「単に暴虐な敵ではない新しいものを描きたかった」
Twitterのアカウントの全ログは、Twitterに請求すると約一日くらいでzipに固めたファイルを用意してくれて、ダウンロードが可能になるのだった。
無料のサーヴィスなのに随分そこはユーザフレンドリーなのだなぁと。
しかし2020年のあれこれで、Twitterへの信頼感も大分揺らいでしまっているのだが。
Momentが装備される前から、色んな人の発言をまとめるTogetterというサーヴィスがあって、こちらでもまとめて貰ったものがあった。
実際のTweetログを見返すと、話題が飛んだり前後していたりで、やはりまとめられていてありがたかった。
基本的に本ブログでの採録は、発言日時を追おうとはしているのだが、なんでいきなりラスボスの話を始めたのか、今の自分にはさっぱりこの思考が理解出来ない。なので申し訳ないがデ・リーパーについてのくだりから。
「ティガは本当に好き 」さんがTogetterにまとめられていたので、これを基に採録。
テイマーズの最終敵が何故デ・リーパーであったのかについても、今なら言及しても良いだろう。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
私がデジモンを怪獣(快獣)と重ねていた事は既に記した。デジモンにも様々な知能レヴェル、闘争力、そして良心と邪悪さなど様々な性質の種類がいる。
しかしどうしても、最大の敵が「悪いデジモン」で、「良いデジモン」が子ども達と戦うという構図は私には思い描けなかった。「悪いデジモン」の邪悪さを根源的に掘り下げると、デジモンそのものが「存在してはならないもの」という解釈を排除出来なくなるからだ。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
テイマーズとパートナー達の前に戦いを仕掛けた十二神将、四聖獣達は人間、そして人に与するデジモンを排除しようとしていたが、それにはただの悪意があったとも思いたくなかった。手段はさておくにせよ、彼らには彼らの護るべきものがあっての戦いだった
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
「ウルトラマンティガ」の初期話で90年代末的な怪獣物にアップデートすべく怪獣を大災害に見立て、それからは力を尽して人の命やその生活を護る為に怪獣を倒していく流れになるが、私にとって怪獣は「存在してはならないもの」ではなく「存在して欲しい」存在だ。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
「ウルトラマンガイア」の最終章、根源的破滅招来体の総攻撃に対し、2人のウルトラマンと人類と共に、地球に生まれた怪獣達もが立ち上がって迎撃するという構成にしたのは、「怪獣総進撃」的なカタルシスを得たかった事もあるが、その本意はそういう事だった。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
その後私は関わりのない「コスモス」で「怪獣保護」というタームが出てくるとは私も驚いたのだけれど、それはまた別の話。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
ともあれシリーズの最終敵はそれまでの規模を越える強大な敵である必要があった。2007年に出版されたデジモンのムック本で、角銅さんがインタヴュウで述べていて初めて知ったのだが、「もし03という3年目があったら、宇宙へ向かう話を考えていた」そうだ。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
デ・リーパーは宇宙由来、ではないとも言い切れない。基は不整合ファイルを消去する単純なAIプログラムだが、それを高度に進化させた要因は私にも判らないのだから(仮説は持つ)、あながちテイマーズは掛け離れた展開ではなかったとも言えなくもない。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
D-Reaperは、Delete Reaper(消去する死神)という意味合いで名づけている。さてこの最終敵をどうヴィジュアライズすべきか。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
私は企画初期から様々な我が儘を関Pに投げてきたが、概ねを受け容れてくれた事には本当に今尚頭が上がらないでいる。
このTweetを読んだ角銅さんは、「え、知らなかった」と驚かれていた。思えば、4クール目の構想など、文書化はきちんとしてなかったし、多分ホン打ち(シナリオ会議)で口頭で話した程度だったのだろう。
渡辺けんじさん、中鶴勝祥さん、荒牧伸志さんという3人のデザイナーに集まって貰い、趣旨を説明して自由に発想してデザインを考えて貰った。シリーズ終盤に面倒を持ちかけ申し訳なかったが、私はクリエイティヴ側(デザイン)の「総力戦」をしたかったのだ。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
こうやってスタッフ間に熱気を吹き込もうとする方法論は、「魔法使いTai!」と「ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー」での伊藤郁子さんの仕事ぶりというか、のめり込み方に強い影響を受けたからだと今は思っている。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
「ファーマシィー」の最終話は、シリーズに関わった主なアニメーターがずらりと原画のクレジットに並んで感動的だった(爲我井克美氏はなんでか入ってくれなかったが)。そういう熱気が作品には絶対に反映されていったと私は思っているのだ。閑話休題。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
早い時期に、最後に登場するReaper(ケーブル・リーパー)のイメエジがけんじさんから出てきて、デ・リーパー・ゾーン内で活動するエージェントは全て有線で繋がっている(TOW的な)事にした、という気がするのだが、逆だったのかもしれず記憶は曖昧。ああ老化。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
西新宿で活性化したデ・リーパーは、ゾーン内の地下に埋設されたケーブルを依代にして物質化している――という解釈を私はしているのだが、それを明言しないのは、最終回後、すぐに普通に戻っている日常を描かねばならなかったからだ。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
地上のダメージは最小限でも、実は地下のインフラはゾーン近隣エリア含めズタズタになった筈なのだが、それは語る必要がない枠であるし、してはならない時期でもあった。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
当初デ・リーパーの侵攻は、都庁舎を物質的に破壊して現れる事にしていたのだが、9.11が起ってそうした描写を一切出来なくなり、ゾーンに侵食されていく描写に変更した事はhttps://t.co/InI3tvQjqFにも記しているので知られているだろう。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
このアカウントは販促の為国内のかつてのファンに発信する意図で始めたが、海外からのコメントが多く、北米の人がこのアニメを見て、事実を乗り越える心の支えになった(意訳)と書いてくれたのは予期せぬ喜びとなった。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
ともあれ全く意匠の異なる様々なADR (Agent D-Reaper)が描かれた。恐らく視聴者が一番怖かったのはジュリを擬体したタイプかもしれない。デ・リーパー編がホラー的な描写としているのは事実で、単に暴虐な敵ではない新しいものを描きたかったからだ。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
あまり好きな言葉ではないが、年少の視聴者にトラウマ的に「刺さった」なら本意だったし「申し訳ない」と謝るしかない。しかし本来ジュヴナイルの悪夢描写は怖いものなのだ。「マグマ大使」など昭和のヒーロー物は、敵が恐ろしいものが少なくなかった。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日
最後に、ケーブル・リーパーはあくまでケーブルの権化なのであって触手ではない。なのでテイマーズに於けるラヴクラフト要素は、あくまで山木のサイバー兵器の名前と、劇中テレビでコメントしたミスカトニック大教授(イヤなタイプ)の名前が(偶々)それなだけである。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月20日