Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

テイマーズのデジタル・ワールド

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ここでちょっとインターバル。先に第三部のデジタル・ワールド編についてのTweetを差し挟む。

このブログはシリーズ構成視点で書いている。
ライター陣で能動的に沸き上がる新たな要素などを調整する一方で、先回りして想定しておく事がある。テイマーズは四部構成で一年を送る、ある面では判り易い構成をしていた。

デジモンアドベンチャー、同02だって現実世界を舞台にしたエピソードは少なくないし、寧ろその現実世界のエピソードの方が個人的には印象的だった。だからテイマーズは基本ベースは現実世界で揺るがない。

しかし、タカトたち人間がデジタル・ワールドに行くという事をリアリズムで考えると、とても子ども向けアニメにはなりそうもない。やはり最低限ファンタジー的なジャンピング・ボードはが必要だった。

そして、カジュアルに行き来出来る様にもしたくなかった。それだけの決意をし、自分達の意思でデジタル・ワールドへ行くのが何よりもこのシリーズでは重要だった。

私は異世界というものにあまり関心がない。だからこういうシリーズになったのだけれど、デジモンのアニメとしては絶対に必要な《デジタル・ワールド》を、テイマーズでどう描けばいいのだろうと思いあぐねる。文章をこねくりまわしていても埒が明かない。私は頭に映像が浮かんで、初めてシナリオが書けるという非ノーマルなライターなので、下に貼った流れで構想していった。

私がデジタル・ワールドの構想に悩んでいたのは、7話を書いた頃からだと思う。それくらい先回りして準備を整えつつあったのだが、シリーズが放送開始となって、やはり前作より少し視聴率が落ちていた。予定ではノーマルに27話からデジタル・ワールド編に入るつもりだったのだが(3クール目)、もっと早めて欲しいという強い要請があった(局ではないし、デジモン企画チームでもない)

2クール目、デジモンテイマーとして自覚が出つつ、衆人の中で戦い続ける事の難しさが出てきて(ドラマ的には美味しい)、デーヴァという敵はいずれも個性的でドラマも練り甲斐があり、本来ならもう少しこの状態で進めたかったのだが(特に、17、18話の連携は実に楽しかった)、3話前倒して24話からがデジタル・ワールド編となる。関プロデューサーは最大限粘ってくれて、感謝している。

 

 

 

 

 ちょっと言葉が足りてない。貝澤さん、角銅さんは当時の東映アニメの演出家の中で自から3Dソフトを使って映像まで作っていた特異な存在で、他にそういう人はいなかった。

 

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荒牧さんによるイメージボード、物理レイヤーの荒野と頭上にはリアル・ワールド球。

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これがダスト・パケット。

空に現実世界が球状に見える、というのは本当に凄いアイディアを出してくれたと感謝している。直感的には判りにくいかもしれないが、地球空洞説をひっくり返した様な観念だ。
ただ、デジタル合成(フィルム作品なら撮影+特殊効果という部署)スタッフの方々には面倒をお掛けする事になって、これは申し訳なかったとしか……。

 

 

 

少し余分だったTweetを抜いて続ける。

 

 

訂正。AIではなくAL。Artificial Life 人工生命

 

 

 

 端的に言えば、カードリーダーがD-Arkに変わるなどといった《魔法の様な》出来事、光の柱の様な描写が単なる演出効果なのではなく、実際そう現実を変えてしまう存在、主体がいたという解釈に行き着いたのだ。