第46話回顧 3
今話で最終話への道筋がつく。そこまでの舞台設定、状況設定をクリアしなければならない中で、脚本家がどう物語を語るか――。
ゾーン内で唯一残されていた木々が、倒れていく。
無に帰せられていく。
必死に逃げるギルモンとタカト。
追ってくるADR。
嗤いながら襲いかかっていく。
うわ~~~~~~っ!
木々を粉砕していくADR。
木々が消失していくのが遠くからも見える。
あそこだ!
サクヤモンとセントガルゴモンが急ぐ。
ADR-02 が通過。どうもこれらはサクヤモンの金剛界曼荼羅を破る機能があったらしい。
苦しむサクヤモン。
大丈夫?サクヤモン、とセントガルゴモンが訊く。
必死に走る二人――
転んでしまう!
もう駄目かという時――!
マリンエンジェモン推参。
オーシャンラブを吹く。
BGM「捜査」の軽快な音楽に。
たじろぐADR。
ぷ~
完全にデ・リーパーには苦手なものらしい。
ぱ~!
弾けるオーシャンラブ。
逃走していくADR。
マリンエンジェモンが追っ払ったの?
タカトー! とケンタの声。
普通に歩いてくるケンタ。どうしたの? そんなとこ座りこんじゃって。
ケンタ!
良かった。会えなかったらどうしようかと思ったよ。
ぷ~。
デ・リーパーの泡がコンクリートの亀裂から浮上。
マリンエンジェモン、また出たよ。
ぱぁ~。
ここまでそうやって歩いてきたの?
そうだけど?
すごーい。ギルモンも称賛。
ぱ~。
疲弊して着地したサクヤモンに近づく。
ぷ~ぷ~ぴ~ぷ~
オーシャンラブがサクヤモンを救う。
楽になったわ。
ぴぷ~。
マリンエンジェモンがケンタのパートナーに選ばれたのは、このオーシャンラブが最終決戦では大きな要素となり得ると考えたからだった。ただ、このサイズなのに究極体という最強さは何らかのハンデが必要と考えて、ぱぴぷぺぽしか喋れない、というコミュニケーションの困難さをケンタには抱えて貰った。しかし、これが全然ハンデではなくなっていくのだが。ただ岩村愛さんには申し訳なかったと今も思う。
みんな、無事で良かったわ、とサクヤモン。
留姫の声で、ケンタ、なんであんたがいんの?
俺もテイマーだからさ!
話はあとあと。早くここから出なくちゃ。
ジャイアント・ミサイル!
ゾーンを打ち破るや――
サクヤモンと、子どもたち、ギルモンを手に乗せたセントガルゴモンが脱出。
こっちはまだ続いているバトル。ADR-06のパンチ!
ジャスティモンが崩れてガードロモンにのしかかる。それがヒロカズにも――。
ジャスティス・
キーック! これはサイバードラモン声。
ちっくしょう、やられてばっかじゃん!
ばかじゃん。
だぁ~ヤバい、あれを投げつける気だ!
ディストラクション・グレネード!!!
やったぁ!
すまない! 助かった! とリョウの声。
助かったって! 効いたぜガードロモン!
バッチリ効いた!
頑張った甲斐があったってもんだぜ!
もんだぜ!
ジャスティモンの背部の三角形の構造は、腕に差し替えるパーツの収納として設定されていた。アニメではベルゼブモンのブラスター同様、光で実装されるという表現にせざるを得なかった。
アクセル・アーム!
すっげー! これで勝ちだな!
だな!
粉塵を背に歩いてくるヒーロー。しかし――
どあああああっ!?
ADR、巨大化して逆襲。
こっちだぜ! リョウの声。
奇しくも、29話でマジラモンを倒す為に、デヴァイス・カードで巨大化したサイバードラモンが逆の立場となっている。
そこにサクヤモン、飯綱を放つ。
ADRを貫く四匹の管狐。
サクヤモンだ!
セントガルゴモンもだ!
どががががががががががが
流石にこれで終わりかと思われた。
ようヒロカズ! とケンタ。
なんだケンタも来たのか。
ぷーぴぷぷ。
更に上半身だけを巨大化させるADR。「へその緒」が太くなって、更にデ・リーパーが膨らませているのだ。
そうか! あのコードでエネルギーを!
腕のトリニティアームをクリティカル・アームという熱カッターに変換。
コードを断ち切ろうと迫るが――
そのコードがうねって――
ADRに捕まり、喰われそうになるが――、その動きが止められる。
アンティラモンが高架でコードを手繰っている。
ぐいっ、ぐいっと引っ張る。
クリティカル・アーム!
千切れるケーブル。
一箇所裂断すると、全てが崩壊。
蒸発。
身を起こすアンティラモン。
手助けに来たが、遅かっただろうか。
いや~、助かったよ。ありがとう、アンティラモン!
小首を傾げるが、どういたしまして。
アンティラモンはジャスティモンを見るのはこれが初めて。
留姫の家に戻ってくるテイマーズ。斜めにパンダウン。
ヒロカズが興奮してケンタに状況を話している。
でさぁ――
リョウさんに「すまない」って言われちゃったんだよな~俺様超カッコいい――
オーバーなんだよなぁ。
しょうがないですよ、ヒロカズにとってリョウさんはヒーローなんですから、とジェン。
ジェン兄ちゃーん!
ジェン兄ちゃんあのねあのね!
シウチョン!
クルモンとベルゼブモンがまん丸の中に消えちゃったの!
シウチョン、どうしてここに来たの?
だってクルモンが――
お母さんが心配しているよ? とテリアモンも。
だぁって――
ぼくの行いの故なり。とロップモン。
ぼく、仲間と共に戦う事を望んだ。故に……。
君はもう一人前のテイマーだね、とリョウ。これをあげる。
なに?それ。
デヴァイス・カード。
デヴァイス、って紋章っていう意味もあるんだ。
かっこい~!
ロップモン、これでカードすらっちゅ出来るね!
ぼくも嬉しいなり……。
タカト、どこ~~~???と大声で探しているギルモン。
そう言えば私たち、ちゃんと御礼言ってなかった――と留姫。
え? とレナモン。
アリス――というドーベルモンの声。
デジタル・グライドの欠片――、いや、それは――
アリスの幻影だったのかもしれない。
あのアリスって子に……。
庭の築山の上からゾーンを見つめているタカト――。
あれ、このジャケットは中野坂上で脱ぎ捨てた筈……。
タカト、大丈夫? タカトが落ち込んでると――
他の人まで滅入っちゃう。
(樹莉を)心配してるのはみんな同んなじだよ?
どうしてるんだろう……。
ぼく、加藤さんを助けたい……。
うん、と返事をするギルモン。
そして樹莉は――
く~……、く~……。
じゅーり、
くりゅ……・
憂える樹莉の顔が都庁に重なる。
下手側にパンをしながらフェードアウト、で46話は終わる。
ADR-06 Horn Striker
ADR-01 B Juri-Type
最終話近いと、各話でこなさなければいけないポイントが多くなり、作話の自由度はやはり下がる。アクションも多くなる。しかしそうした制約の中で、ライター陣は点と点を繋ぐだけでなく、エモーショナルなドラマを書いた。
今話は、とにかくクルモンの健気さとベルゼブモンの侠気、樹莉の今ある状態の描写、最後に合流するケンタの良い感じの気の抜き方――、あ、アンティラモンとシウチョンのやりとりも楽しかった。そして、私はアリスに関しては45話で結着をつけた気でいたのだが、留姫にリマインドさせるというフォローも元希さんにはしてもらった。タカトにはその余裕が今はないが、留姫にはそうした思いを抱いて欲しかった。
お疲れ様でした!
ありがとうございました。
今沢さんとは後年、「怪~AYAKASHI/四谷怪談」でもお世話になった。(最終話は芝田さんが演出だった)
「ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー」と三作、東映作品でお世話になった。
#46 Credits
ギルモン:野沢雅子
松田啓人:津村まこと
テリアモン~セントガルゴモン:多田 葵
李 健良~セントガルゴモン:山口眞弓
レナモン~サクヤモン:今井由香
牧野留姫~サクヤモン:折笠冨美子
ガードロモン:梁田清之
塩田博和:玉木有紀子
マリンエンジェモン:岩村 愛
北川健太:青山桐子
ロップモン~アンティラモン:多田 葵
李 小春:永野 愛
サイバードラモン~ジャスティモン:世田壱恵
秋山 遼~ジャスティモン:金丸淳一
クルモン:金田朋子
インプモン~ベルゼブモン/ドーベルモン:高橋広樹
小野寺恵:宮下冨三子
李 鎮宇:金子由之
水野悟郎(SHIBUMI):諏訪太朗
デ・リーパー(樹莉):浅田葉子
ナレーション:野沢雅子
原画:清山滋崇 内藤眞由美 羽坂英則 吉田直実 深本泰永
動画:富田美穂子 山口幸俊
背景:徳重 賢
デジタル彩色:足立和也 田中唯巳郎 加藤英恵 藤原辰雄
デジタル合成:三晃プロダクション
広川二三男 則友邦仁 山口博陸 清水正道 緒方美佐子
演出助手:まつもとただお
製作進行:坂本憲知生