第51話回顧 1
子どもたちとデジモン、そして大人たちがデ・リーパーとの最終決戦に臨む。シナリオは2稿が決定稿になっているが、明らかに長い。梅澤さんは苦労されたと思う。要素的には何一つ落とす事なく、後半の余韻の部分も含めて最終話らしく仕上げて戴いた。
作画監督は出口としおさん。田辺由憲さん、藪本陽輔さんが作画を担当された。美術は清水さんという最終話。
シナリオタイトルは「夢見る力こそ 僕たちの未来 The Biggest Dreamer」。
放送は2002年3月30日。
夢見る力こそ僕たちの未来
脚本:小中千昭 演出:梅澤淳稔 作画監督:出口としお 美術:清水哲弘
前話リプライズ、ダイジェストの後、クリムゾン・モードに進化する場面に直結してのサブタイトル。「One Vison」はサブタイトル後もずっと続いている。
カーネルに囚われている樹莉を救うべく、白い羽根で上昇していくデュークモン・クリムゾン・モード。キャプチャは、誇張されたマザー3画面分の縦パンを繋いだので、飛翔するデュークモンが3サイズ分入っている。
ここが歌頭。「光を放つ身体が――」
加藤さん! 待ってて! もうすぐ迎えに行くから!
クルモン!こっち来て!
クル……。
青白い炎がカーネル内に。
D-Arkを握りしめる樹莉。
私、いつまでも泣いてなんかいたくない!
急速に上昇するデュークモン。
頼んだぞ! セントガルゴモン! サクヤモン! ジャスティモン!
前話でダメージを受けたかに見えたリーパーだが、依然活性化している。
巨大な鎌が寄せ付けない。
くっそー! とセントガルゴモン。
バーストショット!!
全門開放!
集中砲火を浴びせる。
苦悶するかの様な声を上げるリーパー。
大丈夫か!? テリアモン!
大丈夫だけど、今ので全部弾がなくなっちゃった!
セントガルゴモンに「テリアモン」と呼ぶのは初めて。シナリオではセントガルゴモンだった。
梅澤さんの意図を測るに、ジェンにとってあくまでやはり、テリアモンなのだ。声がデュークモンやサクヤモンと違って、テリアモンは進化してもテリアモンらしさを消さなかった。最も外見が変化するからこそ、そうなるべくしてなった措置だった。
全弾アウト。ジェンは苦渋。
もう打つ手はないのか!?
あまりに巨大なリーパーと対峙するサクヤモンとジャスティモン。
サイバードラモン! とリョウの切羽詰まった声。
判った!
ジャスティモン、トリニティ・アームでクリティカル・アームを蒸着。
サクヤモン――
君の力の全てを、俺のブレードにぶつけてくれ!
何をバカな事を!
そんな事したら、あんたたちの身体、どうなっちゃうか判ってんの!?
一人の力じゃ奴には勝てない。でも――
ジャスティモンのブレードに、サクヤモンの力を全て注ぎ込む事が出来れば――
奴をぶち切れる!
だから! あんたたちが危ないって言ってんのよ!
――それが俺たちに残された最後の手だ。――頼む留姫。
――一番、無茶するの、やっぱあんたじゃない。
初めて褒めてくれたね。
ジャスティモン、サクヤモンに向き――
ブレードを掲げる。
いいの? 留姫。
私たちは勝つ為にここにいる! リョウ、ジャスティモンを信じる!
金剛界曼荼羅、ここまではバンクだが――
ここから新作。
自らを結界に封じ込めて――
外装が量子分解していく。
効果音も抑えめで、「サクヤモンの唄」がほぼフルに聞ける。
進化バンクの中間で描写された、外殻のない黒いボディ・スーツの状態。バンクを見ている内に、こうした描写が出来ると考えた。
リョウ、受け取って!
「One Vision」の落ちサビ(曲が盛り上がる直前に、オケが静かになるというアレンジ)の部分から再び流れ始める。
全ての自身のパワーを封じた結界の中のサクヤモン――
留姫の後ろ姿になって、クロスリング状にパワーを変換――
苦悶するリョウとジャスティモン。サクヤモンの全パワーは、受けとめるだけでも困難。
ジャスティモーン!
これがお前の戦いか。――絶対に勝て!
ん!?
マザー・タワーの中層から飛び出すADR-06 Horn Striker。ジャスティモンが苦戦したADRが何体も。
どうしても邪魔をする気か!
レオモン――。私やっと判った。
D-Arkの液晶からオレンジ色の光が――
私の運命は――、私が決める!
D-Arkから凄まじいオレンジの光――。
天井に光が当たり――
インビンシブル・ソード一閃でADRを斬り捨てていく。
ジャスティモンの方を見るデュークモン・クリムゾン・モード。
サクヤモンのパワーを、ブレードに集約する事が出来た。
サクヤモンの力! 確かに受け取った!
後は、任せたわ。
サクヤモンは見守っている。
ジャスティモンが飛翔するや、サクヤモンが力を失って崩れる。
留姫、大丈夫?
力、使い果たしちゃったね……。
カーネルの天井を穿つ事に成功。
やったクル!
レオモンが助けてく――
はっ!?
スフィアの割れたエッジが、デ・リーパーの本質であるゲル状のものとなって中に落ち込んでくる。
右手にはブルトガングを持ち――
樹莉ぃいいいいっ!
無双状態で殲滅し、樹莉を救うべく天頂へ向かうが――
おあっ!?
カーネルが割れている。
加藤さん!?
「One Vison」はちょうど、サックス・ソロの間奏がここまで流れていた。