第47話回顧 3
ADR-07 Paratice Head、どういう意図でこう命名したのか全く覚えていない。口がいっぱいあるという渡辺けんじさんのデザインを見て、今話の「運命」連呼が言わば最強の武器として使われている。
驀進するヒュプノス車。
ゾーンを封鎖している警察官が制止するも――
突入。
お宅の車でしょう!? 理由を説明してください!とクレームの電話を受けている山木。
車、なくなってました!
俺が鍵、付けっぱなしにしていたせいで……。
御連絡、ありがとうございました、と言って電話を切る山木。
すいません、と謝る剛弘。
一体誰が……?
それは肇であった。樹莉、樹莉と娘の名を呟いている。
寄れる限界で車を止めて――
ゾーンのすぐ前にまで進む肇。
暑くて――
上着を脱ぎ捨てる。
樹莉ーーーっ!
大声で何度も呼び続ける。
超高層ビル群の間で谺する肇の叫び。
!
くりゅ!?
誰かジュリを呼んでるでクル!
しかし樹莉は反応しない。
激しく反省をしている。
――樹莉の母親が亡くなった直後の回想。
俺は不器用だから……、
ここからは41話の時制。麗花が子どもたちがデジタル・ワールドから帰還するという連絡を受けた時の肇。
伝えてください。あんな勝手な娘、帰るんなら一人で帰って来いと。
なんでしたら、私が迎えに……、
そういうのはやめてくれ、って言ったろう。
……。
甘やかすと樹莉の為にならねぇ。それが樹莉の為、お前(静江)の為なんだ。
――なんて言っちゃってよう……。(現時制のモノローグ)
涙を流している肇――。すると――
運命――運命――運命――
樹莉の声が聞こえてくる。
涙を拭う。
樹莉か!?
見回すも、ゾーン内は見えない。
加藤さんのお父さん! タカトたちが駆けつける。
皆が集まった事に驚く肇――。
その時、ゾーンから突出する巨大な――
巨大なるADR-07 Paratice Head。
運命――運命――運命――
4画面分縦長パン。
そ、その声――、どこにいるんだ!? 樹莉ぃいいいいい!
違うんです! デ・リーパーは加藤さんの声を盗んだんです!
驚く肇。
ADRを睨みつける。
運命――運命――運命――
加藤さんの声で言うなぁああああっ!!!
タカトとギルモン、合図もし合わず同時に飛び出そうとする。
待って!
腕を伸ばしてくるADR。
剛弘を狙っていた。
蠕動運動をしながら――
ビデオキャメラと思しきものを突き出す。
これ、設定的には42話の陸自隊員がリーコン任務で向かった時に奪われたキャメラなので、本当はIKEGAMI辺りの業務機なのだけれど、これは家庭用カムコーダーに見える。
右左のアングルから肇の顔を観察している。
デ・リーパーが無機的に言う。樹莉の声をやや低く加工されている。
加藤樹莉のメモリーと照合。
アナログ・ノイズ。
赤黒いものが湧き上がるインサートを抜いて、冒頭の悪夢場面を高速逆転再生。
冷ややかに、亡くなった母を見つめる父の顔――。
検索完了。加藤肇、有機体。
人、お父さん――
テイマーがD-Arkでデジモンをデータベース照合する場面と対比されている。
おとう、さん……?
動きが鈍くなった。
どうしちゃったの?とギルモンが訊く。
レナモンが答える。
学習している。デ・リーパーにもデジモンにも、親子の概念はないから。
学習って!
別のメモリーから検索。
24話「旅立ちの日」
頼むよ、おい――、樹莉を返してくれ!
土下座をしている肇。
大切な娘なんだ! 俺が身代わりになるから! なあッ!?
処理を中断。
採取した加藤樹莉のメモリーと、著しく矛盾――
激しくブレだすキャメラ・アーム。このカットだけ画像加工した。
なぜ――なぜ――なぜ――なぜ――
留姫が叫ぶ。
判るわけない! お前なんかに樹莉の気持ち、判るわけない!
なぜ――なぜ――なぜ――なぜ――
デ・リーパーの本体であるゾーンが激しく反応。
キャメラを収納し――
腕を引き上げていくADR。
待て!! 娘を返せ!!
肇、ADRのアームに飛びつく。
愕然とするテイマーズ。
激しく揺さぶられている。
レナモン!
うん!
マトリックス・エヴォリューション! 「One Vision」サクヤモン・イントロ版。
進化バンクは略。
振り落とされる肇。
サクヤモン飛翔。
肇を助け出す。
くりゅ! じゅりのお父さんでクリュ!
クルモンは肇を知っている。
チックの様に目蓋を震わせ――
見ようとする樹莉。
おとう、さん……?
ADRのキャメラ映像は、カーネル内でも同時にワッチされていた。
お父さん……。
加藤樹莉の思考、アクティヴ・モードに移行したのを検知。
メモリー採取開始。
やめろぉぉ! それ以上加藤さんの心を覗くなぁああああっ!!!
タカトの渾身の叫びはメギドラモンの時以来のテンション。
マトリックス・エヴォリューション!
進化したデュークモンに腕を差し出すADR。
ロイヤル・セイバー!
一旦は消失する腕だが――
すぐに新たに再生。
全身を掴まれてしまう。
「口」の器官だった黄色いボールが次々と落ちてくる。前半でジャスティモンを襲ったのはこれだった。
次々と落ちてくるボールに殴られるデュークモン。
一連の出来事はワイルド・バンチもモニタしていた。
どうして親子の情などを、デ・リーパーが知りたがるの? 全てを無にしたいんじゃなかったの? とカーリー。
怖いのさ、とSHIBUMIの声。
意外な答えに山木も反応。
ぼくたちもそうだろう? 未知なるものの恐怖だよ。
――そうかも、しれない、と言うタオ。
まぁだあ??? 猛烈に焦れているテリアモン。ジェンのD-Arkがまだ返されてない。
みんな戦ってるのに~。早く行かないとぉ~。
どれどれ? とモニタを注視。
From::Digital World To:Real World Progress:70%
ジャスティース・
キーック! デュークモンが救われる。
ジャスティモン!
こいつ手強いぞ!
判ってる!
サクヤモンが加わり、人型3究極体が並ぶ。
行きましょう! とサクヤモン。
うん!と答えるデュークモン、ジャスティモン。
跳躍! (無加工)
尋常でない数のボールが落ちて――
三体とも掴まれてしまう。ここで「One Vision」がなくなる。
デュークモンたちが!
クルモンが叫んでいる。カーネル内にも映っている。
呼吸が荒くなるも――
がんばるでクル! でゅくもん、サクヤモン、ガードロモン!
無理。
くりゅ?
だって――、運命だから。
運命――運命――運命――運命――
運命は変えられるんだってば!
しかし――
四肢を裂かれそうになるサクヤモン。
怪物と思っていたデジモンが、娘の為に戦っている――。それをやっと理解した肇。
ヒロカズが駄目!やめて!と制止するのを振り切り――
最後のヒュプノス・モバイルラボ車、全損。
どうだ!化け物!
しかし、そもそもADRは接地すらしていなかった。
悔しがる肇。
三体を急に放り出すADR。ADRのターゲットは肇に切り替わった。
肇に襲いかかるボール。
一瞬で起き上がって――
あああ、と声を上げる肇。その目の前で――
デュークモン、ボールの集中攻撃を受ける。
あやとりをする様に揺さぶるADR。