第20話回顧 1
次回予告でネタバレされまくる問題が、当時は悩ましかった。次回予告はアシスタント・プロデューサーの仕事で、視聴率を上げる為に、よりアトラクティヴな惹句をという理由は理解していたのだけれど。
インプモンがどうなってしまったか、過去最強のデーヴァにいかにして立ち向かうのかというメイン・プロットに、もう一群の人物グループが登場する重要回をまさきさんが脚本に書いた。演出は13話以来の今村隆寛さん。作画は八島さんの独り作画。
切り札はコレだ! 友情のブルーカード
脚本:まさきひろ 演出:今村隆寛 作画監督:八島善孝 美術:清水哲弘
前話リプライズから、ラストの部分は新作。お前を倒してロードしてやる!
ちっぽなインプモンが――
渾身のジャンプ!
ダメージを受けており、援護出来ないグラウモンら。
インダラモンの鼻先を――
殴りまくり
蹴りまくる。八島作画の躍動感。
歯牙にも掛けない。
鼻息で落とされる。
勝負しろよ! 懇願に近いインプモンの叫び。
望み通りなのか――、インダラモンの振り上げた前脚が――
遥か遠くにまで蹴り飛ばされた。
愕然とするテイマーズ。
宝貝がトドメを差そうと開口部を向ける。
神に仕えし我にロードされる事、感謝せよ――。そうインプモンに言ったのだが、ふと向こうを見る。
都庁のシャッガイ・システムが強力なエネルギーを放出している。
インダラモンの姿が、不確かに。
インダラモンにも、テイマー達にも意外。
ジッポーライターの向こうに見えるのは――、かつてダークリザモンを溶かし込んだ、人工タンパク質を溶解するタンク。そこから光が立ち上っている。
インダラモンが身体を保てなくなりつつある。
出力を報告する技術員。
満足そうな山木。しかし――
耐久電流値を越えてサージ。
パワー供給が断たれて、水が四散。
口惜しげ。
インダラモンは異常を感じて、一旦物理レイヤーまで退去していく。
行っちゃった……。
ワイルド・ワン、消滅。物理レイヤーから更に下層へと潜った。
報告を受ける山木。
不完全ながら機能したか。これでいける。
後は出力。早く認可を降ろせ! とライターを閉じる。
中央公園地下治水トンネル内で、傷ついた身体を休めているデジモンたち。
誰か来る。
留姫とジェンリャ。インプモンを探していたが、見つからなかったという。
今村さん演出の特徴の一つは、キャメラを引く時は極端にまで引いての長いカット。
夜も更け、後は明日にと――
普段ならジェンリャより早く出社している筈の父が、ゆっくりしていた。
他の「会社」に急に出向になったという。どうもジャンユーにとっては歓迎しない、急なオファーだった様だ。ジェンリャが「行ってきます」と出て行くと――
子どもの仕事は、遊びだな、と呟くジャンユー。
ヒロカズとケンタが、タカトの父親に「ギルモンパン」を作って売り出して欲しいと請願している。
こーんな奴……。
とかいうやりとりを後ろで聞いたタカト――、
勝手口から靴を履きながら飛び出してくるという、凄いワンカット。
うああああああああ
さっぱり話が見えてない。
わーわーわーとタカトは攪乱し――
二人を引っつかんで行ってきます!
俺たちも戦いたいんだよ、という話をしながら公園を歩く子どもたち。タカト、ヒロカズ、ケンタ、……あれ?
ヒロカズ、自作のカードをタカトに見せる。
えっ
ブルーカードだよ。
タカトにD-Arkを貸してくれとヒロカズ。
デザインは聞いた通りだろ?
正直、違うんだけど……。
やっぱダメかぁ……、と落ち込もうとした時!
いきなり背後から手が伸びて――
謎の少年がずっと後をついていたのだ。
ダメ!とD-Arkを守るタカト。
くぅうううううううっ!
跳躍して――
駆け去っていく。
そして都庁の一室――。
無人のセミナールームで、ジャンユーは長い時間待たされている様だ。
かなりの怪我をしている筈のインプモンを探しているジェンリャと留姫。留姫は強くなりたいなら、パートナーを探せばいいのにと呟く。
君も心配なんだね、と言われて留姫は少し憤慨。
確かに留姫自身も心配はしているが、寧ろ留姫は、レナモンがインプモンの事を気に掛けていたから、それに共鳴しているのだ。
放送された2001年の年頭、中央省庁再編が行われた。先端科学は科学技術庁の範疇だったのだが、文部省と合併し文部科学省となった。
経産省なども統合された訳だが、果たしてこの再編は正しかったのか?と今は思う。
山木は勿論東京都職員ではなく、国家機関に属している。テイマーズでは文科省傘下という事に。しかし実際は独立参与的な立場だろう。
尚、2021年の現実のサイバーセキュリティ管理は内閣直属機関となっている。どこまでやっているのか疑問だが。
ジャンユーを脅した黒服の男はやはり山木の部下。劇中では明言しないが、公安調査庁OBの探偵だ。
認可が次官から降りたらしい。SHIBUMIはしかし、まだ発見出来ていないという。
やっと回復したギルモン。心配してくれてありがとう。
どういたしまして。
しかし――
クルモンはまだグロッキーだ。前回三体同時進化をさせたから、というよりは、インプモンのあまりに凄惨な仕打ちを見て疲弊しきっているのだと思う。
ごちそうさま、と弁当を平らげるが――
待たされるばかり。
立ち上がるジャンユー。
ギルモン・ホームで待っていた樹莉たち。
ギルモンらが帰ってきた。
ジェーン!と飛びつくと、ジェンリャ、ひっくり返る。
インプモンはと聞くと、留姫は無言で首を振る。
西参道首都高高架――。不穏な音が響く。
レナモン、デジモン出現を察知。
オペラシティ(初台)の方向にデジタル・フィールド。
湯飲みを指で、ピーンと弾くジャンユー。
誰かいないのか? と呼び掛けると――
技術者達が慌ただしく走って行く。
驚くが――
このまま待っていられないと決意。
昨日と同じ個体のワイルド・ワン検知。
リアライゼーション開始、というオペレータの声が構内に響く。そのヒュプノス・センターに入る――
ジャンユー。なんだここは……。
都庁の中ですがここは日本国の機関です。
あんたたちはここで何をしてるんだ!?
ネット内では無秩序な活動をする疑似生命、我々はワイルド・ワンと呼んでいます。それが現実世界にリアライゼーションする時、霧のような粒子が現れます。
新宿ジャンクションに立ちこめていく霧。
エレベータで地下深い階層へ――
この霧(デジタル・フィールド)は地球を覆うある帯域の電磁波が、ワイルド・ワンの情報に従って――
空気中の元素を急速に凝縮し量子変換させた疑似タンパク質なのです――。
車載テレビだろうか? まだカーナビはなかったと思うが……。
その疑似タンパク質が固定化し、デジモンはこの世界で、自らの肉体を――
獲得するのです。
画面は山木の説明に従って描かれていた。
車を踏み潰すインダラモン。踏み下ろしから――
運転手が逃げ出し、車ごと踏み潰されるまでワンカット。
エフェクト・アニメーションのリアルさも八島さんの真骨頂。
最下層に到着。
こんなものがあったのか……。
ここでA-Part終わりだが続ける。
動かなくなった車で埋まる首都高。車の搭乗者が皆逃げ出している。その向こう――
そこに到着するタカトたち。
インダラモン……。
ギルモンらの到着を待っていた。
超進化プラグインS トリプル・カードスラッシュ!
すぐさま成熟期に進化した三体、インダラモンの侵攻を阻止するべく走る。
成り行きで戦闘を間近に見るのは初めてのヒロカズ、ケンタは興奮。
しかし樹莉は心配そう。クルモンはまた疲弊した。
走る三体。手前の車のブックセルで垣間見えるだけという描写。これも今村さんらしい演出。
待避エリア――そこに、誰かが――
謎の少年。
代々木三丁目路地のラーメン屋台。その扉が少し開く。
また現れたんだ。しかし、今のインプモンには――
見上げるしかなかった――。