Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

第25話回顧 1

 

デジタル・ワールド編は貝澤さんが、美術の渡辺さんと世界観描写の指標となる一話目を担当。とは言え今回の主舞台は物理レイヤーの荒野までなのだが。
まさきさんが「デジモンの野性」を描くシナリオを担当。作画監督は直井さん。

デジタルワールド突入! さらば僕たちの街

脚本:まさきひろ 演出:貝澤幸男 作画監督:直井正博 美術:渡辺佳人

 

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前話の突入場面のリプライズから、野沢さんのナレーションと共に「デジモンテイマーズのテーマ」が流れて――、《ゲート》を抜けた後、すぐにこのカット。

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インプモンが落ちていった、現世と向こうの世界の中間的な領域を歩いて行く。先に進むデジモン

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そしてテイマーたちが続く。

「レオモン様」のエントリで角銅さんが教えてくれなかったら、このタカトのフレームインする構図がオープニングと同じだなんて、気づかなかっただろうなぁ。いやはやぼんくらだった……。

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オープニングと全く同じ並びで三人がフレームイン。そして――

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眩しい――。樹莉たちはデジタル・フィールドすらも慣れていない。

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と、樹莉の手を掴んでくれる――

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留姫。テイマーはアイウェアを常備している。

ありがとう留姫ちゃんと樹莉。樹莉には「ちゃん」づけを許容している。

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普通に重力がある様だが――

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一瞬かき消えて――

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重力場が消滅。7話の《ゾーン》内と同じ現象。

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ねえ、どの方向に行くんだろう――?

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上? 下? それとも――

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レナモンは達観。どっちでも同じ事。

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知らない、って事?と留姫。

レナモンが言いたいのは、地面を潜ってはきたものの、リアル・ワールドとデジタル・ワールドは本質的に空でも地下でもない。人間もデジモンもデータ化しなければ行けないところであり、概念なのだ。

樹莉が、んーと、こっちかな、などと言うものだから――

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そっちの方向へと引っ張られていく二人。

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それを見た全員が同じ方向へと落ちていく――

ここでやっとサブタイトル。

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わー、と悲鳴を上げて落ちていくみんなだが、ギルモンだけ楽しそうに笑っている。

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落ちてるよ!? どうすんの!? モーマンターイ

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これは第1話でクルモンが逃げていたところ。

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プリント基板の様な地面に激突しそうだ。パニック。

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ダメ!

しかしそれは床ではなく薄いレイヤー。次々に突き破って更に落ちる。

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ギルモン必死に、パンが散らばったのを集めようとしているが――

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パンは全部落ちてしまった。

ぼくたちどこまで落ちるんだーーーっ!?

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衝突のショックはなかった。しかし赤土の様な地面に横たわっていたタカト。ここ、どこ……?

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タカトぉ、と哀しい声を出すギルモン。

パンみんななくなった。

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ここ……、

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上空に見える――

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まさかあそこから落ちてきたの?

衝撃がなかった割にはクレーターが大きい。

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高すぎるけど……。

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情報が膨大に流れている事を意味している幾重ものベルトが周回。

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手を貸そう――

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レオモンとレナモン、エスコートは完璧。

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想像していたのと違う――。

ジェンはどうだと想像していたのさ。

どうって――

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もっとデジタルな、ヴァーチャル・リアリティーっていうか……。

ご尤もな意見。荒野を漂っていく光のリング。

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西部劇に出てきたタンブルウィード(転がる干し草)の様な、ダスト・パケット。データ・パケットの残りかす。

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クレーターからギルモンを押し出す。

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それにしても広いよね……。

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あれは何だろう……。

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双眼鏡で見ている、裏返しの日本列島。

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リアル・ワールド球。こちら側から見た、リアル・ワールドだと教えるレナモン。

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やっほー! タカト何言ってるの?

と、ケンタが呼ぶ。記念撮影しよう。

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デジタル・ワールドに一歩を踏み入れた人類の記念にさ!

実は最初の人間ではないのだが……。

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集まるみんな。

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楽しそうにデジカメで記念写真を撮っているのだが――

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音楽はなにやら不穏。

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セルフタイマーをセットして――

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あーカメラがコケたというあるある。

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パンは失われてしまったけれど、山木のPDAは無事だった。

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なんだパンじゃないのかとしょんぼりするギルモン。

山木さんが、こっちと向こうで通信が出来るかもって言ってた。

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上部に大型の恐らくは無線モデム・ユニット。分厚くなっているのは大容量バッテリ・パックが筐体裏側についている。イリジウムなどの衛星通信電話は既にインフラが整っていた。しかしデジタル・ワールド内とリアル・ワールドで通信が可能なのか。山木は可能な限りの通信ソリューションを仕込んではあるのだが、どうも今は使えないらしい。

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すぐには繋がらない。でももしかして――

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あれ? とケンタ。録った筈の写真がまともに記録されていない。2001年のデジカメ普及機は130万画素程度のもの。

当然ではあるが、そう簡単にリアル・ワールドと通信出来る筈もないのだ。

 

世界で最初に廉価なデジカメを発売したのもApple Computer(スカリー時代)。QuickTake100という双眼鏡型のデジタル・イメージング・ペリフェラルとして発売。私も当時購入したが、何に使ったか記憶がない。高画質(といっても640x480 VGAサイズ)だと10枚も録れず、この時代はフィルム・キャメラコダックでデジタイズしたCD-ROMに焼いて貰うサーヴィスが、最も高画質な写真をデジタルで得られる手段だった。

2021年、既に5000万画素というのが中級機では主流となっており、更に最近のスマートフォンイメージセンサーは一億画素を越えるものすら、あるにはある(有用かは不明だけれど)。

 

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なーんだ、つまんないワン。

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デジタル・カメラなのに、デジタル・ワールドで使えないなんて――

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こっちも無理みたい。

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ジェンは、自分たちがそのままの姿で来られたのに何故か訝る。

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クローズアップになると、リアル・ワールド球は実にスペクタキュラーな景観。

渡辺佳人さんによる手描きのニュアンスある反転地球と、荒牧さんがデザインしたデジタルな帯の組み合わせは、想像していたよりも凄かったのだが、想像以上に手間も掛かったのだろうなぁ……。

しかし今見ても、テレビアニメでのデジタル的な表現としては、フル3Dよりもずっとアニメのキャラクターと馴染む表現だと思う。

serial experiments lain」以来、アニメに於けるサイバー表現をどうするかについて、テイマーズでもあれこれ苦心惨憺しながら提案していたのだが、まあ今なら普通に「じゃそれは3DCGで」となるのだろう。

 

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帰れるのかな?ぼくたち……。パペットに言わせる樹莉。

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みやるタカト。

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意気消沈している中、タカトが主張する。

なんだよみんな! 

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レオモンもレナモンも、ここからリアル・ワールドに行ったんだもの。

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大丈夫! だからクルモンを探しに行こうよ!

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そうだねとジェン。しかし宛があるの?とヒロカズ。
宛と言われても……。

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何かある! 留姫の声が上の方から。

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いつの間にか、留姫がメサ(頂点が平らな切り立った山)の上にいて、何かを発見した。

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遥か向こうに――

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目をこらすと――

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アンテナ群の様に見える。

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行ってみましょうよ。うん!

 

一方――

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クルモンの声とマクラモンの声が――

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切羽詰まっている。

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このままでは激突してしまう!

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予期せぬレイヤーの障壁に激突。

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マクラモンにとっては伏兵の様な障壁だった。これまでのレイヤーは難なくすり抜けられたのに、何故かこのレイヤーは強固に出来ていた。

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球状の檻籠がレイヤーの障壁に引っかかってしまう。

何が!? 如何なる力が妨げている!?

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すると、ホワホワと蛍の様な光が舞いだして――

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マクラモンには事態が掴めない。

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蒼白い光、指を刺激し始めた。きれいでクル。

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怒り出すマクラモン。追い払おうとするも――

何なのだこれは!? 我の手に余る!

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檻を掴んでいる手が攻撃され――

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ついに転落!

我等が神の力をお借りせねば! 待っておれよー!

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クルモンが嬉しそうにしているのは、マクラモンが離れたからというより、この小さな光がなにやら楽しそうにクルモンの周りを舞っているからだろう。

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新宿から池袋くらいは歩いたらしい。

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近づいてみると、それはレーダーなどではなく――

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落胆する一同。こ

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レオモンは、これらは元は人間の作り出したデータの残骸だと言う。

では元のデータの形は――と疑問を持つジェン。

樹莉がここでお昼にしましょうと提案。

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さんせー! でもタカト、リュックのパン全部こぼしたじゃない。

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ヒロカズや樹莉がお裾分けをくれる。

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何かが来るのに気づく。

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夥しい数の――

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ダストパケット。

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逃げだそうとするヒロカズとケンタ、レナモンに掴まれる。

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これはただのデータの残骸だ。

昔の西部劇で描かれたタンブルウイードは荒廃の象徴の様に見えたが、風に吹かれて転がる内に種子を蒔くという生態。ロシアアザミという種が主な様だ。

レナモン、来るのはこの後、と言う。

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向こうからどんどんと暗くなってくる。

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来るって、なっ、何が!?

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夜。

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あっという間に、そこは夜となる。

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夕方無しで夜? ここはデジタル・ワールド(二値)っていう事。

テイマーズのデジタル・ワールドをどう描こう、とブレイン・ストーミングしている時に、タンブルウィードや昼夜の区分というのが決まったのだけれど、誰の案だったのかは覚えていない。貝澤さんか、荒牧さんか――。

異世界ならば現実世界と時間の進行が異なっていて何ら不都合はないのだが、今作のデジタル・ワールドは現実と裏表関係なので時間の概念は必要だった。何を基準とするのかは明確にしなかったが、インターネットの標準時間表示はGMTグリニッジ標準時間)なので、恐らくはそれに従っている。

時計を持たずに洞窟内の居住施設で四ヶ月過ごすという実験がかつてあって、中で過ごした人は時間感覚を失い、実験終了時には二ヶ月しか経っていないと思っていたという。

 

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光の柱が動いている。

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何?

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あれはリアル・ワールド球からのデータの流れ、とレナモン。

あれに巻き込まれたら、どこに飛ばされるか判らない、とレオモン。

インターネットを可視化するものとしては、今はサイバー・アタック監視用ではあるが、こういうものもある。CYBERTHREAT REAL-TIME MAP

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光の柱に紛れて、メサの上を動く者の姿を発見する留姫。

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メサの上に光る人型の――

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メラモン!

 

 

デジタル・ワールド概念図は、Resourcesに置いてある低解像度の画像しか現存しないので、拡大しても辛うじて読めるかどうか。タカトたちが今いる階層が物理レイヤーの荒野。リアル・ワールドと直接やりとりをする最深層という設定。

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デジタル・ワールドから見たリアル・ワールドが球体になっているというのは荒牧さんのアイディアだと書いてきたが、それがいい!となったのは、地球空洞説という、まあ一種の与太概念(今尚信じる人もいなくはないが、近年はフラットアーサー/地球平坦説の方がメジャーになっている)として、構図的に判り易いと感じたからだ。地球空洞説の場合は、空洞の中心に小太陽があるという設定なのだが、すると夜はないという事に。

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