第19話回顧 1
ファンには知られている事だが、私が参加する以前のシリーズの企画最初期、「デジモンアドベンチャーEVO」のメイン・パートナー・デジモンとして企画書に描かれていたのがインプモンだった。
人間的な洋服を着ており、いかにもワルガキ的なそのデザインは、私が提案しようとしていた、「ぼくの考えたデジモン」とすぐにパートナー・シップを結ぶのではなく、じっくりと関係を深めていくというシリーズ冒頭のストーリーには合わないと感じ、『アグモンタイプ』のデジモンにして欲しいと異議申し立てをした。
スポンサー・サイドでもあるデジモン企画チームにすれば、そんな異議申し立ては退けて当然だったと思うが、私の本意を説明した上で、一旦引き取り、「これです!」と決定版として提出されたのがギルモンだった。
気を悪くしてるんだろうなぁ、と思っていたのだが、WIZの渡辺けんじさん(オリジナル・デザイン)、北川原真さん(設定)、バンダイ・ボーイズトイのボルケーノ太田さん(当時の部署)らは、私の事を「まるでスネイプ先生みたいだね」と噂して楽しんでいたと、後で教えて貰う。まあ確かにあの頃は長髪が黒かったし陰気くさい喋り方をしていたかもしれない。
スネイプ先生というのは、映画版「ハリーポッター」に登場する陰険な(しかし実は……という)先生の事で、演じたアラン・リックマンはそれまでの代表作だった「ダイハード」の悪役を越える、自身の代表作にした。惜しくも2016年に物故された。
さてしかし、ではインプモンをこのシリーズでどう活躍させるのか。あだや軽々には扱えない。序盤はひたすらワルガキのトリックスターとして、主人公たちの周囲でいたずらをするだけでなく、デビドラモンのリアライズを助けるといった行為もするが、時にはギルモンらと楽しく水遊びをする時もあった。
だが、インプモンにはもともとアイとマコという幼いテイマーがいたのに、二人の姉弟喧嘩に挟まれ、いたたまれず、独りで生きる事を選択し、ひたすら自分の無力さを呪いながら、より強くなる事だけを望んでいた。
インプモンが中間を飛ばしてベルゼブモンというダーク・ヒーローになるのも最初期からの設定で、これを成立させる為に、ライター陣で周到にレールを敷く。
インプモン、アイ、マコの初出は吉村元希さんのシナリオで、概ね途中から登場したキャラクターは初出のダイアローグに倣うのがルーティンとなった。
インプモンの「強くなりたい」という切実な渇望は、きちんと段取りを経て積み重ねなければ、ベルゼブモンになる瞬間をクライマックスと描く事は出来ない。
今話より、インプモンをフィーチュアしたエピソードは前川淳さんが担う事になるが、「そうしましょう」とか相談してはいない。関プロデューサーと我々とで、自然にそうなる様になった。
演出も、インプモン~ベルゼブモンの重要回はほぼ、今回の芝田さんが担当される事になる。今話の作画監督は伊藤智子さん。見せ場が多い回なので3回に分ける。
水遊びをしている――
ヒロカズ、樹莉――
次はケンタだ~
ザバッ
小学生が昼間から、という心配は無用。放送日は8月12日で、夏休み最中。厳密には合っていないところもあるが、基本的にテイマーズは一年間の物語を放送順に見せているという感覚で作っていた。
ジャブジャブ池(もう新宿中央公園にはない施設)で遊んでいるのを、木陰から見ているのはタカトたち――
テイマーズ。ジェンリャはデーヴァが完全に自分達を狙って来ている事を憂慮。タカトは、あいつらは悪いデジモンだよね、だから倒さなくちゃと力説。だが――
それがテイマーがしなきゃいけない事?と留姫。なんで私たちが――
すると、レナモンがすっと身体を現し、戦いを挑んでいるのは向うだと留姫に言う。
ヒロカズがタカトを呼んでいる。一緒に遊ぼうと。
今行く、と返事して二人を誘うが、ジェンリャは道場だからと。留姫は黙って去って行く。
この木陰の場面は見事な色分けで描かれていて印象的だ。
タカトも合流。
高い木の上から面白くなさそうに見ているインプモン。
強くなりたい! 這い上がれインプモン
脚本:前川 淳 演出:芝田浩樹 作画監督:伊藤智子 美術:渡辺佳人
サブタイトルバックの曲は、一話の様に明るいパターンと、不穏なパターンの二種があって、テイマーズはやっぱり不穏パターンの方が圧倒的に多いのだが、今話は冒頭のシーンのイメージからか、明るいものが用いられた。
公園でコギャルに囲まれているクルモン。
コギャルというのは高校生のギャル、ガングロに日焼けして髪の色が明るいという90年代後半によく見られたファッション。
ギャル用語は検索すれば出てくるが、極めて特殊な隠語(主に短縮形)を用いて、第三者からすると余計に近寄り難い空気感を形成していた。
小首を傾げまくるクルモン。
そんなクルモンに苛立つインプモン。人間に媚びるのもいい加減にしろよと。
こいつかわいくねー。キモーいと素直に言うコギャル。
ウザいウザいと言われてインプモン――
ナイト・オブ・ファイアを小さくお見舞い。
逃げていくコギャルを見て大笑い。
大江戸線――、だが、行き先表示の方角が反対っぽいな……。
そこそこの乗車客がいるので――
テリアモンはおとなしくしている。
どういう意味なんだろう、デーヴァって……。
何処かの中国風邸宅――
すっと身を避ける趙先生。
とても余談だが、このジェンリャが履いている靴はカンフー・シューズといって、1980年代にドラムのマスター、スティーヴ・ガッドが愛用していた。極めて繊細なフットワークを生み出したのがこの靴。大学で軽音楽部にいた私は、何人もの先輩がガッドと同じYAMAHAのYD9000Rモデルを使い、カンフー・シューズを横浜中華街に買いに行っているのを見た。
この気合いの入った道場の場面は、時期的にもやはり映画「マトリックス」からの引用だろう。「マトリックス」は香港功夫映画のアクション・コーディネーターを大々的に起用した最初期のハリウッド映画だった。
これまで名前だけが登場していた《趙先生》とは、中国武術の師匠であった。
恐らくジャンユーと二代で師事している。
テリアモンは置物化してじっと見ている。
疲れが出始めているジェンリャ。
流石のテリアモンもびっくり。
心が乱れている、と看破される。
趙先生は、ジェンリャが深く悩んでいると見抜き、聞いてやると。
ジェンリャのこの武術修練の描写は、テリアモンの究極体、セントガルゴモンのデザインを見て、ライター陣でどう見せようかと悩んだ上で、こうした伏線を張った。セントガルゴモンは予想を遥かに越える大きさのロボット型で、ミサイル攻撃などは当然出来るだろうが、そのままだとアニメではあまり動かなそうに見えたのだ。このデザインだからこそ、意外性のあるアクションをさせてみたい。しかしジェンリャはコンピュータを操る頭脳派だし――という葛藤を経て、このユニークなパーソナリティが生まれた。
話してみなさい、という趙先生(北村弘一さん・演)。
そして趙先生という存在を早くから前振りしていたのは、デーヴァの在り方を、人間の視点で説明出来る人物が必要だったから。
直裁に、「デーヴァとは何か」を訊ねるジェンリャ。
インドのサンスクリット語で、神、神霊、神将といった事を意味するという趙先生。
禍をもたらすアスラと戦う良い神だと、インドでは伝えられている。
デーヴァが良い神……? ジェンリャにとっては意外な言葉だ。
中国茶で一服する趙先生。だが、と前置きし――
アスラを信仰する民にとっては、逆にデーヴァが悪しき神という事になる。
逆もまた真なり。
つまり、善と悪とは絶対的なものではなく、立場が変われば逆転するものだという事だ。
やさしい目に戻って、こんな話(一般論)で役にたったかな?
はい。
ありがとうございました、と礼。
言うまでもない事だが、本シリーズの《デーヴァ》は、デーヴァという概念をベースに生まれた(造られた)デジモンの神々(のしもべ)であり、実際の宗教観のそれとは完全に異なる。
強力な敵デジモンが十二体。十二支の干支にちなんだデザインとネーミングで一貫性を持たせるというのが元々の狙いだった筈だ。原案というか公式設定では、十二神将は3神ずつ、四聖獣にそれぞれ仕えるという仕分けがされていたのだが、テイマーズの物語でそれをいちいち紹介する余地はないと判断し、全てスーツェーモンが創造神であり、仕えているという構成に変更させて貰った(承認して貰った)。
最近まで、アニメなどでデーヴァをモチーフにする作品は時折作られている様だ。日本人にも干支は馴染み深いからだろう(私は丑年生まれ)。
私はデーヴァを、紋切り型の悪役にしたくないと思っていた。デーヴァにはデーヴァの信じる正義があり、それが人間と相容れない時に衝突が起こる――。そういう事を言っていたと思う。
しかし枠は子ども番組。やはり正義、悪という色分けはしておかねば混乱する。デジモンでガンダム的な戦争論をするつもりは毛頭なかったし。
だからこの趙先生の弁は、ずっと後になれば意味が通じる――というかなーり遠方に石を置いた伏線であった。
インプモンが気になって後を追うクルモン。
インプモンは、どれだけ表情を崩してもOKという、アニメーターの方にとっては極めて魅力的なキャラクターだったろうと思う。
ついてくんじゃねーよ、と凄むと、クルモンがばーか?と言う。
すると、遠くから哄笑の声が――
デジタルフィールドが!
貴様かぁ!と飛び込んでいく。
霧の中に消えるインプモン。
心配そうなクルモン。
俺を笑った奴はおめーか!?
午デジモン――、巨大な――
謎の施設――
都庁地下深くにある、ネット管理局R&Dセンターに山木が来て作業を指示している。
ワイルド・ワンが出現という報告。関係各庁に連絡し、奴らに対応させろと指示。
シャッガイがお前らの通り道ではない事を、すぐに知らせてやる――。
書き忘れていたが、「シャッガイ」というのはH.P.ラヴクラフトが「闇をさまようもの」という小説の中に記した架空の書籍名。後に星の名称だと解釈され、リン・カーターが「シャッガイ」という短編を書く。
ワイルド・ワンのリアライズだけではなく、同じパルスの信号がシャッガイ・ホールに送られてきているという報告。
なんだと!?
背中に背負った宝貝(パオペイ)。
お前も同類だ。
一度人間に飼い慣らされたデジモンは同じ臭いがする、と言われる。
愕然となるインプモン。
ここで、12話のアイとマコに引っ張られるという悪夢的回想がほぼそのまま。
しかし回想ではぬいぐるみのくまの腕が裂けたのだが――
ここで新作カット。極限まで痛みに堪えるインプモン――
おぞましい記憶を振り払う様に頭を振る。
そして自分の異臭を嗅ぐ。
人に飼われたお前が何故進化しない、と問われキレるインプモン。
はせ参じるレナモン、続いて留姫。
デーヴァのデータはデータベースになかなか登録されない。
名前が判明。インダラモン、ウイルス型完全体、聖獣型デジモン。
物質世界での進化などあってはならないもの。お前たちは存在が許されないのだ。
そう言い捨ててインダラモンは一旦消えていく。
インプモンは邪魔をされたと激高。あんな野郎、俺一人で始末出来たのに。
あんたが? と留姫。レナモンは冷静に、奴はデーヴァだ。ただのデジモンではない。進化が出来ないお前では敵わないと教える。
当然、インプモンは認めない。
なんだよ進化進化って! 俺は強いんだ! 俺は人間なんかとつるんだりしねーんだ!
ただのいつもの捨て台詞とは調子が違うのだが――、
留姫は、馬鹿みたい。行こう、レナモン。
留姫に促されても、暫しインプモンの方をみやっていたレナモン――。だが留姫に従う。
第18話回顧 2
後半はヴァジラモンとの対決を真正面から描かれる川田演出の醍醐味と、タオモンの進化バンク初披露というイヴェントが多く、画像の枚数が多くなってしまう。
クルモンが危ない!
ギルモン進化する! 自分からタカトに促す。
カード・スラッシュ!
グラウモン!
レナモンに声を掛ける事を躊躇う留姫。
留姫……。
プラズマ・ブレイドを――
かわされてしまい、角で突き上げられる。
テリアモン!行ける!? 多分ね。って心許ない返事をしながら、ちびちびが出陣。
超進化プラグインS!
ガルゴモン、向かっていくが――
ガトリング・アームの銃弾は効かない。
鬱陶しい奴らが!
まとめて片付けるかぁぁ!と宝剣を抜く。
させるかと狐葉楔。
剣で防ぐヴァジラモン。
剣に映る、レナモンが身を回転させながら着地する様。
レナモン!とヴァジラモンに呼び掛けられるが――、レナモンはきっぱりと言う。
私はパートナーと共に進化するデジモンだ。
レナモン!(行くよ!)
留姫のカードを背中で待つレナモン。まるでダブルスの試合をしている選手の様に、完全に信頼し合えるからこその姿勢。
超進化プラグインS!
キュウビモンへ進化。
キュウビモン、美しき者よ。逆らってはいけない。
剣を収めるヴァジラモン。キュウビモンの姿は一層魅力的なのだ。
しかしキュウビモンに鬼火玉を放たれる。
肉弾で向かってきたキュウビモンを投げながら、ヴァジラモンは尚も説得を試みる。
私と戦ってはいけない!
留姫、パワーチャージャーのカードをスラッシュして支援。
弧炎龍が――
宝剣のローダに――
裂かれる。
お前は私と共に生き、私と共に進化するのだ!
あれ、《私》になってるな……。アフレコ立ち合ってたのにチェック・ミスだわ……。(20年後の後悔)
今井由香さんの咆哮。今話は何カットもある。
タカト、グラウモンに高速プラグインHで支援。
しかしエキゾースト・フレイムも宝剣で斬り裂かれる。
強化プラグインO、っていうのは初出。ガルゴモン、ダムダム・アッパーを仕掛けるのだが――
力では全く相手にならず、二体が潰される。
強すぎる。ガルゴモン、進化出来る?
無理かも――。タカト、グラウモンに立つんだ!と叫び、高速プラグインB!
う~~~~~ん……
ダメだゴメン、タカト……とダウン。
三人ともしょぼーんとしていたが――
キュウビモンが渾身の頭突き。尚もヴァジラモンは戦いたくないと言うのだが――
キュウビモンの決意は揺るがない。判らないなら仕方ない――
判らせてやるしかない!と宝剣を振るう。
宝剣から放たれるエネルギー攻撃、ローダが、キュウビモンを狙って――
危ない! キュウビモンのピンチを救うべく、腰のカードホルダーに手を伸ばすと――
ブルーカードがその手に。
進化出来る! クルモンもやる気満々で額のマークに光を溜める。
ブルーカードを――
今気づいたが(20年の時を経て)、カードの内側のサークルが回転している。
スラッシュ!
キュウビモン→タオモンの進化バンクは大塚健さんの原画。
クルモンのクリスタルが回転する向こうからギャロップしてくるキュウビモン。
赤いクリスタルが――
キュウビモンの額の陰陽印に――
同化! 凄まじいパワーがキュウビモンを貫く。
跳躍し――
弧炎龍の形へ――
眩く光になって――
変化の過程は抽象化され、エフェクト・アニメーションによる。
輝きの中に――
浮かぶ面――
目蓋を開く――
月と太陽が並んでいる前で回転する――
徐々に回転速度が緩むにつれて月と太陽が接近していく。
袖の所作が美しい。
立ち上がると共に、金環蝕が――
全周となり――
タオモン! と名乗り。
顔を上げ――
タオモン、完全体、データ種 必殺技は梵筆閃。
クルモンは力を出し切ったらしく、へたりこむ。
憤るヴァジラモン。
人間に近い姿に進化したのが、デジモンとしては外道であるとヴァジラモンは思っている。
タオモンの姿はヒュプノスでも認識されている。
お前は間違った進化をしている。
間違いだと判断するのは誰だ。
お前たちの《神》ではない。そう告げてタオモン、飛翔。
狐封札(こふうさつ)を放つ。
完全体であるタオモンの技は、ヴァジラモンにダメージを与える。
何故判らないのだ! 何故人間に近い姿に進化するのだ!
続けざまに斬りかかるヴァジラモン。しかしタオモンは袖で払う。
我らが神の意志に反して――
優雅に跳躍。
お前からは、私が欲していた情報を得られた。礼を言う。とタオモン。
我らが神の意志に反する者は許さない。例えお前であっても! ローダを放つ!
地を割るパワーがタオモンに迫る。
タオモンの見事な動きに留姫は魅入られる。
後方へ平行移動でローダを避けていく。
ローダが激突した遥か上方へタオモンは移動していた。
ヴァジラモン、最後の手段として宝剣を投げる。
すっ、と姿を消すタオモン。
既にヴァジラモンのすぐ上方に来ている。
袖の下から伸びる巨大な筆。
梵・筆・閃(ぼんひつせん)!
ヴァジラモンを貫く。
これで決まった。
量子崩壊していくデーヴァの4体目。
無言で見届けるタオモン。
やったでクル!
冷徹なプロの声で麗花、ワイルド・ワンの消滅を報告。
山木は苛立っている。あいつらにしか、ワイルド・ワンは消去出来ないというのか……?
帰宅していく西口組。
彼らを見送っていた留姫も帰宅へ。
進化って、デジモンとパートナーの――
闘い方で決まるの?と留姫はレナモンに問う。
ほんとのところはよく判らない。でもそんな気がした、とレナモンは腕を組む。
うん、でもなんか判る。私もそんな気がする。
レナモン、すごく強くなったね。でも――
月の光に照らされてるレナモンも、すごく綺麗。
意外な言葉に思わずレナモン、腕を降ろす。
優しい目で留姫を見送っているのだろう――。
この終幕、「3 Primary Colors」のエンディング・パートが流れる。とても入る余地はなかったが、同曲の留姫パートも聴きたかったと、思った。
最後の留姫の言葉は唐突な気がするかも知れないが、前半と見事に呼応している。
留姫にとっての「美しさ」は、派手な洋服を着て作り笑顔するものではないのだ。留姫には留姫の美学がある。そしてレナモンはその象徴になっていた。
まだ思春期にも至ってない小学生の、反抗期という程単純ではない留姫の中で起こっている相克。お祖母ちゃんとはすぐに仲直り出来ても、ルミ子とはなかなか解り合えない。まだその時ではないのかもしれない。安寧に解決出来る程、単純ではないのだ。
こうした心の機微を捉えたシナリオは元希さんならではだった(女性ならではとか今は言ってはいけないらしい。おかしな話だが)。
#18 Credits
ヴァジラモン:石塚運昇
レナモン/牧野ルミ子/秦聖子:今井由香
タカトの父:金光宣明
タカトの母: 松谷彼哉
菅井マネージャー:小栗雄介
カメラマン:小嶋一成
山木室長:千葉進歩
鳳 麗花:永野 愛
小野寺恵:宮下冨三子
原画:直井正博 羽坂英則 福井智子 大塚 健
動画:柳田幸平 梅谷孝行
背景:松本健治 鈴木慶太 佐々木友子
デジタル彩色:佐藤道代 戸塚友子 松森より子 坂入希代美
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 則友邦仁 松平高吉 石川晴彦
演出助手:まつもとただお
製作進行:山下紀彦
第18話回顧 1
キャラクターの動線は更に絡み合う。17話と直接リンクしている18話。
デーヴァを毎回一体倒していっては、デーヴァの強さを表現出来ない。かと言って負け続けても完全体へ進化していくヒーロー・デジモンの特別性が失われる。このバランスをとるのに腐心した。
前回二体出して一体のみ倒し、今話で結着をつけるのだけれど、どう二話をリンクさせ、かつそれぞれの独自性を確立するか、まさきさんと元希さんとで綿密に摺り合わせが行われた。
美しき進化! 月光に舞うタオモン
脚本:吉村元希 演出:川田武範 作画監督:直井正博 美術:渡辺佳人
レナモンがヴァジラモンと共に姿を消して数日――。
ALMANDAという店名とこの色味、似た店が六本木交差点にあり、待ち合わせによく使われる、らしい。私はここで待ち合わせた経験がない。
芸能事務所なども六本木周辺に、多いとまでは言えるかどうか。
留姫が嫌いなタイプの洋服を着ている。背後には母の広告写真が。
どうやらルミ子が娘をカメラテストに連れてきたらしい。
こちらは私がお世話になっている菅井マネージャー。あんまり変な事言わないでね。
変な事って何。
モデルは何が面白くて笑ってんのか、とか洋服が嫌いだとか。
洋服が嫌いなんじゃないの。ママが買ってくる服が嫌いなのよ!
菅井マネは忍耐強いタイプ。ルミ子担当なので鍛えられている。留姫を褒めて、帽子を被らせる。
似合うよと言われ、そう、と素直に被ってみる。
え、似合うじゃん……。
スタジオでレンズの前に立つ留姫。
お母さんと同じ仕事、やってみたくない? と菅井マネ。ルミ子の狙いはそこにある様だ。しかし留姫は素気なく、全然と。
ストロボが炊かれる。
無神経に照度計を顔の前に突き出される。
あれこれと注文をつけてくるフォトグラファー。
容赦なく炊かれるストロボで、留姫は――
離人感を抱く。
思わず帽子を落としてしまう。
まるで恐ろしい存在の様に迫ってくる――
手でレンズを塞ぎ――
押し倒して逃げ出す留姫。
ここまでパニックになるとは予想していなかったルミ子。
無言で歩いて行く留姫。
フラストレーションが溜まっていく。
ジェンリャの部屋を来訪しているタカト。レナモンがなかなか帰らない事を心配して相談していた。
テリアモンはモーマンタイと言うが……。
一体何なんだろうね、デーヴァって……。
陽が落ちるのを見ているギルモン。
ギルモンも寂しそうだ。
D-Arkにも反応はない。
気が気ではない留姫。レナモンとは既に強い絆が出来ていた筈なのに――。
レナモン、戻ってこないのかな……。
バスが過ってすぐに次のカットに移る編集。
留姫が帰宅してすぐ出て言ったと聞いて嘆くルミ子。
すぐ帰るって言ってたよ、と聖子。
自分のプラン通りに運ばないと気が済まないタイプ。
だが、ルミ子は彼女なりに、今の留姫を心配していると判っている聖子。
さてここはどこだろう?
明らかにスポーツクラブではなく、リゾート・ホテルにある様な屋内プール。かつ高層階。どこかのホテルにある、という事に。
一人の若い女性が本格的に泳いでいる。
はて、この様なキャラクターはこれまで登場……
携帯電話の着信音が「ボレロ」、というのは狙いがあったのか私は不明。
甘い声で、今夜は夜勤があるからと断っている。誰か恋人がいるのか。
大江戸線と思しき地下鉄で都庁駅に降りる女――。
なぜか夜なのにサングラスを掛けて――
けやき橋商店街を歩いている。と――、自転車に乗った留姫とすれ違う。
少し緊張している様だ。
まつだベーカリーで買い物か――。
タカトは、ギルモンがいなくなる事を心配している。と――、階下より呼ばれる。
10円玉のストックを持って来てくれと頼まれるタカト。
じっと観察する目――。
ただいま、と帰宅してきた留姫を、ルミ子が玄関先で待っていた。
こんな時間に散歩している小学生、どこにいるの?
ここ。
わざとだろうが、靴を脱ぎ散らかしたまま上がっていく。
びよよ~ん、とかいうSEではなく、緊迫感のある音楽。ジェン!
レナモン一緒かな、と問うテリアモン。行こうと振り向かず立ち上がるジェンリャに、さっとテリアモンは肩に乗る。
あ、ジェン、と声を落とすのは、男子からの電話を誤解されたくなかったからか。ルミ子の視線を逃れて――
急いで来て、というジェンリャに、判った!
またも夜更けにMTBで走り出て行く留姫を、ルミ子は呼び止めるのだが……。
そして都庁――。という事は――
降りてくる後輩にお疲れーと声を掛ける。
今日どこに寄ってきたのか聞かれる。肌の調子がよく見えるらしい。
別に大したところに行ってないけど、と言ってARゴーグルを着ける。鳳麗花だった。まあ大人の視聴者には先刻お察しなのだが。
お先に、と恵が帰ろうとすると――
アラートが鳴る。またワイルド・ワン! 二人とも急いでオペレータ席へ。
秋葉原に現れた個体と同じものが、国立競技場にリアライズする――。
こっちとあっちの領域を崩して、勝手な事をしていられるのも今の内だ!と室長。
シャッガイ計画以来、ヒュプノスの設備は肥大化している。
今となっては「旧・国立競技場」。フィールドの中央からデジタル・フィールドが噴出する。
フィールドに立つヴァジラモン。
聖火台に立つ――レナモン。
これまで二体がどうしていたのかは不明だが、レナモンの意図は実のところ明白だ。これまでデジタル・ワールドでも聞いた事のない、デーヴァという十二のしもべは、一体どんな意図があるのか、そして神とは何なのか。それを知るにはデーヴァの一人であるヴァジラモンに接近する必要があった。
美しい。本当に美しい――。
ヴァジラモンは元々は前回倒されたパジラモンがバディであり、夫婦に近い関係であったのだろう。しかしパジラモンは破れた。ヴァジラモンがレナモンに執着するのは、パジラモンの代用というよりも、やはり人間で言えば恋愛に近い感情を抱いていたと考えた方が納得がいく。
レナモンはまだ全てを聞き出してはいない。しかし、留姫の接近を察知。
必死に夜道を自転車で走るジェンリャとテリアモン。
留姫。
そして、ギルモンを乗せているので漕ぐのが大変そうなタカトが合流。
この場面はとても好きだ。これぞテイマーズという感じがする。
ここでA-Part終わりなのだが、もう少し続ける。
ヴァジラモンがレナモンを説得している。
我と共に我らが神を崇め、我らが神の意志に沿い、我と共にこの地に降り、栄えていくのだ。
石塚さんの声によるあまりに説得力ある言葉。この《われ》という堅苦しい一人称が、デーヴァ口調として固定化。
レナモンは冷静に問う。お前の言う神とは何だ。何処にいる。
美しい。お前は我らが神と共に生きていくに相応しい――。
基本、ヴァジラモンはこういう事を言い続けたのだろう。
国立競技場に到着する。デジタル・フィールドで視界が悪い。
レナモン、いると思う? さあ――
バックヤードからフィールドへ急ぐ。
何!?
この問答も、ついに終える時が来た。
レナモン……。
ギルモンが行こうとすると、テリアモンが「まって何か話してるみたい」
レナモン、我らが神とは我々デジモンの神という事だ。我々は元々人間の生み出したデータだが、こうして命を得ている。
人間の生み出したデータ……。レナモンは自分の出自を知らない。
人間は我々を見捨てた。思い出せ! こうして形を得る前は、ただのデータ残灰としてデジタル・ワールドを彷徨っていたのだ!
黙考するレナモン。
ヴァジラモンの弁に考慮すべき点があるのは確かだ。リアル・ワールドにいるデジモンという不自然な立場にあるレナモンは、留姫との絆を深めて自身の存在理由を見出しつつあったが――、しかしデジモンはデジモン。人間とは違う。
デジモンの神――?
この二人にはちんぷんかんぷんな話だった。
そこへ、空気を読まず、なのか読んだからか、クルモン登場。
なーにしてるんでーすか?
お前も人間に仕えているデジモンなのか!?
邪魔をするな!と蹴り飛ばされ――
追いかけるヴァジラモン。
クルモン、ピーーンチ!
回顧前半はここまで。
ところで、これまで新宿中央公園が淀橋浄水場の跡地に出来たと記してきたが、それは誤りだと今になってやっと知った。
getnews.jp この記事でかつて浄水場だったエリアが判るのだが、それは都庁から京王プラザホテルまでの間で、公園ではなかった。
ameblo.jp こちらの記事で、2009年に廃業してしまった新宿十二社(じゅうにそう)温泉のルーツが記されている。テイマーズの設定で言うと、けやき橋商店街のすぐ南側に、かつては大きな池があった様だ。
bcr-jj.blogspot.com どうも昔はこのエリアは色街だった様だ。なるほどなぁ。
bcr-jj.blogspot.com 池があったエリアはこちらの記事に掲載されている。
テイマーズのデジタル・ワールド
ここでちょっとインターバル。先に第三部のデジタル・ワールド編についてのTweetを差し挟む。
このブログはシリーズ構成視点で書いている。
ライター陣で能動的に沸き上がる新たな要素などを調整する一方で、先回りして想定しておく事がある。テイマーズは四部構成で一年を送る、ある面では判り易い構成をしていた。
デジモンアドベンチャー、同02だって現実世界を舞台にしたエピソードは少なくないし、寧ろその現実世界のエピソードの方が個人的には印象的だった。だからテイマーズは基本ベースは現実世界で揺るがない。
しかし、タカトたち人間がデジタル・ワールドに行くという事をリアリズムで考えると、とても子ども向けアニメにはなりそうもない。やはり最低限ファンタジー的なジャンピング・ボードはが必要だった。
そして、カジュアルに行き来出来る様にもしたくなかった。それだけの決意をし、自分達の意思でデジタル・ワールドへ行くのが何よりもこのシリーズでは重要だった。
私は異世界というものにあまり関心がない。だからこういうシリーズになったのだけれど、デジモンのアニメとしては絶対に必要な《デジタル・ワールド》を、テイマーズでどう描けばいいのだろうと思いあぐねる。文章をこねくりまわしていても埒が明かない。私は頭に映像が浮かんで、初めてシナリオが書けるという非ノーマルなライターなので、下に貼った流れで構想していった。
私がデジタル・ワールドの構想に悩んでいたのは、7話を書いた頃からだと思う。それくらい先回りして準備を整えつつあったのだが、シリーズが放送開始となって、やはり前作より少し視聴率が落ちていた。予定ではノーマルに27話からデジタル・ワールド編に入るつもりだったのだが(3クール目)、もっと早めて欲しいという強い要請があった(局ではないし、デジモン企画チームでもない)。
2クール目、デジモンテイマーとして自覚が出つつ、衆人の中で戦い続ける事の難しさが出てきて(ドラマ的には美味しい)、デーヴァという敵はいずれも個性的でドラマも練り甲斐があり、本来ならもう少しこの状態で進めたかったのだが(特に、17、18話の連携は実に楽しかった)、3話前倒して24話からがデジタル・ワールド編となる。関プロデューサーは最大限粘ってくれて、感謝している。
テイマーズに於ける「デジタル・ワールド」は、前作までのそれと名称を同じにしているものの、異世界ではなくネットワークそのものと規程していた事は再三述べてきた。。https://t.co/saHlOFP32qに置いてあるこの概念図は当然ながら90年代末までのネット世界をモデルにしている。 pic.twitter.com/XtciOihUjl
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
「lain」では「ワイヤード」とネットを呼んでいた。第1話 Layer:01時点でワイヤードは「死後世界」に重ねている。これも異世界なのではなく、現実と背中合わせの非現実世界を表現する試みだった。その後Layerを進める内に様相は全く異なるものになっていくのだが。 pic.twitter.com/0Rj1vClfO8
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
企画開発時から、3クール目にデジタル・ワールドへ行く事は規定路線となっており、如何にテイマーズならではのデジタル・ワールドを表現するかを悩んだ。スケジュールの厳しい東映作品で、あまりノーマルでない表現を導入する事は憚られた。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
貝澤さんや角銅さんは自ら手をつける事で、ユニークな映像表現を自身の演出話数では導入を可能にしていたが、シリーズでは何かシンボリックなものが必要だった。荒牧伸志さんに相談して得られた解決策が、リアル・ワールド球が空に浮かぶ荒野のイメエジだった。 pic.twitter.com/N0OKi7Ghow
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
ちょっと言葉が足りてない。貝澤さん、角銅さんは当時の東映アニメの演出家の中で自から3Dソフトを使って映像まで作っていた特異な存在で、他にそういう人はいなかった。
タカト達が最初に辿り着くここは「物理レイヤーの荒野」と呼んだ。西部劇で描かれる荒野には、枯れ木が球になって転がっていく。それに見立てて転がっていくのがダスト・パケット。このレイヤーから更に深く潜っていくと、それぞれの小世界が広がっているという構想だった。 pic.twitter.com/3YcfvXm6th
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
荒牧さんによるイメージボード、物理レイヤーの荒野と頭上にはリアル・ワールド球。
これがダスト・パケット。
空に現実世界が球状に見える、というのは本当に凄いアイディアを出してくれたと感謝している。直感的には判りにくいかもしれないが、地球空洞説をひっくり返した様な観念だ。
ただ、デジタル合成(フィルム作品なら撮影+特殊効果という部署)スタッフの方々には面倒をお掛けする事になって、これは申し訳なかったとしか……。
ただ、こうした私の足掻きは杞憂だったのかもしれない。ヒュプノス内部の描写はト書き以上の事は私は何も意見しておらず、貝澤幸男SDと渡辺佳人美術デザイナーの創造であった。些かオーヴァーテクノロジー感は抱くものの、ただならぬ事態を監視する描写としては最高だった。 pic.twitter.com/eziEfCaqwu
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
少し余分だったTweetを抜いて続ける。
私は小難しい設定を作ると思われていたかもしれないが、実は逆なのだ。なるべく物語に自由度を持たせたいが為に、独自な「世界観」という縛りを無くしたかった。「世界観」というものに独自性を持たせるのは困難であるし、その「世界観」のルールや法則などに縛られたくない。 pic.twitter.com/jxdDePqdzU
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
だからデジタル・ワールド=ネットワークそのものという事にした。デジモンが死ぬ事もそうで、あくまで現実の延長にあるが故である。デジモンが元はワイルド・バンチが創案したゲームのAIであっても、ネットの中でデジモンは独自に進化し自我を得ていった。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
訂正。AIではなくAL。Artificial Life 人工生命
招聘されたドルフィンたちが、最初は戸惑うばかりで事態の把握に努めていたのは彼らが無能だからではなく、デジモンの進化が予想より遥か先にまで辿り着いていたからだ。そして最も早く進化したデジモン4体が、創造主=人類に反旗を翻し自ら神になろうとした。 pic.twitter.com/o1xZuUwfBo
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
最初に紹介した概念図を見て判る人もいるだろうが、タカト達のデジタル・ワールド冒険行は、ダンテ「神曲」の「地獄篇」を準えている。この時期のネットの最深層部は漏斗状に落ち込んでいる。そこでデジモンを進化させる力「デジ・エンテレケイア」が保持されていた。 pic.twitter.com/Aml96dK7zH
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
四聖獣達が一枚板ではないというのは、「どうしてデジ・エンテレケイアをクルモンに変えたのか」という事を考えて行き着いた構図であった。大物達の対立劇は、昭和の山本薩夫映画「金環食」などでの佐分利信や内藤武俊といった昭和俳優達の芝居が脳裏にあった。 pic.twitter.com/eutSSDKoTu
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
さて、クルモンを巡る事もそうだが、デジモンがリアライズしたり、デジヴァイスがアーク化したりと、四聖獣やSHIBUMIの意図とは異なるなんらかの作用が恣意的に起こっていた。これは何故かと考えていくに至り、ネットワーク・ネイティヴの未知の知性体がいたと解釈するしかない pic.twitter.com/aojCPKpqMO
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
端的に言えば、カードリーダーがD-Arkに変わるなどといった《魔法の様な》出来事、光の柱の様な描写が単なる演出効果なのではなく、実際そう現実を変えてしまう存在、主体がいたという解釈に行き着いたのだ。
2つの領域を自由に行き来出来て、トリッキーな出来事を誘発していく。しかし人間やデジモンとコミュニケーションをとる事は出来ない――。それがデジノームという存在が居るのだという確信を得る。なぜかデジモンカードにもデジノームがいるのだが。 pic.twitter.com/Zh35h7NCWU
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
デジノームはDigital Gnomeの意で、パラケルススの四大精霊の内の地の精だが、GnomeはX Windows System(Linux系OS)のデスクトップ環境の代表の1つでもありKDEと並んでポピュラーだったが、最近の事は知らない。 pic.twitter.com/OTffr0R33m
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
このいたずら者的な在り様は、白雪姫の小人ではなくパックに近しい。ジョン・A・キールのエイリアン=超地球人説のそれに近いイメエジを抱いていたら、過日のニコ生で、角銅さんが「アドベンチャー」に於けるデジモンの解釈がそれに近くて、20年近くぶりに知って驚いた。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
尤も、「アドベンチャー」のデジモン、特にパートナーとなるデジモンと子どもの結びつきはテイマーズよりもずっと心理的な結びつきが強く、やはりそこはテイマーズとは捉え方が違っているのだが。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
テイマーズのデジタル・ワールドについて概説しておこうと思ったが、どんどん深みにはまって長くなったので、ここで一旦引き取る。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2018年2月25日
第17話回顧 2
B-Partは一転、デーヴァ二体との戦いが繰り広げられる。
ヒュプノスが二つのリアライズしようとしているワイルド・ワンを検知。
ユゴスを撃つが、消滅させられてしまう。
またシャッガイ・ホールを使ってのリアライズだと報告を受けて山木は悪態。
あ、やっと改造Palmの全容が判った。完全なフリップではなく、キーボード部のみがフォルダブルという構造なのか。後のBlackberryに近い。
ところで私は、スマートフォンの文字入力はQWERTY。フリック入力は全く出来ない。というか覚えようとすらしなかった。Palmのグラフィティはすぐに習得したのに。当然ながらスマートフォンでのQWERTY入力はキーが小さすぎて入力ミスは減らない。勢い入力しようという場面も減る。かと言ってBluetoothのミニ・キーボードを持ち歩いた事もあるのだが、そうまでしてという気もしてやめた。
タカトらはついに秋葉原に至る。
深い溜息をつくジェンリャ。怪我をした父から逃げ出した事は強い後悔となる。テリアモンのモーマンタイも、全く慰めにならない。
ぼくたちだって、こういう日が来る(親に知られる)かもしれない。
ああ懐かしい。キーボード専門店とか、アキバならではの店がかつては色々とあったのになぁ。
今回に限らずだけれど、シナリオでロケ場所を特定して書くと、演出の方もロケハンをしてコンテを描く事になるし(本ブログでは記述していなかったが、今は違うケースも多いらしいのだけど、伝統的に東映アニメーション作品は、演出とクレジットされる人がコンテを描き、演出作業を行い、音響監督も務める)、更に美術担当の方も背景画を描くべく足を運んだのだろう。
貝澤さんが、神楽坂近辺のロケハンをしようと助手の人を伴って出撃するも、雪一面で取材にならなかった、という思い出を2018年に聞かせて貰った。リアル場所設定主義というのは、現場的には負担をかけるものなのだった。
家電量販店も殆どなくなった。そこにクルモンもやってくるが――
《声》が多すぎて疲れてしまう。この声というのが、店頭などのテレビの音声なのか、それともネットワークのトラフィックの事なのか――。
路上でのカード・トレーディングはやめよう。
ブルーカードを紛れ込ませたという人物が現れる事を期待したいが、そう都合良くは――
突如電波障害が。
ジェン! 上!
虚空に出現するシャッガイ・ホール――、最近の言い方ならポータルだ。
同時に二体――。
未(ひつじ)のデーヴァ、パジラモンと――
JR高架上に降りた丑(うし)のデーヴァ、ヴァジラモン。
男性的なヴァジラモン(石塚運昇さん・演)。
女性的なパジラモン(勝生真沙子さん・演)――。とは言うものの公式設定ではデジモンにジェンターはないという。
中央通りを蹂躙。
D-Arkは早くもサーチ。
どちらも完全体。
逃げ惑う人々。
ここから――
ホールから噴出するデジタル・フィールド。
辺りが靄に包まれる。
データ・ディスクが吸い上げられる。
パソコンなどの機器を食らうヴァジラモン。
めええええええ、と巨大な声で啼くパジラモン。
この声は人を昏睡状態にする。
意識を失う。
タカトたちは何とか耳を塞いで防御。
CDデータが――
飲み込まれていく。
リアライズしたばかりで、身体を安定させる為にデジタルなものを食べているのか。
テリアモン、レナモン、臨戦態勢へ。
どっちに行く?とジェンリャ。留姫はヴァジラモンを選ぶ。
サイド・バイ・サイドのカード・スラッシュ。ジェンリャ&留姫ヴァージョン。
ジェンリャはトール・ハンマー、留姫は強化プラグインWを選択。
わーい、と巨大ハンマーを持って走るテリアモン。
急襲するレナモン。
パジラモンの脳天にハンマーを撃つ!
ヴァジラモンにキック!
しかし二体には全く通用しない。
テリアモン、強烈に角で痛打され――
踏み潰される。なるほど、お前たちだね、人間とパートナーを組んでいるデジモンというのは。 テリアモンだーと必死に叫ぶ。
お前は? レナモン――。ヴァジラモンはすぐに手を出さず、ほう、と見入る。
こいつらどうしてくれようねとパジラモン。
ロードし、我々がより高みに進化する糧にせよというご命令、忘れたのか?とヴァジラモンに言われ、腹立たしげに確認しただけだと答えて――
パジラモンに放り投げられるテリアモン。
宝弓(パオゴン)を打ち込まれる。
テリアモーーーーン!!
くるー!
進化シークェンスに入る。
ガルゴモンへ――
降下しながらガトリング・アームを撃ち込む。
パジラモン、当初は怯んでいる。
着地!
宝剣を抜くヴァジラモン。レナモンは狐葉楔を放つ。
何を戯れておる!
ヴァジラモンは反撃せず、宝剣で狐葉楔をかわすのみ。レナモンの進化を見たがっている。
遊ばれてる!と留姫。 タカトはジェンリャにカードを渡す。
高速プラグインH
驀進しながら撃つガルゴモン。しかし――
凄まじいパジラモンの地面踏みつけに――
転倒。
向こうではレナモンが飛翔し――
ヴァジラモンの宝剣上に立つ。
パジラモンは横たわったガルゴモンのオーバーオール・デニムに矢を放って、地面に固定してしまう。
必死に防御しようとジェンリャはスラッシュするが――
石化するガルゴモン。ウルトラ的にこれは敗北フラグ。
石化したガルゴモンが蹄で打ち付けられ、破壊されそうだ。もう二人とも冷静さを失い、カードを選べない。
無効化プラグインで生身に戻ったガルゴモンに、とどめが差されようとしている。
タカトにブルーカードをスラッシュする事を提案されるが、逡巡するも――
スラッシュ! マトリックス・エヴォリューション!
するとD-Arkが虚空に光の柱を立てる。
これで終わりだ――
ガルゴモーーーーン!!
クルモンから凄まじいパワーが――
タカト、それを目撃。
虚空から降りてくる光の柱が――
ガルゴモンの
今回から、合成音声ではなく加工した人声に変更される。理由は不明。英語としては「メイトリックス」に近いからか。
ガルゴモン進化バンク。
ガルゴモンの進化バンクは、花火や鼓笛隊の打楽器などの効果音がふんだんに使用されて賑やか。
グラウモンはモーフィング的な形状変化だったが――
一旦量子化レベルに分解して、身体パーツをゼロから組み立てていく。
やわらか金属感。
耳でテリアモンの片鱗が。
テリアモンよりもデジモンらしい目。
ラピッドモン!
まさに電光石火の素早さで翻弄。
痛烈な回し蹴り。
ラピッドモン、サイボーグ型完全体、ワクチン種――
どうなってるの!?
なんかすごく早く動けるのー、と声はテリアモンのまま。
続けざまに撃ち込むラピッド・ファイアー。素早く左右から強烈なロケット・ミサイルを撃つこの動作は以降の話数でもバンク使用される。
これにはパジラモンもたまらない。
こうなったら――
人間のパートナーを盾にして――と子どもたちに向かうが、それを許すラピッドモンではない。
ゴールデン・トライアングル!
ラピッドモンのカラーに合わせてか、ゴールデンというよりはエメラルド・グリーン。
集約しないままパワーが押し寄せる。
パジラモンは一瞬にして量子崩壊。
ヴァジラモンも――やられたかに見えているのだが――
やった!
消去されたのは一体だけです。
秋葉原は電波障害の為として情報が隠蔽されたらしい。
ジェンリャの部屋に入ってくる父。テリアモンはもう人形のふりをしていない。
助けてくれてありがとう、とジャンユーに言われると、ほめられちゃったよとテリアモン。ジェンリャはずっと黙っててごめんなさい。
でも隠し続けるの辛かったんだ。すると父、判るよと。
ジャンユーも、これまで黙っていた事を話し始める。
20年くらい前、ジャンユーは仲間とデジモンを作っていた。
誰でも参加出来る、自由なプロジェクト(=オープン・ソース)。
帰宅していく留姫――
それを追う影。
Artificial Life AL(人工知性)の研究は他にも多くあったが、ジャンユーが参加したプロジェクトでは自己複製といったものではなく、弱肉強食の野性を取り込んだ。
しかし支援者がなくなり、プロジェクトは断絶。
しかしジェンリャたちが遊んでいる(ゲームの)デジモンというのは、その時に作られたデータから進化しているのだという。
ゲームとして世界中の子どもたちがデジモンと遊んでいる。それはジャンユーにとっても嬉しい事だった。
ははは、と笑うテリアモン。だが――
どうしてSHIBUMIが書いたコードが――
あのカードに……。一体、誰が……?
ブルーカードの事?
生きてた――
ヴァジラモンは留姫に目もくれず、レナモンを指差す。
レナモン、目を細める。
レナモン、黙ってヴァジラモンの前に歩み出るのを見て驚く留姫。
用があるそうだ。
デジモンにしか判らない事もある。心配しないで。必ず帰ってくる――。確かめたい答えが得られたら――。
そう言ってレナモンは強い声で、案内して貰おうかとヴァジラモンに告げる。
ヴァジラモンに続いて何処かへ去って行く。
デジモンにしか判らない事って……。
そういうものは確かにあるだろう。既にデジモンは独自の知性として進化している。価値観も異なる存在なのだ。たまたまパートナーとなったデジモンたちが、子どもと共感しあえる関係を築けたのだとしても――。
#17 Credits
少年:中山りえ子
少年:村岡雪枝
アナウンサー:小栗雄介
黒服の男:佐藤晴男
パジラモン:勝生真沙子
ヴァジラモン:石塚運昇
原画:田辺由憲 山口泰弘 藪本陽輔 芹田明雄 仲条久美 深本泰永
動画:塩田夕子 渡邊 渉
背景:スタジオロフト 井上徹雄 安倍とし子 劉 基連
デジタル彩色:藤田 潮 徳永ゆき子 福田直征 金森真紀
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 則友邦仁 吉野和宏 中山照美
演出助手:門 由利子
製作進行:坂本憲生知
第17話回顧 1
お楽しみ回の後はストーリーにドライヴが掛かる。
このシリーズに於けるデジモンの出自が、ほぼこの回で明かされる。ブルーカードを巡る謎も含め、この辺りの設定は主にまさきさんが担っている。
演出は吉沢さん、作画監督は浅沼さん。
2001年の秋葉原は、間違いなく電気街であった。私もこの頃はPCパーツを買いに行ったりしていた。その後ホビーの店が幅を利かせる様になると共に、家電店が姿を消していき、新たなビルがどんどん建って、普通の勤め人が多くなる。そうした勤め人をターゲットにしたサーヴィス系が今は多くなった。
ブルーカードを追え! ラピッドモン電光石火
脚本:まさきひろ 演出:吉沢孝男 作画監督:浅沼明弘 美術:清水哲弘
黄色い上着を着た男が――
カードダスでデジモンカードを入手したらしき子。
男がポケットからカードを出し――
わざとぶつかる。持っていたカードをばらまいてしまう。
男がカードをその中に紛れさせた。
そして去って行く。
見慣れぬカード。
こんなの持ってたっけ?
ボクたち優等生、という用途不明なカード――
新宿中央公園で――
この遊具は随分前に撤去されて今は無い。
滑り台の途中で木漏れ日に当たるテリアモン。
ケンタがこのカードあげる、とジェンリャに。
はて?
なんのカード? 試しにD-Arkで――
スラッシュしかけたところで発光。
カードがブルーカードに変貌していた。
唖然となるジェンリャだが、テリアモンは喜んでいる。
帰宅してきた父に、シウチョンが新しく買って貰った帽子を自慢。
ジャンユーは妻の麻由美に、《仕事関係の人》から電話がなかったかと訊ねる。しかしなかったという。
そこにジェンリャが、頼み事をする。
カードを解析するリーダの接続を頼まれたのだ。
電源を入れると――
ドライブが作動。
ふと見ると――
人形として静止しているテリアモンを見て、まだジェンリャは幼いのだなと思う。
ブルーカードをリーダにロード。
どんなデータが入っているのかとソースコードを見ると――
これで何かが判るとも思えないのだが――、恐らくは特徴的な何かがあった。
どうしたの?とジェンリャ。しかし、ジャンユーは答えを濁す。
やはりブルーカードが何処から来たのかが気になり出すジェンリャ。
直近の所持者、ケンタに、誰とトレードしたのか聞き出す。
一応、留姫も同行。
トレードは総武線の駅伝いに東の方向から来ている様だ。
新宿ー秋葉原間だと中央線と総武線があるのだが、各駅停車なのが総武線。
なんか探偵ごっこしてるみたいだと楽しんでいるタカト。
しかしジェンリャは真剣だ。
留姫は無言で付き合っている。
冒頭で黄色い上着の男にぶつかられた少年。秋葉原電気街で入手したという。
あのカードに何でそう関心を持つのかと聞かれ、ジェンリャは《隠しパラメータ》があったと答える。あながち嘘ではない。
何か知ってるの? 急に留姫も。
ちょっと物怖じしながら、少年はあのカードが、誰かからわざともたらされたというニュアンスの事を話す。
ビルの一室。
男がパソコンに向かっている。
ハンガーに黄色い上着――。
これが現実の人間なのかは定かではない。私の想定以上に具体的に描写されていたので、後の展開で調整していく事になる。SHIBUMIの真相については、結局デーヴァ編では不明のままデジタル・ワールド編に先送りとなるのだが、結果的にはキャスティング的な意味で、それが正解だった。
この話数では、「赤いニシン」になるのだけれど、しかしジャンユーの心情を描写するには必要だった。
マンションの屋上で、ジャンユーは何か動作をしている。
息を溜めて吐き――、拳法の構え。彼は実戦型の拳法を習得していた。
そして想い出す若い時の事――
後に、このロブ・マッコイ教授を中心とした人工生命プロジェクトについては詳細も知られるのだが、今は群像として描いているのみ。
若い頃のジャンユー。アメリカ留学時代のニックネームが「タオ」(道)。
最初期のデジモン。二値ビットマップの人工生命。
若い頃の事が何故今になって――
不審な黒い服の男(MIB)がそれを想い出させたのだ。まさか、長年行方不明になっていた当時の仲間が――。そして我が息子に累が及ぶ様な何かを――
この辺りは後半パートでジャンユー自身に語られる。
プロジェクトが終了される事になって、サーバの電源を切らねばならない。
それはデジモンたちの存続を停止する事になるのだが――
消さざるを得なかった。しかし――
何事か気づくジャンユー
この辺りは本篇では判らないが、何者かがデジモンたちを、ローカルエリアから外へと逃れさせるドアをつけていた。
プログラムを――
書いたのは――
SHIBUMI――
謎の人物。
李家の夕餉。
真夏なのでシウチョンはそうめん。
ジャンユー、ジェンリャを気にしている。
ジェンリャが何?と見ると、何でもないと誤魔化される――。
翌朝――、西口バスターミナル。ジャンユーは携帯電話を持って出るのを忘れた事に気づく。
今日もギルモンは留守番だと言われて不満。だけど流石にギルモンを電車には乗せられないからと。
いいなぁテリアモンは。今回のギルモンの出番はここだけとなる。
殊勝な事は勿論言わない。まあねぇ~
ブルーカードの出所調査に今日も向かおうとした時、インプモンが再びテリアモンに挑戦を仕掛けてきた。が――
ジェンリャは、デジモン同士のやりとりを誰かに見られている事に気づいたのだ。
唖然と見つめている――
ジェンのパパ――
タカトも愕然。デジモンなのかというジャンユーの声。
インプモンが邪魔をされてカッとなる。
近づいて来るジャンユー。まさか、デジモンが現実世界に存在しているなんて――
しかしインプモンは、人間に構われるのが嫌なのだ。
ジャンユーは武術の心得があるから、すんでで鞄で防げたが――
ああ!
やっぱり、デジモン――!
だからどうだって言うんだよ!
ジェンのパパに何すんの!
と言われてインプモンも混乱。人間を倒してもロードは出来ない。ばーかと言って逃げていく。
痛みを堪え、ジェンリャに話があると言うが――
逃げ出してしまうジェンリャ。タカトも後ろ髪を引かれながら、追う。
ジェンリャ!
ドラマが緊迫したところでA-Partが終わる。
第16話回顧 2
見事な背景画が更に続く。
川遊びする淀小の生徒ら。この回の放送は7月15日の夏休み直前だった。
サンオイル塗りましょうかと森教諭。けっっこうです、と退けられる。
頑張れ森先生!
タカトらは、その上流でデジモンと――
デジモンテイマーズは健全なアニメです。
ギルモンとテリアモンとクルモンが遊びまくる回なんて、私は発想出来なかったなぁ。この回はその面でとても印象的だった。
さて、必ずや現れる――
デジモンが遊んでていいのかね。
インプモン……。テリアモンの顔……。
デジモンだって遊んでいいと思う、と真顔で返されると、だったら俺も誘えっちゅうの!
ザバッ!
一緒に遊ぼう。
飛び込むインプモン。
意外に泳ぎが巧い。だが――
あっ
何者かがギルモンたちを跳ね飛ばした。
凄まじいパワー。
ロングのパン・ショット。
巨大化している鶏デジモン。
なかなかデータが来ない。デーヴァだ。
やっと表示されるデータ。シンドゥーラモン、完全体、聖獣型。
身構えるギルモンとテリアモンだが――
先走って攻撃するなと牽制するジェンリャ。すると背後から声。
「神は舞い降りた。我々の神は人間の作った光を食して偉大におなりになられた」
フクロウは精神支配されてメッセージを伝えているのだ。
シンドゥーラモンは更に大きくなるという予言。その時、キエーっという声。
どちらも二叉一成さんが演じられたと思う。「ウルトラマンティガ」49話「ウルトラの星」でウルトラマンも演じられた方だ。
飛翔していく。ギルモンたちも追っていく。
着替えに戻ると、昨晩東京が停電になったと聞かされる。
あれ、いつのまにクルモンがウエアラブル・デジモンに。
暫く黙考し――、ジェンリャは悟った。シンドゥーラモンは電気を狙っている。
フクロウは更にシンドゥーラモンが大きくなると予言していた。
慌てて探すタカト達。
近づくバスの行き先を見て――
あそこを狙っている!
ダムには何があると思う?
水力発電所だ。ここを狙われたら一時的な停電では済まない。
昨夜デジモンを放置していたのを悔いるジェンリャ。タカトは自分も同意したのだから責任は半分だよと。
向こうで赤い炎が見える。
既に戦っている。しかしギルモンのファイア・ボールは利かず、プチツィスターも――。
「宝杵」(パオツゥ)から雷撃を放つ「プーヤヴァーハ」
ギルモンとテリアモンに直撃。タカトたちが来て支援へ――
テリアモン! まかして!
初のサイド・バイ・サイドのスラッシュ・バンク。浦沢脚本回だったか……。
タイミングは同じでも、ポーズも構図も変わる。
成熟期化バンクは、カットバックとサイド・バイ・サイドの編集。
進化に激高したシンドゥーラモン、迫ってくる。
ガトリング・アームが効かない。
力勝負になる。
押されるグラウモン――
必死に耐えるが――、ここでまた
宝杵電撃が!
再び一旦上昇し――、
迫ってくるシンドゥーラモン!
グラウモン!
電撃が――しかし――
ぼくを忘れてもらっちゃあ困るな! とガルゴモン――
強烈なダムダム・アッパー! この間にグラウモンも気力回復。
跳躍し、シンドゥーラモンの背後まで回り込んで――
エキゾースト・フレイム!
湖面へ落とされる。
自ら蓄えた電気で悶絶し――
量子崩壊。
勝利! フクロウも精神支配から逃れて羽ばたいていく。
ワイルド・ワンの消滅が確認される。つまり――、何者かが消した訳だ。
一件落着でさあキャンプに帰ろう、という訳にはいかない。
成熟期のままキャンプ場には帰れないのだ。ねえまだ?
そんな事言われても……。
割とこの数話までの数話は、展開のスピード重視で戻るプロセスを省いていたが、流石は浦沢さんだった。
#16 Credits
シンドゥーラモン:二叉一成
山木室長/森先生:千葉進歩
浅沼先生:松谷彼哉
原画:清山滋崇 内藤眞由美 永木龍博 吉田直実 野沢 隆
動画:山口幸俊 吉川真奈美
背景:鈴木慶太 佐々木友子
デジタル彩色:露木奈美 木村紘子 山内正子 井田昌代
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 則友邦仁 山口博陸 清水正道
演出助手:まつもとただお
製作進行:山下紀彦