第25話回顧 2
デジタル・ワールドにて、初めて他のデジモンと遭遇する一行。
ジェンがテリアモン・アイを通して――
メラモン、火炎型デジモン成熟期――。ジェン!とテリアモン。
必殺技は……、
マグマボム……。
あああ
飛来してくる小マグマ塊。
四散する一同。
直撃は――
辛うじて免れる。タカト、これ以上攻撃させまい、と睨むやすぐさまギルモンが反応。
ファイア・ボール!
ややカーブ軌道だがほぼ正確なコントロール。
着弾寸前に跳躍して逃れ――
たのではなくこちらへ跳躍してくる!
1秒未満のクローズアップ。
バーニング・フィスト!
留姫がレナモン!と叫ぶが、先にレオモンが――
獣王拳!
メラモン直撃。
決まった。
貝澤さんの「やる時はやりますよ」的なアクション演出は凄い。
ギルモン大丈夫?
なんでこんなところにおめーらみてーに強えデジモンが!?
さあ! ロードするなり何なり好きにしろ!
割と潔い性格。
デーヴァの命令で来たの? と訊ねるタカト。
デーヴァという言葉は知らないメラモン。
ん? お前、デジモンじゃないな?
え? ぼく人間だけど。
人間!? と驚愕。まさかリアル・ワールドから?
そう、クルモンを探しに来たんだ。クルモン?
で、こっちが探してるクルモン――
こっちはマクラモン。どう? 見た事ある?
うーん、と見入るメラモンを背後から見て
なぁ、パートナーとしてどうかなとヒロカズ。
いいんじゃない?強そうだし。でも……、熱いのは苦手だしなーとケンタ。
やっぱり見た事ねぇなぁ、と何故か江戸っ子な口調のメラモン。
でも驚いたぜ。
メラモンはレオモンらをうらやましがっている。本当にリアル・ワールドに行った奴がいるんだなぁ。
手を差し伸ばすメラモン。届かねぇんだよなぁ……。
ロードして強くなれば行けるんだろうけど……。
デジモンにとってリアル・ワールドは憧れる場所なのだ。
リアル・ワールド……。
空にはリアル・ワールド球まで何もない様に見えるが、不可視のレイヤーが幾重にも取り巻いている。一行がここに落ちるまでぶち抜いてきた障壁――。
どこの領域――。インプモンが――
落とされる。なんで俺をこんなところに……。
なんで――
インプモンは相当高いところから落ちたらしく、光跡が。
流れ星――?
でもどうしてだろう。なんでデジモンたちはリアル・ワールドに行きたがるんだろう……。ロードして進化して……。
しょうがないのさ、と起き上がるジェン。
デジモンたちはそういう生き方しか知らないのさ。
ぼくと出会う前の
テリアモンや――レナモン、レオモンも――
そんなの、辛いよ……とタカト。
ついギルモンを触るタカト――、しかしギルモンは鼻をひくつかせて
ん?
デジモン一斉に目を覚ます。ジェン、来るよ!
レナモン、素早くメサの上に登り――
凝視――。
このカットは本当に美しい。動いていると。
!
ジャガモン、植物型デジモン、完全体――
無数に群れを成している――
スタンピード。
こっちに来る! みんな逃げて!
レオモンは女子を担う。
レナモンはまだ眠っているヒロカズケンタを引きずる。
タカト急いで! ギルモン闘争モードに入ってしまう。自我が目覚めてからはデジタル・ワールドでの経験が全くないギルモンには、ここの法則も判らない。
群れの速度は速い。タカトはギルモンを引っ張り崖に登らせる。早く登って!
って言っていたら、ギルモンは先に登っていた。ジェンとギルモンに引っ張り上げられるタカト。
危なかった。
ねえ! あそこ見て!と樹莉が――
ジャガモンの群れに攻撃を仕掛けているメラモン。
防衛本能からか、群れが分岐しメラモンを飲み込んでいく。
わあああああ――。量子崩壊。
そんなぁ……。
仕方が無い。これがデジタル・ワールドの掟。
掟……。
これがデジタル・ワールドの……。
山木がデジモンをワイルド・ワンと呼んでいたのにも根拠があったのだ。
しかし、この世界はただ弱肉強食な自然界のメタファーでもない。ここにしかない要素はこれからも――
空間を泳ぐ、不思議な存在。マクラモンを追い払った光はこの存在たちによるものだった。うふふ、と笑っている様な声。
デジノームがこんなに早く出ていたとは記憶になかった。しかし有り難い。
クルモン、檻からすり抜けられる。
わああ!
でーた、でーたと喜ぶクルモン。
やっと起きるヒロカズ。ケンタを起こす。
周囲に、巨大な芽が出ている。
掴んで引き抜こうと――
メラモンの絵。第1話から、このシリーズはタカトの絵が牽引してきた。
積み石。メラモンを弔っている。 宗教的な意味合いはないので、祈りはしないのだが、しかし存在を失ってしまったメラモンを悼んでいる。この「メメント・モリ」の感情は、レナモンやレオモンはかつては持ち合わせていなかったものだ。
そして、この場面が印象づけるのは「デジモンの死」だ。安寧には再生しないというテイマーズのデジモンたち。この場面は私にとっては極めて有り難い描写だった。
と、やめてよーという声。
ヒロカズが引き抜いたジャガモン。何これデジモン? 弱そうな奴だなぁ。
留姫が昨夜の事で怒っている。何がやめてよ、よ!
こいつら夕べ、集団で私たちを襲ったのよ!
怖かったんだ! 怖かったから――
尚も怒る留姫にレナモンが諭す。先に手を出したのはメラモンだと。
ジェンはタカトに、クルモンの事を聞いてみたらと提案。こういうデジモン、見なかった?
ん?
特ちょう ちいさい くちぐせ「くるー」
見た事なさそう。
特ちょう さる
次々に顔を出して「見た見た」と言うジャガモンたち。
それいつの話? と聞くと「う~~~ん」
あんたたち嘘ついてんじゃないでしょうね!?
嘘って、なあに?
ねえ、どっちに行った?
ジャガモンたち、一斉にある方向を指差す。
ジャガモンは、やはり西部劇というよりもドキュメンタリーなどで見られる、バッファローの群れを表現するべくまさきさんが描いた。
この集合意識というかハイヴ・マインドは、2020年以来、こうなる様に我々が強いられている姿にも見える。
ジャガモンが差した方向――
突如地面から火焔が立ち昇る。
膨大なエネルギーで上昇していく――
マジラモン。辰のデーヴァ。その頭にマクラモンが乗っている。
障壁レイヤーを突き破る腕。
固唾を呑んで見つめるマクラモン。しかし――
宝玉檻は空になっている。
きいいいいいいいいっ!
なんたる事かぁぁっ!
ジャガモンたちは完全体なのに、どうしてギルモンたちは元に戻るんだろうという疑問を口にするタカト。
退化しちゃう、って事かしら?と留姫。
ジェンの見方は、完全体まで進化したら実質的には完全体のステータスにあるのだけれど、安定した姿を選んでいる――とか……。
ぼくはずっと、ギルモンの姿でいて欲しいな。
ギルモンはギルモンだよ? タカト。
そうだよね。
そうだよ。
突如、光の柱が接近してくるのに気づく。
速い。
逃げなきゃ!
逃げ遅れそうなヒロカズケンタ。
うあああああ
二人だけ違う方向へ走る。
バカ! そっちじゃダメ!
レナモン! とレナモンが留姫を抱いて――
ダッシュ! 留姫!とジェンが叫ぶが――
光の柱は方向を変えて、レナモンらの方へ向かう。
あああ!
ここで25話は終わる。
lainでは、ネットワーク世界(ワイヤード)に意識を転送する事を「メタファライズする」と表現していた。ネットの世界は全てが何らかを参照とした仮想世界だからだ。しかし肉体感覚までフルに転送するには(したいかどうかはさておいて)、相当な技術の進歩がないと無理だろうと、「抽象化」させていたのだ。
「lain」の岩倉玲音は「フルモーション・フルアクセス」という、この肉体全身転移をほぼほぼ可能にしたが、それには膨大な計算機環境とプシュケー・プロセッサが必要だった。3年後のテイマーズでは、魔法の様な感覚でそれを成立させる。小学生の冒険なのだから、あれこれ装備させる訳にもいかない。
しかし、テイマーズのデジタル・ワールドは決して、小学生が冒険するのに必要充分な範疇でデザインされてはいないのだ。それは追々と判ってくる。
#25 Credits
メラモン:小嶋一成
ジャガモン:小栗雄介
マクラモン:堀川りょう
原画:直井正博 福井智子 山口泰弘 田辺由憲
動画:柳田幸平 梅谷孝之
背景:鈴木慶太 佐々木友子
デジタル彩色:藤田 潮 徳永ゆき子 福田直征 金森真紀
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 則友邦仁 吉野和宏 中山照美
福井道子
演出助手:まつもとただお
製作進行:山下紀彦
お疲れさまです。
— まさきひろ(廣真希/広真紀) (@qeIQKOVicj9PIS9) 2021年5月21日
テイマーズでのデジタルワールド初出回なので責任の重大さにとても緊張しました。
もっとも、コンセプトが明確だったので、前作との区別化は苦にはなりませんでした。
むしろ、まだ誰も観たことのない世界を創造することが、とても愉しかったです。