第17話回顧 1
お楽しみ回の後はストーリーにドライヴが掛かる。
このシリーズに於けるデジモンの出自が、ほぼこの回で明かされる。ブルーカードを巡る謎も含め、この辺りの設定は主にまさきさんが担っている。
演出は吉沢さん、作画監督は浅沼さん。
2001年の秋葉原は、間違いなく電気街であった。私もこの頃はPCパーツを買いに行ったりしていた。その後ホビーの店が幅を利かせる様になると共に、家電店が姿を消していき、新たなビルがどんどん建って、普通の勤め人が多くなる。そうした勤め人をターゲットにしたサーヴィス系が今は多くなった。
ブルーカードを追え! ラピッドモン電光石火
脚本:まさきひろ 演出:吉沢孝男 作画監督:浅沼明弘 美術:清水哲弘
黄色い上着を着た男が――
カードダスでデジモンカードを入手したらしき子。
男がポケットからカードを出し――
わざとぶつかる。持っていたカードをばらまいてしまう。
男がカードをその中に紛れさせた。
そして去って行く。
見慣れぬカード。
こんなの持ってたっけ?
ボクたち優等生、という用途不明なカード――
新宿中央公園で――
この遊具は随分前に撤去されて今は無い。
滑り台の途中で木漏れ日に当たるテリアモン。
ケンタがこのカードあげる、とジェンリャに。
はて?
なんのカード? 試しにD-Arkで――
スラッシュしかけたところで発光。
カードがブルーカードに変貌していた。
唖然となるジェンリャだが、テリアモンは喜んでいる。
帰宅してきた父に、シウチョンが新しく買って貰った帽子を自慢。
ジャンユーは妻の麻由美に、《仕事関係の人》から電話がなかったかと訊ねる。しかしなかったという。
そこにジェンリャが、頼み事をする。
カードを解析するリーダの接続を頼まれたのだ。
電源を入れると――
ドライブが作動。
ふと見ると――
人形として静止しているテリアモンを見て、まだジェンリャは幼いのだなと思う。
ブルーカードをリーダにロード。
どんなデータが入っているのかとソースコードを見ると――
これで何かが判るとも思えないのだが――、恐らくは特徴的な何かがあった。
どうしたの?とジェンリャ。しかし、ジャンユーは答えを濁す。
やはりブルーカードが何処から来たのかが気になり出すジェンリャ。
直近の所持者、ケンタに、誰とトレードしたのか聞き出す。
一応、留姫も同行。
トレードは総武線の駅伝いに東の方向から来ている様だ。
新宿ー秋葉原間だと中央線と総武線があるのだが、各駅停車なのが総武線。
なんか探偵ごっこしてるみたいだと楽しんでいるタカト。
しかしジェンリャは真剣だ。
留姫は無言で付き合っている。
冒頭で黄色い上着の男にぶつかられた少年。秋葉原電気街で入手したという。
あのカードに何でそう関心を持つのかと聞かれ、ジェンリャは《隠しパラメータ》があったと答える。あながち嘘ではない。
何か知ってるの? 急に留姫も。
ちょっと物怖じしながら、少年はあのカードが、誰かからわざともたらされたというニュアンスの事を話す。
ビルの一室。
男がパソコンに向かっている。
ハンガーに黄色い上着――。
これが現実の人間なのかは定かではない。私の想定以上に具体的に描写されていたので、後の展開で調整していく事になる。SHIBUMIの真相については、結局デーヴァ編では不明のままデジタル・ワールド編に先送りとなるのだが、結果的にはキャスティング的な意味で、それが正解だった。
この話数では、「赤いニシン」になるのだけれど、しかしジャンユーの心情を描写するには必要だった。
マンションの屋上で、ジャンユーは何か動作をしている。
息を溜めて吐き――、拳法の構え。彼は実戦型の拳法を習得していた。
そして想い出す若い時の事――
後に、このロブ・マッコイ教授を中心とした人工生命プロジェクトについては詳細も知られるのだが、今は群像として描いているのみ。
若い頃のジャンユー。アメリカ留学時代のニックネームが「タオ」(道)。
最初期のデジモン。二値ビットマップの人工生命。
若い頃の事が何故今になって――
不審な黒い服の男(MIB)がそれを想い出させたのだ。まさか、長年行方不明になっていた当時の仲間が――。そして我が息子に累が及ぶ様な何かを――
この辺りは後半パートでジャンユー自身に語られる。
プロジェクトが終了される事になって、サーバの電源を切らねばならない。
それはデジモンたちの存続を停止する事になるのだが――
消さざるを得なかった。しかし――
何事か気づくジャンユー
この辺りは本篇では判らないが、何者かがデジモンたちを、ローカルエリアから外へと逃れさせるドアをつけていた。
プログラムを――
書いたのは――
SHIBUMI――
謎の人物。
李家の夕餉。
真夏なのでシウチョンはそうめん。
ジャンユー、ジェンリャを気にしている。
ジェンリャが何?と見ると、何でもないと誤魔化される――。
翌朝――、西口バスターミナル。ジャンユーは携帯電話を持って出るのを忘れた事に気づく。
今日もギルモンは留守番だと言われて不満。だけど流石にギルモンを電車には乗せられないからと。
いいなぁテリアモンは。今回のギルモンの出番はここだけとなる。
殊勝な事は勿論言わない。まあねぇ~
ブルーカードの出所調査に今日も向かおうとした時、インプモンが再びテリアモンに挑戦を仕掛けてきた。が――
ジェンリャは、デジモン同士のやりとりを誰かに見られている事に気づいたのだ。
唖然と見つめている――
ジェンのパパ――
タカトも愕然。デジモンなのかというジャンユーの声。
インプモンが邪魔をされてカッとなる。
近づいて来るジャンユー。まさか、デジモンが現実世界に存在しているなんて――
しかしインプモンは、人間に構われるのが嫌なのだ。
ジャンユーは武術の心得があるから、すんでで鞄で防げたが――
ああ!
やっぱり、デジモン――!
だからどうだって言うんだよ!
ジェンのパパに何すんの!
と言われてインプモンも混乱。人間を倒してもロードは出来ない。ばーかと言って逃げていく。
痛みを堪え、ジェンリャに話があると言うが――
逃げ出してしまうジェンリャ。タカトも後ろ髪を引かれながら、追う。
ジェンリャ!
ドラマが緊迫したところでA-Partが終わる。