第18話回顧 1
キャラクターの動線は更に絡み合う。17話と直接リンクしている18話。
デーヴァを毎回一体倒していっては、デーヴァの強さを表現出来ない。かと言って負け続けても完全体へ進化していくヒーロー・デジモンの特別性が失われる。このバランスをとるのに腐心した。
前回二体出して一体のみ倒し、今話で結着をつけるのだけれど、どう二話をリンクさせ、かつそれぞれの独自性を確立するか、まさきさんと元希さんとで綿密に摺り合わせが行われた。
美しき進化! 月光に舞うタオモン
脚本:吉村元希 演出:川田武範 作画監督:直井正博 美術:渡辺佳人
レナモンがヴァジラモンと共に姿を消して数日――。
ALMANDAという店名とこの色味、似た店が六本木交差点にあり、待ち合わせによく使われる、らしい。私はここで待ち合わせた経験がない。
芸能事務所なども六本木周辺に、多いとまでは言えるかどうか。
留姫が嫌いなタイプの洋服を着ている。背後には母の広告写真が。
どうやらルミ子が娘をカメラテストに連れてきたらしい。
こちらは私がお世話になっている菅井マネージャー。あんまり変な事言わないでね。
変な事って何。
モデルは何が面白くて笑ってんのか、とか洋服が嫌いだとか。
洋服が嫌いなんじゃないの。ママが買ってくる服が嫌いなのよ!
菅井マネは忍耐強いタイプ。ルミ子担当なので鍛えられている。留姫を褒めて、帽子を被らせる。
似合うよと言われ、そう、と素直に被ってみる。
え、似合うじゃん……。
スタジオでレンズの前に立つ留姫。
お母さんと同じ仕事、やってみたくない? と菅井マネ。ルミ子の狙いはそこにある様だ。しかし留姫は素気なく、全然と。
ストロボが炊かれる。
無神経に照度計を顔の前に突き出される。
あれこれと注文をつけてくるフォトグラファー。
容赦なく炊かれるストロボで、留姫は――
離人感を抱く。
思わず帽子を落としてしまう。
まるで恐ろしい存在の様に迫ってくる――
手でレンズを塞ぎ――
押し倒して逃げ出す留姫。
ここまでパニックになるとは予想していなかったルミ子。
無言で歩いて行く留姫。
フラストレーションが溜まっていく。
ジェンリャの部屋を来訪しているタカト。レナモンがなかなか帰らない事を心配して相談していた。
テリアモンはモーマンタイと言うが……。
一体何なんだろうね、デーヴァって……。
陽が落ちるのを見ているギルモン。
ギルモンも寂しそうだ。
D-Arkにも反応はない。
気が気ではない留姫。レナモンとは既に強い絆が出来ていた筈なのに――。
レナモン、戻ってこないのかな……。
バスが過ってすぐに次のカットに移る編集。
留姫が帰宅してすぐ出て言ったと聞いて嘆くルミ子。
すぐ帰るって言ってたよ、と聖子。
自分のプラン通りに運ばないと気が済まないタイプ。
だが、ルミ子は彼女なりに、今の留姫を心配していると判っている聖子。
さてここはどこだろう?
明らかにスポーツクラブではなく、リゾート・ホテルにある様な屋内プール。かつ高層階。どこかのホテルにある、という事に。
一人の若い女性が本格的に泳いでいる。
はて、この様なキャラクターはこれまで登場……
携帯電話の着信音が「ボレロ」、というのは狙いがあったのか私は不明。
甘い声で、今夜は夜勤があるからと断っている。誰か恋人がいるのか。
大江戸線と思しき地下鉄で都庁駅に降りる女――。
なぜか夜なのにサングラスを掛けて――
けやき橋商店街を歩いている。と――、自転車に乗った留姫とすれ違う。
少し緊張している様だ。
まつだベーカリーで買い物か――。
タカトは、ギルモンがいなくなる事を心配している。と――、階下より呼ばれる。
10円玉のストックを持って来てくれと頼まれるタカト。
じっと観察する目――。
ただいま、と帰宅してきた留姫を、ルミ子が玄関先で待っていた。
こんな時間に散歩している小学生、どこにいるの?
ここ。
わざとだろうが、靴を脱ぎ散らかしたまま上がっていく。
びよよ~ん、とかいうSEではなく、緊迫感のある音楽。ジェン!
レナモン一緒かな、と問うテリアモン。行こうと振り向かず立ち上がるジェンリャに、さっとテリアモンは肩に乗る。
あ、ジェン、と声を落とすのは、男子からの電話を誤解されたくなかったからか。ルミ子の視線を逃れて――
急いで来て、というジェンリャに、判った!
またも夜更けにMTBで走り出て行く留姫を、ルミ子は呼び止めるのだが……。
そして都庁――。という事は――
降りてくる後輩にお疲れーと声を掛ける。
今日どこに寄ってきたのか聞かれる。肌の調子がよく見えるらしい。
別に大したところに行ってないけど、と言ってARゴーグルを着ける。鳳麗花だった。まあ大人の視聴者には先刻お察しなのだが。
お先に、と恵が帰ろうとすると――
アラートが鳴る。またワイルド・ワン! 二人とも急いでオペレータ席へ。
秋葉原に現れた個体と同じものが、国立競技場にリアライズする――。
こっちとあっちの領域を崩して、勝手な事をしていられるのも今の内だ!と室長。
シャッガイ計画以来、ヒュプノスの設備は肥大化している。
今となっては「旧・国立競技場」。フィールドの中央からデジタル・フィールドが噴出する。
フィールドに立つヴァジラモン。
聖火台に立つ――レナモン。
これまで二体がどうしていたのかは不明だが、レナモンの意図は実のところ明白だ。これまでデジタル・ワールドでも聞いた事のない、デーヴァという十二のしもべは、一体どんな意図があるのか、そして神とは何なのか。それを知るにはデーヴァの一人であるヴァジラモンに接近する必要があった。
美しい。本当に美しい――。
ヴァジラモンは元々は前回倒されたパジラモンがバディであり、夫婦に近い関係であったのだろう。しかしパジラモンは破れた。ヴァジラモンがレナモンに執着するのは、パジラモンの代用というよりも、やはり人間で言えば恋愛に近い感情を抱いていたと考えた方が納得がいく。
レナモンはまだ全てを聞き出してはいない。しかし、留姫の接近を察知。
必死に夜道を自転車で走るジェンリャとテリアモン。
留姫。
そして、ギルモンを乗せているので漕ぐのが大変そうなタカトが合流。
この場面はとても好きだ。これぞテイマーズという感じがする。
ここでA-Part終わりなのだが、もう少し続ける。
ヴァジラモンがレナモンを説得している。
我と共に我らが神を崇め、我らが神の意志に沿い、我と共にこの地に降り、栄えていくのだ。
石塚さんの声によるあまりに説得力ある言葉。この《われ》という堅苦しい一人称が、デーヴァ口調として固定化。
レナモンは冷静に問う。お前の言う神とは何だ。何処にいる。
美しい。お前は我らが神と共に生きていくに相応しい――。
基本、ヴァジラモンはこういう事を言い続けたのだろう。
国立競技場に到着する。デジタル・フィールドで視界が悪い。
レナモン、いると思う? さあ――
バックヤードからフィールドへ急ぐ。
何!?
この問答も、ついに終える時が来た。
レナモン……。
ギルモンが行こうとすると、テリアモンが「まって何か話してるみたい」
レナモン、我らが神とは我々デジモンの神という事だ。我々は元々人間の生み出したデータだが、こうして命を得ている。
人間の生み出したデータ……。レナモンは自分の出自を知らない。
人間は我々を見捨てた。思い出せ! こうして形を得る前は、ただのデータ残灰としてデジタル・ワールドを彷徨っていたのだ!
黙考するレナモン。
ヴァジラモンの弁に考慮すべき点があるのは確かだ。リアル・ワールドにいるデジモンという不自然な立場にあるレナモンは、留姫との絆を深めて自身の存在理由を見出しつつあったが――、しかしデジモンはデジモン。人間とは違う。
デジモンの神――?
この二人にはちんぷんかんぷんな話だった。
そこへ、空気を読まず、なのか読んだからか、クルモン登場。
なーにしてるんでーすか?
お前も人間に仕えているデジモンなのか!?
邪魔をするな!と蹴り飛ばされ――
追いかけるヴァジラモン。
クルモン、ピーーンチ!
回顧前半はここまで。
ところで、これまで新宿中央公園が淀橋浄水場の跡地に出来たと記してきたが、それは誤りだと今になってやっと知った。
getnews.jp この記事でかつて浄水場だったエリアが判るのだが、それは都庁から京王プラザホテルまでの間で、公園ではなかった。
ameblo.jp こちらの記事で、2009年に廃業してしまった新宿十二社(じゅうにそう)温泉のルーツが記されている。テイマーズの設定で言うと、けやき橋商店街のすぐ南側に、かつては大きな池があった様だ。
bcr-jj.blogspot.com どうも昔はこのエリアは色街だった様だ。なるほどなぁ。
bcr-jj.blogspot.com 池があったエリアはこちらの記事に掲載されている。