第50話回顧 4
デュークモン、サクヤモンがいよいよとマザーのカーネルに向かった瞬間――
マザーの頭部が――
眩く輝く。
凄まじい圧を伴っている。
うっく!
その光が――、地平のある部分を変形させ始めている。
それに気づくセントガルゴモン。
陥没していく。
なっ、何が始まるんだ!?
どんどん深くなっていく穴。
黙ってそれぞれの仕事をしているワイルド・バンチとヒュプノス職員。
そっと覗いていたシウチョンとロップモン。
ロップモンも行きたいんでしょう? とシウチョン。
テリアモンたちは、人と共に進化した究極体。ぼくにはそこまでの力……、
ない、とうなだれるロップモンを慰めるシウチョン。
はっ!?
山木室長!
こ、これは一体――、
山木、来て――
繋げやがった! 遂に!
えっ!? と見る麗花。
デ・リーパーは、デジタル・ワールドとリアル・ワールドを地続きにして、全てを消し去ろうとしている! 我々の予測通りに――。
だが、このトランスフォティック・エディ、超高速渦こそ、デ・リーパーを退化させる切り札だ! ドルフィン!
オペレーション・ドゥードゥルバグを開始する!
ヒュプノスのロゴが広がる。
麗花! シャッガイ・カーネル3.2! ブート!
シャッガイ!?
かつてのシャッガイは、ヒュプノスの巨大なリソースを投入し、ダークリザモンを分解したタンクを餌に、ワイルド・ワンを一網打尽にする計画であったが、スーツェーモンによって逆に利用され、デーヴァによる侵攻を許してしまった計画だった。山木がポストを放棄している間に再試動が試みられ、デジタル・ワールドに嵐を巻き起こしてもいた。
以前のシャッガイではない! 人類の力を見せてやる!
頷く麗花。山木の本気を見た。
シャッガイ、ブートしました!
でも――、ヒュプノス(システム)もないのに――
今、この筑波にあるのはプログラムのみ。ヒュプノスのリソースもマシン・パワーもデ・リーパーに食い尽くされていた。
!
モニタを凝視しているジャンユー。鬼気迫る表情。
怯むな! 行くぞ!
デュークモンに続いてジャスティモンも駆け出す。
ジェン! セントガルゴモンが異常を知らせる。
あれは――!?
地獄の底から響く様な、おぞましい音――
何かが上昇してくる。おおおおおおおおおおおおんんん
ん? と振り向く。
穴から既に瘴気が立ち上り始めている。
何が出てくるんだ!?
奈落から駆け上ってくる無数の――
私を許してくれとは言わない!
ジャンユーは誰に謝っているのか。それは次話で明らかになる。
コマンドを打とうとしているドルフィン。
Let's Go.――、この台詞は映画「ワイルド・バンチ」のウィリアム・ホールデンが最後の対決に向かう時のもの。しかし「レッツ・g」までしか言えなかった。
その時! 恵の声。
デ・リーパーの中央の孔から――
何か巨大なものが――、急速、上昇中!
何だとッ!?
巨大な孔が開くまでは想定していたが、これは想定外の事態だった。
3DCGで表現された、ケーブルの束。一本一本が意思を持っているかの様に蠢きながら高く登っていき――
ディゾルブで作画へ。
無数のケーブルが束ねって形成される――
咆哮するReaper. またの名をケーブル・リーパー。
デ・リーパーのルックをどうしようかと各専門部署デザイナーに集まって貰った時、渡辺けんじさんがサラサラと描いたものを、中鶴さんがその場で手を加えたのが原型。このケーブルの束という表現が面白くて、カーネル内の最後の設定、のみならずケーブルが物理攻撃を仕掛ける48話などの描写が生まれた。だからこれはあくまでケーブルであり、触手ではない、と20年間言い続けたのだけれど……。
呆然としているセントガルゴモンとサクヤモン。
――何、あれ……。私、怖い……。
巨大な声で咆哮。
想わず目を伏せ耳を塞ぐ留姫だが――
怖くなんか――
ない!
セントガルゴモンを狙って首を下げてくる。
デカ過ぎだってば!
いかなる敵であろうと、このデュークモンは絶対に負けはしない!
ワンカット。
まっ! 待ってデュークモン!
だが目にも留まらぬ速さでセントガルゴモンの前の飛び抜け――
ファイナル――
エリシオン!!
このカットは凄い。パワーの激しさを表現するキャメラぶれが極大で、フレーム外まで動かしている。まるで昔の8mmフィルムがパーフォレーションを外れた時の様。
デュークモンの最強必殺技だが――、リーパーは吸収するのみ。
ん!?
ケーブルの先に、死神の鎌がついた腕が――
突如デュークモンの真上から――
振り下ろされた!
イージスで防ごうとするも――
デュークモン!!!
デュークモンのマントの大半が千切られてしまう。
もう声に力がなくなっている樹莉。それでも訴え続けている。
――だからもう、やめて……。私は運命を変えられる……。
人間はみんな――、変えられるんだから……。
デ・リーパーは答えない。しかしその時、響いてくるタカトの声。
加藤さーーーーーん!!
同時に流れ始める「The Biggest Dreamer」のアカペラ・イントロ。
見直す度にこれが流れるタイミングの絶妙さには唸らされる。この曲が本篇で流れるのは51話中ここだけ。曲は静かなアカペラで始まる。こういう場面でなければ映えない。そして曲が盛り上がるのはこの後の展開なのだ。
タカトくん……?
デュークモンはまだ伏せっている。
セントガルゴモンが着地。
大丈夫? と訊く。
必死に起き上がるデュークモン。
行くぞ死神野郎!
ここから主題歌のオン・ザ・ビートのオケが始まる。
アクセルアーム蒸着!
巨大鎌が二枚も振り下ろされるが――
閃光――
なんと! ジャスティモンは二枚の鎌をアクセルアームで防いでいた。盛り上がるオケにシンクロ。
渾身の力で鎌を振りほどこうとしているジャスティモン。
鬼気迫る声を上げ、気合いをかけるリョウ。
くっそおおおおおおおっ!!
もうやるしかない! ジェン行くよ!?
ああっ! セントガルゴモン!
ここが歌頭。
バーストショットだ!
だーだだだだだだだだだだだだだだ
だだだだだだーーっ!
久々の「だだだ」。ガルゴモン時代のかけ声だった。
首元に火力を集中させたのは成功だったらしい。
飯綱!
このカットはバンクだが――
リーパーの上部に「雲」が浮かび、雨を降らせる。リーパーは苦しんでいる様だ。
他は晴れているのに一瞬雨が降ると、日本では「狐の嫁入り」と呼ぶ(怪火現象で呼ぶ場合もある)。そのイメエジで書いた場面。
リーパーが青白い炎に包まれる。
すると樹莉の悲鳴が!
!?
あああっ!
マザーのカーネルも青白い炎が生じている。リーパーはマザーの分身なのだ。
樹莉はまだ諦めていない。
早く……、ここから出なくちゃ……クル……。
タカト! ここは俺たちに任せろ! お前は樹莉を!
判った!
奔るデュークモン。
ちょうど「走れ!」という歌詞がここに重なる。こういう小さな奇跡が起こる。
う~~~~~~~
どっかーーーーん!
大打撃を加えた。
雄叫びの気合いを上げるジェン。
おおおおおああああああああ!!!
いくぜえええええええええっっ!!!
くらええええっっっ!!
声は殆どサイバードラモンに戻っている。
デュークモンはマザーの塔を駆け上っていく。
雄叫びを上げるデュークモン。
待っていて! 加藤さん! もうすぐ近くに!
が――、
突如現れる、巨大な偽樹莉の頭。
流石にたじろぐデュークモン。
ここまで最高の音楽となっていた「The Biggest Dreamer」はここで終わってしまう。
黒い息を吐きかける――。
うわああああああああああ
転落していくデュークモン。
デュークモンのこれまでの高い飛翔能力は、マントがあってのものだった。それが破られた今――、
ここまで来て! デュークモン!
くっ、すまないっ、タカトッ……。
そんなああああああああああ!!
ここでもう20分。シナリオも2ページ残すのみだが、まだ展開する。