第15話回顧 1
テイマーズの2クール目「デーヴァ編」が本格的に始まる。これまではデジタル・フィールドの中で人目を避けて戦ってきたが、人間とその文明に明らかに敵意を持った強力な敵が現れて、デジモンテイマーズに戦いを挑むのが基本形。
15話は前川さんの脚本を角銅さんが演出。作画は出口さんの一人作画。
夕暮れの恐竜公園で、改めて三組が揃っての相談事をタカトが話す。
このリアル・ワールドで暴れるデジモンを倒せるのは、ぼくたちだけ――、と真剣に言うジェンリャだが、後ろではテリアモンが遊んでいる。
私たちは戦う。でもその闘いには、意味があるという留姫。
ところで、このブログでは留姫や樹莉の一人称を《私》と表記しているが、当時の女の子のデフォルトは「あたし」に近い発音だった。今「あたし」と書くと品が無い様に感じられるのが不思議だ。
「serial experiments lain」のネット同時視聴会でも、「あたし」と言う度に違和感を覚えた視聴者がいた。
そうだね、ぼくたちはチームさ、とタカト。ギルモンにすかさず出して貰う段取りだったが――
タカトに促されてギルモン、モタモタと隠していたものを――
それは、デジモンテイマーズの旗。勿論これは――
黒澤明監督の「七人の侍」からの引用であるが、タカトたちは原典を知るまい。
1クールかけて、やっと三組のデジモンとテイマーが結束するまでを丁寧に描いたが、元々「七人の侍」をロール・モデルにしていた訳ではない。デジモン・アニメに、リアリティのアスペクトを加えたいというのが私の意図で、最初からチーム然としてすぐに結束させるのは避けたからだった。
すると、プロセス的に1クールは、まさに「七人の侍」のAct.1に相当する――と言い出したのは、前川さんかまさきさんか、或いは角銅さんだったか――。
そうだそうだと盛り上がり、結局こうした旗を作るに至るのだが――
ちなみに原典の◯は侍。△は明らかに農民出の無頼漢、菊千代(三船敏郎)の事を表していた。テイマーズの旗は、パートナーがいないクルモンがそのポジションに収まる。
尚、「七人」の旗の「た」は、侍を集めた農民の田圃を意味した。
だが、旗の感想は芳しくない。
テリアモンは「ださ」と辛辣な一言。留姫も旗を作ろうっていうセンスが信じられないとまで。
がっかりするタカト。ギルモンは旗に寄りかかっていたが、竿が折れて倒れる。
みーんな、楽しそうでくるる!
巨大ヘビ出現! 大江戸線大パニック
脚本:前川 淳 演出:角銅博之 作画監督:出口としお 美術:松本健治
地下鉄大江戸線は2000年に改称されたもの。光が丘(アドベンチャーでの主要ロケーション地)を起点に都内を循環する。
既に終電が行ってしまったのに、酔客がホームで寝ていたのを駅員が連れて行く。すると――
トンネルを進む――、これはデジタル・フィールドだ。
トンネル内部の3D CGは角銅さん自身による。
赤い目――
驚いて悲鳴を上げる酔客。
日曜日の朝、まだ寝ていたジェンリャの胸に乗るテリアモン。なんだようと言うと――
シウチョンの仕業であった。松田君から電話だよ。
寝ぼけ眼で電話に出る。どうしたのこんな朝早くから。
やたらはりきっているタカト。デジモンテイマーズとして、まずはパトロールをしようという提案。
しかし今日は《趙先生》とのアポイントがある。
この趙先生はこのクールでの重要人物なのだが、なんの為に会うのかはまだ判らない。
タカトはがっかり。では留姫はというと――
お祖母ちゃんとお出かけするからダメ。
ちぇっ、腐るタカト。すると友だちが来たよと母が。
え? 2組のクラスメイトが押しかけてきている。
新宿中央公園で、目の当たりにして驚く一同。樹莉だけは既に友だちだが――
なぜかヒロカズがギルモンを紹介。
タカトの友だちならギルモンの友だち、と喜んでいる。
ヒロカズが何故か仕切り――、これは5年2組の秘密だぞ!
おーっ!
このノリ、「ウルトラQ」っぽいのだけれど、2001年の小学生には新鮮だったかもしれない。
一方――
実在する矢来能楽堂。戦後に建て直された観世九皐会の能楽堂。固定椅子席を初めて設けた事でも知られる。
東映アニメーションの本社オフィスが今の中野に移転する前、この能楽堂の近くにあったのだ。
本格的に描写される能舞台。
こういう場面を入れられるのだから、アニメーションはいいよなぁ、と当時も思った。実写ならタイアップ案件でもなければ、ロケなど不可能。
聖子さんのお供で来ている留姫――。
ジェンリャが趙先生のところへ行こうとすると、シウチョンがテリアモンを赤ちゃんごっこでいじっている。流石にジェンリャも気が咎めている。
目が訴えている。
シウチョンがトイレに行く隙に――
テリアモンを奪取。
舞台上で跳躍する狐――
狂言「釣狐」の演目。老漁師と狐との駆け引きが演じられる。
角銅さんはフィルム・アーカイヴに足を運んでこの場面を作られた。
「狂言」は現代語としては異なる用途で用いられるが、日本の古典芸能の一つで、能舞台で演じられる、滑稽さを主題とするもの。能よりも動きなど、子どもには親しみやすい。留姫は狐の舞を見て想起する。
アイスデビモンとの戦い――
ハーピモンとの戦い――
レナモンと、自分――
タカトは公園でギルモンと遊んでいるという。
ばっかじゃねーの!? とインプモンが水を差す。
あれもデジモン? そう、みたいなんだけど。
その内哺乳瓶くわえさせられる様になるんじゃねぇの?
噂をされてクシャミするテリアモン。
鼻に丸めた紙を詰められるギルモン。鼻息で紙つぶてを発射。
馬鹿もんだ、と嘆いていたインプモンに、お前も羨ましいのかと――
いきなり話しかけるレナモン。インプモンは完全否定するが――
そうか。そう見えたのだがな。
と言って去って行くレナモン。
牛込神楽坂駅でこれから帰ると電話している聖子。留姫の家までは一駅程度だと思う。
留姫は、お祖母ちゃんに付き合う事にあまり乗り気ではなかったものの、いいモのが観られたという満足があった。
と――、D-Arkが反応!
見回すと――、何故かクルモンがいて、女子高生に可愛がられていて、安堵――
するも――、デジタル・フィールドが突如トンネルに充満。
素早くアイウエアをして臨戦態勢に。
やってくる――
レナモン!
ビルとビルを跳躍し――
留姫が危ない、と駆けつけていくレナモン。
衆人に姿を晒す巨大蛇デジモン。
レナモン見参。
駅員に誘導される聖子。しかしまだ孫が――
視界の片隅で、留姫に寄り添うレナモンが見えたかもしれない――
ホームに身を上げる蛇デジモン。
留姫、臨戦態勢。レナモン、狐葉楔を放つが利かず。
しかし――、データが来ない――
ここまでA-part