第8話回顧 1
主人公のパートナーがついに進化する。8話までは流石に引っ張り過ぎたかもしれないが、その分クライマックスにはカタルシスが大きい。
02のシリーズ構成のもう一人、前川淳さんがここから加わる(会議には勿論早くから参加していた)。インプモンを後にメインに書くライターとなるのだけれど、まだこの頃はそういう分担をしていた訳ではない。
演出は各話で初めて中村哲治さんが担当するが、前期エンディング「My Tomorrow」の映像演出が中村さんによる。
シリーズ終盤、貝澤さんに代わってシリーズ・ディレクター補も務められる事になる。
進化バンク以外を一人作画されたのが八島善孝さん。二話も担当されたが、本領を発揮されるのがこの回。
タカトはギルモンを進化させるプランに余念が無い。
向こうに聳える都庁――、ヒュプノスがある建物。
ギルモン進化! 西新宿大決戦
脚本:前川 淳 演出:中村哲治 作画監督:八島善孝 美術:清水哲弘
新宿中央公園がこれほどまでに《アベック》(死語)の集う場だったかというと、うーーん。
初デートを夜の公園でしてはならない。
煙草に火をつけようとするが、ライターのガスがない。ちょうど都合良く火を貸してくれる者が背後から――
悪戯好きなトリックスター、インプモン。今回はちと度を越す。
ギルモンはホームの地面を掘っている。
あった~、とパンが詰まったバスケットを掘り出す。
転がったパンを――、外からとられてしまう。
お代わりをし続けるインプモン。よく食べるねと、人、じゃなくデジモンがいいギルモン。
こんなところに閉じ込められて楽しいのかよとインプモン。
楽しいよ。だってタカト友だちだもの。
散々ふてくされて去って行くインプモン。
翌日――、浅沼教諭から、最近中央公園で夜遊んでいる生徒がいるという。タカトは図星の衝撃。
休み時間、女子が話している。アベックを脅かしている子がいるという。
嫌な予感。
樹莉はその話には加わらない。ウチの男子かもよ、という無根拠な言いがかり。
憮然として抗議するヒロカズ、ケンタら。ジェンダー・イシューじゃないです。
冗談だって。
だがタカトがひろげていたのは――
既にグラウモンも名前の候補として書き込まれている。
ギルモンの仕業だったらどうしようと相談するタカト。しかしジェンリャは冷静に、ギルモンは子どもには見えないと指摘。
ランドセルを背負ったギルモン。
笑い合う二人。
そこにぬっと顔を出すテリアモン。どうかなぁ? ギルモンならやりかねないと思うけど。ジェンリャは混ぜっ返すなとたしなめる。
ジェンリャはもっと心配な事があると言う。夜に先生が交代で見回りを始めるのだという。
ギルモンが見つかっちゃうと焦るタカト。
大型のワイルドワンが検知される。
トレーサーを撃てと山木が命じるが、追いつけない。
ギルモンはパンを埋めるのがマイブーム。とにかく、当分外に出ないでと釘を差すタカトに、ギルモンは生返事。
体育の森教諭は浅沼教諭との見回りに、内心心を弾ませている。
アベックだらけの公園。
あああ待って浅沼先生――
私何やってるんだろう、と投げやりな気分になっている。
私急用を思いだしたのでと去って行ってしまう。
しょんぼり……。
ギルモン・ホームにまた来訪。
面白い遊びしようぜと誘いに来たインプモン。一瞬喜ぶギルモンだが――
タカトとの約束を思い出す。だが――、すんげえ面白い事が気になって――
この辺りのギルモンの演技――、アニメーションと野沢さんのシンクロが極まる。
公園から出てきたタカト、警官に誰何される。
余談だが、10年くらい前まではやたらと私は職務質問に遭った。バッグの中身まで見せる事を求められる。これは本来的には法律の規定にはないのだが。
タカトを救ったのは、意外にも浅沼先生だった。
うまく設定を作って警官からタカトを解放する。
このシナリオを読んでから、私の浅沼先生に対する視点が少しシフトしたと思う。
後の展開を思えば、こうした2ショットも感慨深くなるのだが……。
基本、インプモンにはナイト・オブ・ファイアしか能がないのだが、夜の公園ならば威力が最大限となる。
ギャグ・カットのダイナミックさ!
しかしギルモン面白くない、と去って行くギルモン。
この瞭の銅像は実際に中央公園にあるもの。
どうしてぼくを助けてくれたのかと訊くタカト。浅沼教諭は、自分の生徒が問題を起こしたら面倒だから、と率直に言うが――、
タカトはギルモンがもし警官に逮捕されたら――と想像。
囚人護送車にぶち込まれるギルモン。
必死に後を追うタカト。しかしもっと悪い想像が――
包囲した警官隊、いや自衛隊か? 短銃で銃撃する。
熊が町に出てもこうはならないとは思うが……。
そんなの嫌だ! と叫び――
先生を振り切って駆け出すタカト。ここ、カット割りで逃げず、カット内でダイナミックに描かれている。
ホームにギルモンは不在。
そこへ帰ってきたギルモン、びっくりさせるっていう遊びに誘われたけど、つまんないから帰ってきたと率直に答えるギルモン。
タカトは呆然。やっぱりギルモンが犯人だったと、これはタカトの早とちりなのだが――
ばかっ! 知らない! と行ってしまうタカト。
流石にここはギルモンが可哀相だ。
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