第21話回顧 3
Act.3は、私個人的に最も笑って好きなシーンから。
公衆電話でジェンリャに電話するタカト。
延々と逃げるレオモンと追う樹莉。
レオモンさま~
え? 加藤さんがテイマー?
レオモン様、追い回す? ……それ、テイマーじゃなくって……、
聞いてみる。とタカト。
加藤さーーーーん
なーーにーーー?
恋した事あるーー?
あるー。
いつー?
幼稚園の時ー。
ありがとーー。
レオモン様~~~
初恋じゃないみたい。
初恋じゃないとすると、う~~ん。
判ったぼくも行く、となるのだが、ジェンリャのそもそもの発想もアレ。
こっちに来るって。留姫にも知らせよう。
その子、デジヴァイス持ってるの?
聞いてみる。
加藤さーーーーん!
なーーにーーー?
デジヴァイス、持ってるー?
持ってなーーい!
持ってないって。
それだけーーー?
それだけーーーーー!
レオモン様~~~~
デジヴァイス持ってないのにテイマーなんて、そんなのないわよ!
いいわ! その子に意見してやる。
留姫も来るって。
この公衆電話のシーンは破壊力が強かった。なんで声優の方たちは、今回は脚本も演出もいつもと違うっていうムードを見事に声で表現出来るのだろうと感銘も受ける。
茂みに折っていった樹莉、ややして悲鳴!
!?
逃げてくる樹莉。そして――
ズザーっと圧されてくる――
レオモン。クンビラモンが襲撃している。
このワンカットでいきなりアクション・モードに入ってしまうんだから凄い。
あのデジモンは!
さっき私の事を襲って――。
しかし、それは事実ではないのだが……。
少しもたつくも、表示される。クンビラモン、聖獣型完全体――
デーヴァだよ。ジェンリャが合流。
間合いをとる二者。
しばらく様子を見よう、と見つめる――、おや、マクラモンがすぐ近くにまで――
一度刃を交わしているので、互いの力量は判っている。
クルモンがレーオモン がんばーれ、と応援。
凝視するマクラモン。
見つめているのは、クルモン。
そう。最初マクラモンが現れた時は、テイマーとD-Arkに関心を持っていた。しかし、ヒロカズの手描きのカードでも進化が起こった事で、進化を促すパワーのコアはデジヴァイスではなく、この小さなデジモンに秘密があるのだと確信したのだ。
さっきの俺と思うなよ(相変わらずデーヴァらしくないな……)
六分身!(本来の設定は六芒星の結界に相手を閉じ込め、宝杵で潰す「クリミシャ」というのが必殺技らしいのだが、アニメではアニメらしい表現をする)
驚くレオモン。
六体に囲まれる。
どれもが実体の様に強い。レオモンですら苦戦。
レオモン様! 無駄だよ、とタカトが制する。
苦戦を強いられている。
貸して!
……!
――はい、と渡すタカト。
なんとここでスラッシュ・バンク 加藤さん編!
加藤さんがテイマーになりたがるのと同じくらい、スラッシュの演出はやってみたくなるもので、ここはやれて本当に良かったなというとこでした。
— 角銅博之 (@kakudou) 2018年2月9日
樹莉のモーションはタカト準拠だが、新作。
カードスラッシュ!(何をスラったか不明)
カードとD-Arkにフラッシュが起こらない。
「SLASH!!」のオケ、テープレコーダーの回転を急速に停止する様に終わる。
レオモンは今だ苦戦中。
――もう一度!
カード・スラッシュ!
するのだけれど……、
全くレオモンの支援にはならない。
私は……、レオモン様のテイマーじゃなかった……。
膝から崩れる樹莉。
加藤さん、と慰めているタカトを置いて、走り出すジェンリャ。飛ぶテリアモン。
ジェーン!
カード・スラッシュ! 超進化プラグインS! カードとD-Arkにフラッシュ閃光。
くっるー!
――これだ……。
テリアモン進化!
ガルゴモン!
進化の光が収束するや――
らっっ!
あいつ!
ハハハハハと笑いながら、まるでドリー(移動車)に乗っている様に後退。
さっと姿を消していく。
レナモン見参。
留姫、あの子――! そう言って追うレナモン。
どうしたの!? レナモン!
ダムダム・アッパーでクンビラモンを撃つガルゴモン。
倒れているレオモンの前に立ち、包囲するクンビラモンを威圧するガルゴモン。
レオモン、視線の先に――
落胆している樹莉――。
これは哀しい……。
加藤さん、あの子の為にも……
あいつを倒す!
だだだだだだだーっ
獣王拳!
獅子の炎が――
分身を焼き払い――
獅子王丸で――
クンビラモンを量子破壊!
戦いは終わった。加藤さんの涙が乾かぬうちに――
私は去る――
加藤さん、と話しかけるタカト。しかし――
一人に、してくれない、と樹莉。
テリアモン、帰ろう、とジェンリャは去って行く。
ギルモン、ホームに帰る、とギルモンも。
タカト、仕方なくギルモンを追う。
泣いている樹莉。でも――
その想いがあったからこそ……、
その後の展開があった。
デュークモンなども担当させていただいたけど、自分にとってテイマーズはまずこの回であります。アドベンチャーでも一回しか当たらなかった浦沢脚本のものすごさ。これきっかけでメガハウスからのレオモンがテイマーズとして出たのは嬉しいやらちと悔しいやら。
— 角銅博之 (@kakudou) 2018年2月9日
私はテイマーズが、ある面では“メタ・デジモンアドベンチャー”だと想定して、それは初期構成案から明記してある。
色々な偶然の巡り合わせで、浦沢さんの脚本を角銅さんが演出という布陣で、テイマーズのレオモンがこうして初登場となった。これもメタな感覚があって、やっぱり個人的に嬉しかったのを覚えている。
さてしかし、21話はここでは終わらない。
これは初めて見る東京の夜景。
お馴染みの都庁。この描かれ方だと深夜――。
ブラックな出向先で働くタオ。
タオを呼ぶドルフィン。
カーリーのディスプレイを囲んでいるワイルド・バンチ。
モニタに映っているイラストレーション。
D-Ark=テイマーズのデジヴァイスにそっくりな――
アークか!
懐かしいな、とデイジーを見るタオ。
しかしその時、激しい地震が起こる。
ビルが崩れる様な震度ではなかったが――
アークは、デジモンが棲息するネットワークと、それで遊ぶ子どものイメージ・スケッチで、アークとは子どもとネットワークのインターフェイスとして提案されていたデヴァイスだった。
D-Arkがどうしてああいう形状として具象化したのか、その糸口が示される。
あの絵には元となるものがあった。
アラン・ケイが提唱していた、「ダイナブック」という子どもの教育用デヴァイス。その概念図だった。1982年頃の構想で、当時は子どもがモバイルでコンピュータを触れる時代ではなかった。
後になって、Dynabookという登録商標を日本の東芝が買い取り、ノートPCのシリーズ名として用いていたが、もうそれも今は無くなってしまった。
やや後になって作られた、アラン・ケイのダイナブックのモック。キーボードもあるし、液晶はタッチ式でペン入力が出来るという、ほぼほぼ今のiPad+キーボード。
2020~21年の世界の事情で、子どもへの教育のツールとしてコンピュータが改めて必要性の高いものになったのだが、アラン・ケイはよりクリエイティヴな発想が生みだせる、プログラミングを遊び感覚で覚えられる様なソフトウェアを提案した。その理想は今も継承されていると、Twitterで教えて戴いて嬉しかった。
と、最後は蛇足的になってしまったが、浦沢義雄さんの脚本回、ご堪能戴けただろうと思う。
次回からはもう、前半部の終幕に入ってしまう。
#21 Credits
レオモン:平田広明
クンビラモン:宮田幸季
謎の少年(マクラモン):堀川りょう
加藤樹莉:浅田葉子
タカトの父:金光宣明
李ジャンユー:金子由之
ドルフィン:菊池正美
原画:ながまちよしや 原田節子 諏訪可奈惠 信実節子 兼高里香
動画:岸 祐弥 佐藤恭子
背景:徳重 賢
デジタル彩色:及川眞由美 小久保真希 金井八重子 関口好子
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 則友邦仁 吉野和宏 中山照美
演出助手:まつもとただお
製作進行:山下紀彦