生命線になると言われており、こうしたイヴェントはアニメなどでももっと大規模に開催されていく――、筈だった。2020年までは。

オリンピックは無観客ながら開催されているが、ともあれこのお陰で都内のハコが悉く使えず、横須賀という、ちょっと都心からは離れた町での開催となった。

今更ながらに、なんで今年のデジフェスのキーヴィジュアルであるテイマーズの新規版権画がセーラー服姿なのか、やっと判ったという。

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この劇場は、当然であるが旧帝国海軍の施設があった場所に、地域サーヴィスの施設などと共に併設されていた。

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堂々たるオペラハウスであり、オーケストラ・ピットも備え、4階席までもあったのだが、収容人員は満席でも1800。今回は2/3程度に集客を抑えられていた。でもまあ大体、フロアは埋まっている様に見えたので、全く寂しい感じは無かった。


ダビング仕上げまで立ち合ったCDドラマと違って、今回の朗読劇は基本的には脚本を提供するだけを求められた。だが、色々とテイマーズ的な約束事があるので、音楽の選曲と効果音や場面転換の照明等について記したものを提出して、後は全てお任せしろという事に。

やはりちょっと気になったので、リハだけは立ち合わせて欲しいと申し出た。

本来ならリハ前に、関プロデューサーが軽く説明をするところなのだが、体調を崩されて当日は不参加となった。

幾つかの質問が演技陣からあって、それには答えただけで、後は黙って見ていたが、概ねは狙い通りになりそうだと思い、本番は少しゆったりと見られた。


そもそも論だが、実は多くの枷がこの出し物にはあった。
この朗読劇を含むイヴェントは、後にBlu-rayなどの商品化は出来ない、と聞いて愕然。

大体20数分程度の朗読だけで、起承転結あるものを描ける筈ないのだが、野沢雅子さんは事前収録とも聞かされ、頭を抱える。
CDドラマの延長で、概ねのキャストはそれがコアだが、インプモン~ベルゼブモンの高橋広樹さんは可能なら出して欲しいという事で、これも20周年というお祝いという面が奏功し、無事に出演が叶えられた。

プロットを書いてはみたものの、なんか足らないぞ、と。いや、ケンタやヒロカズ、マリンエンジェモンとガードロモン、リョウとサイバードラモン、何よりシウチョン――と、言い出せばキリがないが、ステージは同時に立てる人数がきつく制限されていた(感染対策として)。
しかし、もう一人だけ。テイマーズというシリーズには欠かせなかった存在、クルモンは?
と私が言ったら、関プロデューサーも「私もそう思った!」と同意してくれた。

トークショウの時、金田朋子さんがいるといないでは全然違うだろうと、ここは交渉をしてくれて、無事に出演が叶った。

トークショウで、私の長年の疑問はやっぱりそうだったのか、と判ったのが、クルモンが「ぴと ぴと ぴと」とか、夥しいオノマトペを発しているのは、やはり録音台本にすら書いていない、アドリブだったという事。
それを「あって当然」的な空気感だったのが、今思うと凄いなぁと感銘を受ける。
だから、クルモンというキャラクターは、多くの部分が金田さん自身で創ったものだと今は言える。

共通質問で、もしパートナーデジモンがいたらどれにするか? という無茶なものがあったが(だってテイマー役は他に選びようがない)千葉進歩さんがレナモンを挙げられていたのが面白かった。トークではレナモンのあれこれを褒められていたが、千葉さんはセイバーズのゲーム版で、レナモンを演じられている。テイマーズのとは別個体ではあるが。


さて今回の朗読劇は、本当はもっと、当時の録音スタジオ(旧タバック)の雰囲気に舞台を見せたかった。本来なら野沢さんがメッセージで言われていた様に、スタジオには三本のマイクが立っており、台本を持ちながら、役者さんは自分の出番になると、すっとマイク前に移り、終わると下がる。これが実に背後から見ていてもカッコいいなぁと思っていたので、これを再現したかった。

 

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しかし、感染対策としてマイクは一人一本となって、舞台上の動きも遮蔽板で閉ざされてしまった。
最後は、演技陣全員と会場と配信とで、一緒に「君も、テイマーを目指せ!」をやって貰いたかった。が、これも感染対策で発声はダメとなり、舞台も両袖から津村さんと高橋さんだけとなった。

が、それでもあれだけは出来たのだ。
この時節の自粛強要社会の中で、舞台のスタッフは本当に見事に実現させてくれたと思う。
劇中劇に入る時に、フィルム・リーダー(カウントダウン)が流れたのには感激した。デジタル製作になっても、これはリアルに使われている。

一応、リクエストはしたのだが、やはり金田さんを獲得出来たのが限界で、今回NYX(人工知性)役に、CDドラマで特別友情(つまり無償)で、デジモンアニメ愛から出演して戴いた藤田咲さんを招く事は出来なかった。
では今回誰が演じていたかというと、折笠冨美子さんが事前ではなくライヴで演じていた。スポットが消されて声もエコーが掛かる程度だがエフェクトが掛けられていたので、会場でも気づかれなかったのではないか。折笠さんには、快く演じて貰えて感謝しかない。

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今回、マリスボットの様な明確な「敵」を設定しなかった理由は、パンフレットのインタヴュウで答えている。
今のネット、を考えると、そのテクノロジーよりも、それの使われ方に問題が大きいのは明らかで、山木の怒りというのは私の抱えるものに重なっていた。
と言っても、あの朗読劇での「仮想敵」そのものは、今の日本ではまだそれほど大きな社会問題になってはいない。私が専ら持つものは、実は重なる面もあるが別なものだった。
だがそれをここで書いても色々迷惑を掛けるので、ここまでにするが、このエントリでは示唆している。

それと、今のデジタル庁の個人情報の取り扱いが問題なのも事実で、これを指摘するジャーナリストが殆どいないのも大きな問題だ。
日本でメジャーなSNSトークが、なんで流出するのか。その内容ばかりに関心が向けられるが、それがどうして流出したのかに関心を払うべきだ。

千葉進歩さんには、またも面倒な単語が並ぶ長台詞を喋って戴き、申し訳ないとも思っているが、久々の初期山木のテンションが見られて嬉しかった。

 

レナモンがいない以上、この「現代版テイマーズ」は2018と同じ様にしか終われない。
しかし今回は、ライヴで、フルコーラスで、AiMさんが「Days -愛情と日常-」を歌われた。
ライヴ・コーナーはこの後なのに、朗読劇終わりでいきなり入るという構成を承諾して貰えて有り難かった。
初めて生で聴いた「Days」は、想像よりもパワフルだった。2001~2002年頃の、和田光司さんと回られたライヴでも、こういう歌い方だったのだろうか、と想いが過った。

 

2018年にBlu-rayボックス発売が近づく頃、販促兼ねてミニライヴをやったらどうか、とハピネットに提言したのだが、あっさり却下されてしまった。しかし、デジフェスはその願いを半分叶えてくれた。
デジフェス2021のライヴは、宮崎歩さんが体調を崩されて欠席され、谷本貴義さんと太田さんが補填されたが、谷本さんがショー冒頭の「The Biggest Dreamer」、ライヴ・パートでは太田美知彦さんが「SLASH!!」、WILD CHILD BOUNDこと藤重政孝さんが「EVO」(朗読劇中の進化場面でライヴで歌って貰う案も初期にはあった)、谷本さんの「One Vision」、AiMさんが「My Tommorow」と、テイマーズ主要曲は全網羅されていた。

トーク・パートで高橋広樹さんが「Black Intruder」の一節を歌われるというサプライズがあったが、「3 Primary Colors」とか「夕陽の約束」とか「涙をこえて」とか山木の「Black X'mas」とか「小春とテリアモンのおっかけっこデュエット」とかとかとかの歌われるライヴが……、もうないかな……。

 

帰ろうと階段を降りていたら、大阪から一人で来たという若い女性から声を掛けられた。遠路はるばる来られた方々には心から御礼を。