第6話回顧 2
まるで平安時代の妖異譚かの如き、レナモンとの邂逅を果たす留姫――。
カード・バトルの優勝メダルになど価値はないかの様に、カードリーダーの傍らに転がす留姫――。
溜まるフラストレーション。横になると――
その瞬間、障子がピシャリと閉まり――
おどろおどろしい空間に変貌。そして聞こえてくる、地獄の底からの声。
三面マルチ・大型ヴァーチャル・ディスプレイが展開。
最も強いテイマーには最も強いデジモンが相応しいと、腕に自慢のあるデジモン達が留姫に迫ってくる。
如何なる理由からか、現在のデジタル・ワールドでは進化する事が阻まれているのだ。しかし進化する確かなルートがある。それが人間のテイマーを得る事だった。
ヴァーチャル世界からこちら側へ這い出し始める。
脅えていた留姫――、しかし――
私が欲しいのは一番強いデジモン一体だけだと叫ぶ。すると――
他のデジモン達が後退る中、こちらに向かって歩いてくる、レナモン。留姫はそれを認識している。そう、レナモンなら……。するとカードの一枚がブルーカードに変貌。
D-Arkとなったカードリーダー。それを手にすると閃光が迸る。
ここで見逃せない描写。
強い、思い。
すると――
数十センチほど浮いているレナモン。
ゆっくりと――、リアル・ワールドの畳の上に降り立つ。
レナモンが降りるタイミングといい、完璧な演出。梅澤さんはシリーズ初登板だが、最終的にテイマーズをゴールに導いてくれた演出家となる。
これほどまでに運命的な出会いをした二者だったのだが――。
レナモンは留姫の期待通りに進化するには、強いデジモンを倒すしかないと思い詰めている。
電線に腰を下ろして思案していると――、からかう口調の声。
インプモンがレナモンに毒づく。人間と一緒にいるデジモンには虫唾が走るという。
一人じゃ何にも出来ないデジモンなんだろう?
D-Arkが光を放ち、デジモンの存在を察知して起きる留姫だが――
レナモン・アイでアナライズ。インプモンだとは判るのだが、レナモンを呼んでも側にいない。
パートナーがいないのかと問うレナモン。
テイマーなどいない自由な自分を羨ましいか? と問うインプモン。
もの凄く長い、間――。
人間と一緒にいるなんてみっともねぇと言い続けるインプモンをレナモンは当初、無視する事に。地上に降り立って戻っていく。
みとっともないデジモン見てるとムカつくんだよ、とインプモンはナイト・オブ・ファイアを――
レナモンに向けて放つ。
それは大した害を成さない技なのだが――
嘲笑しながら消えていくインプモン――。しかしその向こう、再びデジタル・フィールドが開く前兆である光の柱が立つ。
ヒュプノスでもそれは認知されていた。これほど多発すると、抜本的な処置をする必要がある、と山木は考え始めている。
レナモンはどこに? しかし留姫は走る。神楽坂方向から新宿までは坂が多い。
レナモンはここにいるに違いない――
しかし――、デジタル・フィールド内部には、無数の蜘蛛の巣が張り巡らされていた。
レナモンの声、留姫、逃げて!
留姫に攻撃が為されようとしていた。それを――
救いだして、留姫を抱く。
留姫を護るべく立ちはだかるレナモン。
レナモン・アイがドクグモンをアナライズ。
狐葉楔を放つが――、ドクグモンの糸攻撃がそれを無効化。更に――
吐かれたスティンガー・ポレーションなる毒ガス攻撃にレナモンは――
留姫にも糸がかけられる。
動けなくなる留姫――脅える。
デジモン中でも最も恐ろしげな外観。
留姫の心の中の叫び。レナモン、助けて!
レナモン、渾身の力で糸を破砕。パワーはこうして生じる。
留姫に向けて狐葉楔を放つ。留姫、怯むがそれは留姫を捕縛する糸を切る為だった。
留姫、今の内に逃げてと叫ぶレナモン。まだレナモンは下半身を糸に縛られていた。
そんな事出来ない!
カード・スラッシュ! インスト版。「鉄の刃」
スナイモンの能力を得るレナモン――、シャドウ・シックルというスナイモンの技でドクグモンを倒そうとするも――
あえなく失敗し、身体を咬まれてしまう。
致命的な損傷を受けるレナモン――。
今度は留姫がレナモンを抱き起こすが――、レナモンはもう虫の息となっている。
レナモンどうして? と問う留姫に、息も絶え絶えなレナモンはパートナーだから、とだけ言う。
ぴとぴとぴと、と近づいて来るクルモン――
留姫、早く逃げて――、と言って、目を閉じるレナモン。
大声でレナモンと叫ぶ留姫――
D-Arkが閃光を放つ。
レナモンが目を開いた――
進化が始まる。
レナモンの進化バンクはテリアモンに続き、すしおさんが原画。
一回転して見栄を切る様は、完全に歌舞伎である。
キュウビモン!
「EVO」は歌入り。「なりたい自分――」という歌詞が、成熟期進化バンク曲の冒頭にあるのも、今見直すと感慨深い。テイマーズに於ける進化は、単に決まったルートの強化段階ではない。パートナーである人間にも成長が求められている。
進化した事に呆然としている留姫。
クルモンは無邪気に喜んでいる。
鬼火玉。
それが全ての糸を焼き尽くしていく。
弧炎龍――
字義通り、蒼白い龍の姿となってドクグモンを破砕。
データをロードするキュウビモン。
戦いの後――、たっぷりと余韻を描いている。
進化した……。
留姫と私――、二人が願った進化だというキュウビモンの言葉に頷く留姫。
二人――。やはりデジモンは、少なくともリアル・ワールドに於いては人格がある。
それを不愉快そうに上から見下ろしていたのが――
インプモン。けっ、だからムカつくってんだよと言い捨て去って行く。
助けてくれたね、という留姫に、パートナーだからと答えるキュウビモン。
手をキュウビモンの顔に近づけるが――なかなか触れない留姫。
パートナー? その言葉が留姫にはすぐに受け容れられないのが、この躊躇の演出だろう。
だが、キュウビモンはどういう意味か判るかと問う。
すると留姫――、キュウビモンの頬を撫でる。心地よさそうに目を閉じるキュウビモン。
判る――。ちょっとだけ、判った。
静謐な場面、留姫のアップのまま――
クリフハンガーでなくとも、エンディングに流れ込む瞬間が快楽的な幕切れだった。
これで留姫とレナモンの関係が完全に成立した訳ではなく、まだ1クールでは揺れるのだが、基本的な信頼関係はここで間違いなく築かれている。
蛇足ながら一応私の潔白を述べておくと、決してレナモンのリアライズ、ホラー的な場面にして欲しいなどとは要望していませんから!
ピノッキモンとか書いたのも吉村元希さんだったのを思いだして欲しい。
進化バンクを除くと、出口さんの一人作画。
#06 Credits
生徒:増岡有起子 中村 絢 塩味 薫
アロモン:松山鷹志
デジモン:小嶋一成 小栗雄介 水野善一
原画:出口としお すしお
動画:岸 夕弥 山口幸俊
背景:スタジオロフト 井上徹雄 阿部とし子 劉 基連
デジタル彩色:村本織子 徳永ゆき子 金井八重子 関口好子
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 山口博睦 清水正道 花見早苗
演出助手:門 由利子
製作進行:坂本憲生知