第46話回顧 2
46話のタイトル・ロールはジャスティモンだが、活躍は冒頭と終盤。中盤に活躍するのはクルモンと、それを守るベルゼブモンだ。更にはアンティラモンの存在感。33話で縦横自在にアンティラモンを演出された今沢さんが、今話も担当されたのは本当に幸甚だった。
だが、一番見直して心を動かされるのはクルモンだ。初期は楽しい事ばかりを追いかけていたクルモンだったが、レナモンとの相克に悩んでいた留姫につきまとって、徐々に変わっていった。シャイニング・エヴォリューションは一世一代の大技であったが、それを放って以降のクルモンの存在理由――。それは今ならこう言える。クルモンは「心のデジモン」だったと。
おっとり刀で駆けつけた、と書くと翻訳が難しくなるのか。
遅れて駆けつけたアンティラモンだったが――。
ここは新宿大ガード。11話でムシャモンが現れたところの西側。
アンティラモン、聞こえる? とシウチョンの声。
D-Arkで通話しているシウチョン。
よく探して。誰かいない?
ぐるっと見回す――
アンティラモンの目。
新宿駅西口の向こう側がゾーンらしいのだが――
う~ん、よく見えないよ。こっち! とシウチョン。
こっちとは?
瞬きをするアンティラモン。
お目々パチパチしちゃダメ。って酷い……。
D-Arkの表示するヴァーチャル・モニタは半透過なので、映像が暗いとD-Arkが見えてしまう。
これは半開き状態。
こっちだったら! と指さししてもアンティラモンには判らない。
お箸の方!
お箸の方?
箸を掴む様な手。
住友三角ビルの向こうを飛んでいく――
あ~! クルモン!
く~るくりゅくりゅくりゅくりゅ――。頑張って浮上していくクルモン。
背後からADRが狙うが――
てめーら邪魔くせーんだよ!
マコのブラスターが現出。
一掃。
都庁の頂、二つのタワーの間――。この背景画の迫真性は凄い。実際には右から左へとパンしている。
くりゅ~! あちょっ! あちょっ!
虚空にへばりついているクルモン。
お前、何やってんだ?
ベルゼブモンが前に進もうとすると――
不可視の壁に阻まれる。
何だ!?
入れないでクル。
ここ、入りたいでクル!
頑張って脚で蹴るクルモン。ここ! ここ! と何度も何度も――
ここにあいつ(樹莉)がいるんだな?
クルモン、離れていろ!
ベルゼブモン後退して――、まだ左側に一挺残っていた――
ベレンヘーナで撃つ!
幾度も幾度も――
いけ! 早くでクル!
遂に不可視のバリアーが破れ外殻が覗き始める。
メギドラモンの顎を砕いたのがベルゼブモンの拳だ。遂にカーネルの外殻を破る。
不可視機能が停止し、その外観を見せ始める――
見えたでクリュ!
都庁最頂部の二つの塔の間に、デ・リーパーのコア、カーネルが存在していた。
なっ、なんなのあれ……。
あれは……。
こじ開けているベルゼブモン。
しかしクルモンを内部に入れるにはまだ小さい。
いいか、開いたらすぐ突っ込め!
判ったでクル。
今だ!
クリュ!
頭は入ったが体が通らない。脚をバタバタさせているクルモン。
モタモタすんな! と頭でクルモンを押し込む。
くりゅ~
カーネルの防御システムが発動。
ケーブルがベルゼブモンの体に巻き付き――
カーネル内に取り込む。
翼までもが巻き取られてしまう。必死に逃れようともがくが――
ベルゼブモンを心配して振り向くが――
クルモン! 行け!!
行くんだ!
クルモンは、カーネルの中央に囚われている樹莉に向かう。
ベルゼブモンは動けなくなる。
――という状況を、信号機の上に登って見ていたアンティラモン。
あれ~?
クルモンとベルゼブモンがいない! ねえアンティラモン、二人はどこ行っちゃったの?
樹莉が囚われているのは、テスラコイル・スパークしている透明のカプセルの中だった。恐ろしくデジタルの手間が掛かっているカット。
じゅーり、じゅーりとクルモンが呼び掛けるが無反応。
じゅーり、聞こえまーすか?
じゅーり、クルモン入れてくださいでクル。じゅりはクルモンの事、判らないでクル?
クルモン、じゅりと一緒にいたいクル……。
すると球体がクルモンを招き入れる。
くるる……。
膝を抱えて動かない樹莉――。
ねむってるんでーすか?
デジタル・ワールドのテーマ曲が流れている場面。樹莉は半覚醒。長い時間、アイソレーション状態にあり、デ・リーパーに全記憶を吸い出された後である。ノーマルな意識など保てる筈がない。
アイキャッチのクルモンをゴツンするインプモンは、前話で伏線回収した。
これはヨモギカメラ西口本店近くか。そこにやってきたケンタ。四谷から徒歩か。
俺だって、テイマーなんだ!
そうだろ?
ぷぺ~~
あっ!
上空を飛行していくセントガルゴモン。
おーい! セントガルゴモン! 待ってくれー!
すごいリアルな走り。
お~~~~い!
という声が聞こえる筈もなく……。
ゾーンの際にまで来るセントガルゴモン。
まだゾーンに呑まれていない超高層ビルの屋上に立つサクヤモン。
確か、この辺りだった。
降りられそう?
任せて。
錫杖を鳴らして、金剛界曼荼羅を詠唱するサクヤモン。
38話のバンクだが――
桜の花びらが舞う防御シールドにセントガルゴモンを包む。
いくわよ!
遂にゾーン突入。
これは!?
なんて事だ――、とジェンが狼狽える。
地獄絵図。
有り得ない崩壊をしている西新宿。
私、良い子なんかじゃない……。
38話の樹莉の台詞を、デ・リーパーが再生している。
あの時の、樹莉の後ろ姿。タカトの目に焼き付いていた映像。
本当のお母さんが死んだ時――
私、何日かしたら泣くのやめちゃったもの……。
タカトの目に涙が浮かぶ。
やめて!!
加藤さんやめて!!
新しいお母さん、いい人だし――
好きになろうと思ってる。だけど……、
背を向ける樹莉、ではない存在。
加藤さん!
タカト行っちゃ駄目! とギルモンが必死に呼び掛けるが、タカトは混乱している。
全ては運命なのよ。
デジタル効果で変貌する――
ああっ!?
ADR-01 Juri Type B。
違う! 加藤さんじゃない!
そうだよ!ジュリなんかじゃない!
全ては無に帰るのだ。無とは美しい――。
デ・リーパーの哲学。
本当の加藤さんはどこだ!?
ここにいる。
顔を少しだけ、上げて目を開く樹莉――。
く、る~?