第46話回顧 1
当初の構想だと、リョウの登場は28,29話限定のつもりだった記憶がある。しかし直ぐその後にジャスティモンの登場を提案というか指示を受けて、デジタル・ワールド編の終盤からリョウを再登場させ、一緒にリアル・ワールドへ帰る事になった。ワンダースワンのリョウからは浮きそうなのだが、ドラマとしてのリアリティを我々ライター間で得る為に、後付けであれこれとリョウの物語を想像し、どういう理由かは覚えていないが福岡の出身という事に。
登場させるからには、ジャスティモンがいなければ成立しない様な物語を、テイマーズ終盤では編まねばならない。どうやってリョウとサイバードラモンがリアル・ワールドで究極体進化したのかはもうネグレクトせざるを得なかった。デジタル・グライドが何らかの形で九州へ届いたとしか言えない。
という事で華々しく前話の終わり間際に登場したのがジャスティモン。となればライターは元希さんが担当。今話がテイマーズでは最後となる。演出は33話でロップモン、38話でサクヤモンという新キャラクターの登場回を担当された今沢さんで、こちらもシリーズ最後。作画監督、清山さんも最後となる。美術は徳重さんの一人背景。
爽やかな究極戦士 ジャスティモン見参!
脚本:吉村元希 演出:今沢哲男 作画監督:清山滋崇 美術:徳重 賢
前話ラスト・シークェンスから直結で――
無音の中、ジャスティモン――
これはヴァイザー越しのヴィジョンか。
右腕のみ、メタルな質感。これはリョウの衣装に近しい。
ほうっ! とリョウの声で――
飛翔――
ここでサブタイトル・コール。
ここから、前話ラストで流れた「Fragile Heart」インスト版が流れ始める。
ジャスティモン! サイバードラモンの究極体!
必殺技は――
ジャスティス――
キーック! ――と全部自分(リョウ)が口で言うという。
サイバードラモンの究極体?
究極体?
という事は……、
爽やかに、やあ!
判ってるわよ! そんな爽やか系、あいつしかいない。
リョウさんだー!
だー!
東京が大変な事になっているのを見て、いてもたってもいられなくなって、飛んできたんだ。
ん!?
降下してくるADR-06 Horn Striker。
デ・リーパーだ。コードが繋がってる、とセントガルゴモン。
あまり大きなエージェントではないが――
これまでのADRと違い、戦意を剥き出しにし掛かってくる。デジモンのデータの濃度を上げたのかもしれない。
はっ!?
わああああ
わああああっ!
一撃で倒れてしまうセントガルゴモン。
続いて狙うのは――
!
ジャスティモンがサクヤモンを守った。
こっちだこっちだ!とADRを挑発。
デ・リーパーの注意を逸らすつもりなのね。
こいつは任せろ!
君たちは、デュークモンを助けに行け!
行くわよ!
オッケー!
ゾーンへ向かう。
じゃあ、俺たちは? とヒロカズ。
戦うんだよ、と当り前の様にガードロモンが答える。
だな! にー。
リョウさーん、待ってくださーい!
飛んでった方が早くないか??
このガードロモンの台詞は、多分梁田さんのアドリブだと思う。もの凄いクリティカル・ポイントな尺に収まっている。
生物的な様でいて、無機的な激しい蠢きをしているデ・リーパー・ゾーン。なぜか都庁の最頂部は残されている。
恵が双眼鏡で監視中。
アークが送ってきた映像。リアル・ワールド球を掴む様なデリーパの侵食。
……。
こっちに来ているのか? とジャンユーがSHIBUMIに問う。
何がだ?
デジタル・ワールドと現実世界に同じものが二つ存在していると思っていたが……。
デ・リーパーの最先端を分析してみよう。
――ジャンユーはマウス派。
サーモグラフィー的な画面。
んん? 温度がここだけ低いな……。なぜ、デ・リーパーの影響が……?
温度の低いところ。それは今タカトとギルモンがいる、木々が残されていたエリアだった。今、そこには樹莉の声をサンプリングした笑い声が響いている。
加藤さんはどこにいるんだ!
ワン!ワン!ワン!
!
デ・リーパーは松田啓人のデータを個体ジュリから得ている。
なんだって!?
笛の忘れ物!
あ……。
第1話の記憶が再生される。
目を逸らすタカト。
ソックパペットを突き破る。
ああっ!
樹莉の笑い声が辺りに響く。
タカト! あいつジュリじゃない!
そうだ! そんな筈ないんだ! 必死に顔を振るタカトだが――
!
11話のリプライズ。
暑い……。なんだか頭がぼんやりしてきた――。
タカトがデ・リーパーによってサイキック・ドライビングされつつある。
タカト! しっかりして!
タカトー! 必死に訴えるギルモン。
前話トランスフオームしたジュリ・タイプ。高校生くらいの身長だろうか。
樹莉の笑い声がリピートされ、高速で情報が行き交っている――。
ゾーン間近い、激しく損傷したアスファルト。その亀裂から――
デ・リーパーの泡が浮かび上がる。
ちょっとこの風景にはびっくりした。何しろデ・リーパーの設定というのは、9/11直後に製作しているという特殊な事情で考え抜いたもので、あまり生々しい災害としては描かないつもりだったからだ。しかし、実際にこういう事が起きたなら、そして交戦があったなら、こういう風景にもなるだろう。
必死に走るクルモンを追うインプモン。
おーい! おいってばー!
クルモン急いでるクル!
だからー! 一体何があるっていうんだよ!?
ジュリがいるでクル!
えっ、何だと!?
あいつがいる所が判るのか?
よくはわからないけど、多分こっちの方なんでくりゅ。
――俺は、あいつの為には何でもしなきゃなんねーんだ……。
想起する――
レオモンを殺めた記憶。
その場でぴょこぴょこ跳ねながら、
クルモンは行くでクリュ!
おめー一人じゃあぶねーっつってんだよ!
あわわ、こわいでクリュ!
インプモンにぶつかる。
ADR-04が接近。
なんだてめーは!?
いっ!?
うわうわうわうわ~~~~!
転倒する二人。
そこに迫るADR。
てめーっ! (な)ぁにすんだよぉ!?
だああああああああああっ――とインプモンが叫び始めるやそのまま――
――あああああああああ――。ベルゼブモンの声にリニアに変わるという声の魔術。勿論ノーエフェクト。
進化したでクリュ!
クルモン! 行け!
ひょいひょいと飛んでいくクルモンにADRの銃口が近づくが――
明後日の方に発射。
なめてんじゃねぇぞ!