Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

第28話回顧 2

 

留姫パーティとタカトのパーティは合流するどころか、ここでも最後は分裂というカオスに。更にクルモンまでもがカオスを深めるという。

しかし、群像を分けないと今回の様にバトルもドラマも、というエピソードは作り難い。演出も作画も、常に全員となれば負担が大きいと考えて、デジタル・ワールド編の前半はこういう流れになっている。

 

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サイバードラモンの後方に立つテイマー――。

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尚も攻撃するサイバードラモン。

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険しい表情になり、歩み出す。

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やめろと言ってるんだ!

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デジヴァイスをポケットから出して握る。

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呆然と見つめるヒロカズら。

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おもむろに、光の縄をデジヴァイスから突出させて――

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サイバードラモンの腕を縄で縛る。

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歯を剥いて反抗する顔。

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しかしテイマーも負けていない。

もういい! それはお前が探している敵じゃない!

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煩悶するも――

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腕を降ろして抵抗を止める。

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光の縄を収めるテイマー。

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つかつかと近づいていく留姫、険しい顔。

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ひゅう、と汗を拭う――

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近づく留姫に気づき――

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危なかったね、と笑みを浮かべる。

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きょとーん

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俺、リョウっていうんだ。よろしく、と無理矢理握手。

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はぁ?

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大丈夫かい?とキュウビモンに問うリョウ。頷くキュウビモン。

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口惜しい留姫。しかしリョウは構わずに続ける。

気をつけた方がいいよ。テイマーと一緒にいるデジモンをロードすると、リアル・ワールドに行けるようになる――、そういう伝説が信じられているんだ。

それならもう聞いた!と強く返す留姫。

クロックモンが、ハグルモンが壊れたというと、

あ、そうだったな、と落ちていた歯車を――

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ハグルモンの口の中へ。

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おッ あッ!?

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どうだ、元通りになったか?

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リョウ、また助けてくれたんだね、ありがとう!

もう悪い奴はやっつけちまったから安心しろ、とリョウ。

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それと、とフォールディング・ナイフを出して――

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時計盤に突き刺して秒針を止める。

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小世界中の歯車が再び回り出した。

リョウはふとリアル・ワールドを見上げる。

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これでいいだろう。

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みんな心配してるといけないから、もう帰れ、とハグルモンらに。

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ねえリョウ、ぼくもリアル・ワールドに行けるかな?

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ああ、強くなったら行ける様になるさ。

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帰って行く時計デジモンズ。リョウはやっぱりカッコいいなぁと言いながら。

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陽に焼けた肌、輝く白い歯、さわやかな笑顔――。なんなの、この異様なまでのさわやか光線。あームカつく……。

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ひょっとして、秋山遼さんじゃないですか?

やったーーーー!

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どうしたの?

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やったぜ、デジタル・ワールドまで来た甲斐あったよ、とヒロカズ。

伝説のテイマー、秋山遼に会えるなんて感激だー、とケンタ。

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感激なのは俺もさ。いつかはここで人間の子どもに会えると思ってたけどね。

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俺たちだけじゃないっす! 他にモ仲間がデジタル・ワールドに来てます!

リョウは中学2年生の設定で、ヒロカズらより3歳上。

 

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ギョベクリ・テペの様な遺跡で、レナモンの気配が消えていた。光の柱にさらわれたのだが、それを察する者も。

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ね、あれ何?と入り口らしき孔。

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樹莉の提案で中を見てみる一行。

留姫たちはいない様だとレオモン。

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何これ?

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ぽっかりと開いた――

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加藤さん、なんかごめんね……。こんなところまで来させちゃって……。

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何言ってんの! 私だってレオモンのテイマーよ、とにっこり。

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安堵するタカト。

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テリアモンが匣の中で跳ねると、匣自体が揺れる。

何か変な感じー。

何か楽しそうと、樹莉、タカトも中に入ってみる。

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レオモンもどう? と樹莉に言われて、わ、わかった……。

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レオモンも乗れるサイズではあったが――

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何か、乗り物みたいな感じだね、とジェンが言う。

乗り物?と一同が復唱すると――

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いきなり匣が凝集。

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タカトらを乗せたままコンパクトなサイズに圧縮される。

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突如、速いスピードで移動を開始。

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中は無茶苦茶に圧縮されているものの――

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匣は暗いルートを抜けて――

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ステンドグラスの様な光の世界へ――

 

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マジラモンが索敵中――

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マクラモンはマジラモンを手下の様に扱っているが、同じデーヴァ。

我らが神の怒りを畏れるならば、いち早く《それ》を見つけん事を……。

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クルモンを探しているのだが――

 

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一方、旗ポイントにはクルモンが来ていた。のーび、のーび、のーび(意味不明)

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んん~? タカトたちの旗くりゅ。ギルモンに会いたいクル。

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これがあれば、きっとギルモンに会えるクル!(いやいや)

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旗の竿を、抜くからほらほら風に飛ばされる……。

 

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夜、焚火を囲む留姫パーティ+リョウ。これまでの経緯を話していた。

そうか……、早く仲間と会えるといいね、とリョウ。

そうなんですけど、どこがどこだかまだ全然判らなくて、とケンタ。

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そうだ、今何月?

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え、今? 10月ですけど。

じゃあ10ヶ月もデジタル・ワールドを旅してるんだなぁ、俺、とリョウ

リョウさんはどうしてデジタル・ワールド来たんですか? とヒロカズ。

それは――

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こいつ、サイバードラモンとの出会いがあったからね。こいつは獰猛でどうにも手がつけられない。

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現実世界でとても一緒に生活出来るデジモンじゃんなかった。

その獰猛なデジモンとパートナーシップで結ばれてるんですね、凄いなぁ!

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留姫の呟き。

何よ、こんなとこ10ヶ月もぶらぶらしてるなんて、結局自分だってここからどうやって出たらいいのか判んないんじゃない。

キュウビモンが、留姫と諫める。

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留姫、どうしたの、怒ってるの?とケンタ。

留姫が怒るのも無理ないさ、と立ち上がるヒロカズ。
留姫が準優勝しか出来なかった大会で、優勝したのがリョウさんだからね! デジモン・クイーンつったって、それはリョウさんがいなくなってからの話だ。

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何よ、それじゃ私がこいつより弱いみたいに聞こえるじゃないのよ!

今村演出の特徴が、すごい引きのカットと、そしてこの人物の前にナメを入れる構図。今回は炎で、留姫の心を表しているかの様。

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だって、留姫は準優勝――とヒロカズはくどい。

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そういう台詞はもう少し強くなってから言いなさいよ! いつもいつも私の足手まといにしかならないくせに!


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そう言えば一緒に戦ったっけ? リョウは記憶にないらしい。

私は覚えてないわ、と留姫。

君さ――、 

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何よ!

仮にもさっき助けたじゃん。何か言う事あるんじゃないの?

助けて欲しいなんて言わなかったじゃない。

あそう。ま、いいや。

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全然良くない!と心で言う留姫。

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ここ(この世界)は上へは出られないというリョウ。サイド・ルートを抜けて隣の空間に行くんだ。 

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ここにずっといる気がないなら、俺と一緒に行かないか?

ヒロカズは勿論同意。ケンタが、留姫は?と訊くと――

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上へ出られない、ってどうして思うの? 私は出られると思うけど。

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何も知らないくせに。ここはね――

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キュウビモン、行こう。

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あ……、

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ったく何だよあいつ――。

ほんっっとむかつきますよね、あいつ。ちょっとカードが強いからって、と調子に乗っているヒロカズ。

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でも、一人で大丈夫なのかなぁ、とケンタ。

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ここで迷ったら、大変な事になるのに……。

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全く意地っ張りめ――。

 

 

と、留姫と抜き差しならない緊張関係がリョウとは生まれる。既にしてテイマーズの物語に存在感を提示している。今後も、デ・リーパー編から最終話までリョウはテイマーズの一人となる。

一方、サイバードラモンを充分に描けたかというと、これはなかなかアニメでは触れ難い設定がゲームの方にあった。サイバードラモンはまだ見ぬ、自分が倒さねばならない敵という存在を探し続けているというデジモンで、それをアニメで軽くは扱えないと考えた。しかしワンダースワンでも、モノドラモン(サイバードラモンの成長期)とパートナーにはなるものの、その結着までは描いていない様だった。だから、アフターCDドラマ「メッセージ・イン・ザ・パケット」で、リョウに、お前の本当の敵は、実はお前の中にいるんじゃないのか、つまり、自分の影を探しているんじゃないか。だったらもうそんな事を目的にするのはやめた方がいい、という趣旨のメッセージを書いたのだった。

「メッセージ~」については、各話回顧の後で詳しく触れる。(既にシナリオは公開している)。

 しかし、サイバードラモンという獰猛なパートナーを調教するという意味で、リョウは「テイマー」という称号に本来相応しいキャラクターなのだった。

それと、デジヴァイスがアドベンチャー/02のものであると、カード・スラッシュが出来なくなる。つまりリョウ用のD-Ark(独特なカラーリング)が設定された事で、《テイマーズのリョウ》はかなりテイマーズ寄りに、というよりはまさにテイマーズのキャラクターになったと言える。

いきなりのアフレコ参加だったが、金丸淳一さんはそれまでのテイマーズのキャラクターとは全く違うトーンの演技をされて、新しい風を吹き込んでくれたと思う。

世田壱恵さんはこれまでもデジモン役で出演されてきている。テイマーズではサンティラモンもそうだった。「ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー」では、八百屋さんの役を一年間演じて戴いた。

 

 

 

#28 Credits

マクラモン:堀川りょう
メガドラモン:柴山由崇
クロックモン:小栗雄介
サイバードラモン/ハグルモン:世田壱恵
秋山 遼:金丸淳一

 

原画:原田節子 信実節子 芹田明雄 兼高里香 キリュウ 稲田真樹 関 暁子

動画:馬渡久史 山口幸俊

背景:スタジオロフト 井上徹雄 阿部とし子 劉 基連

デジタル彩色:戸塚友子 鳥本佐智子 大谷和也 井浦祥子

デジタル合成:三晃プロダクション
       広川二三男 則友邦仁 山口博陸 清水正道 緒方美佐子

演出助手:まつもとただお

製作進行:山下紀彦