第48話回顧 3
ベルゼブモンの接近を阻む。ここ一連ワンカット。
樹莉を返しやがれえええ!!
弾幕の一弾が――
直撃!
うあああああああああっ!
ベルゼブモン!
ワンカットでターン――。すると――
防御板が外れて――
いきなり加速。
デュークモンの接近を阻む。
無数のスレートに分割。
刃の様に――
デュークモンを襲撃!
はっきり記憶していないのだが、デュークモンとベルゼブモンを共闘させない様にデ・リーパーが工作、というのはシナリオ通りなのだけど、ゲートキーパーの防御板が兵器化するというのは、演出とゲートキーパーのデザイナーである中鶴さん、作画の八島さんとで相談されて作った場面ではないだろうか。こういう攻撃をする、という設定画は事前には無かったと思う。
大変でくりゅ!
じゅーり!
みーんな、みんなが大変でクル!
猛烈な弾幕だが――
それでもベルゼブモンは接近。
突如衛星の一つが――
「目」を向ける。この意匠は、次話のマザーの目に近い。
急速に接近するベルゼブモンを凝視され――
加藤樹莉のメモリーのデータ検索。
明らかにデ・リーパーの声なのだが――
樹莉の声で!
ベルゼブモン、インプモンが進化したデジモン。レオモンをロードしたデジモン。
!
くる!
ベルゼブモン、インプモンが進化したデジモン。レオモンをロードしたデジモン。
――繰り返されるフレーズ。このカットから、樹莉の瞳にシャドウが入る。
ベルゼブモン、インプモンが進化したデジモン。レオモンをロードしたデジモン。
窓を叩いて訴える肇。だが――、その場に崩れる。
ベルゼブモン、インプモンが進化したデジモン。レオモンをロードしたデジモン。
うるせーーーーーーっ!! 樹莉の声真似なんかしやがって!
貴様に、なーにが判るってんだよ!!
避けては通れない34話(八島作画)の回想。
今更……、許してくれなんて言うつもりはねんだよ……。
けど、それでもな――
逆五芒星を描くと、魔法円が現出。
それでも俺が! 樹莉を助けるんだよ!
カオス・フレア!
カオス・フレアは、デスストリンガーをブーストさせる。何発も何発も撃ち込む。
ずっとグロウル・ヴォイスで叫び続けているベルゼブモン。
クルモンが必死に樹莉を揺すっている。
ベルゼブモン、必死でクル!
必死で樹莉の事助けようとしてるんでクル!
それでも無傷――。
何ッ!?
突如「目」が、カオス・フレアに近いビームを放つ。ADRは攻撃してくる敵の手法をすぐに学習する。
ブラスターが消失。
激しく口惜しがるベルゼブモン――。
43話の回想。
てめえ……!
よくもマコの光線銃を――
許さなねぇえええっ!!
ワンカット。
弾幕をものとせず突進する。
スフィア際で戦うベルゼブモンと、離れたところでスレートと戦っているデュークモン。
雄叫びを上げるデュークモン。
グラニの機動力を以てしても、スレート群を引き離せない。
サーフィンの様に身をかわすが――
逆方向からもスレート群。
口惜しがっているタカト――
聞こえるか、タカト君!
山木さん???
ビンゴ!♡
ねじり鉢巻きで衛星回線の一つをデュークモンに繋げた。ITワーカーの汗が報われる瞬間。小野寺恵、最高の笑顔。第一部前半では、ゴーグルで素顔すら見せず、冷徹な声で無感情にオペレータを麗花としていた恵だが、前川さんに命名されてから、完全にキャラ変。たちまちIT労務者OLらしさが出て、宮下さんの芝居が丸っきり変わった。
いやこの2フレーム程度しか入っていない星のフレームをWEBMの動画からジャストに切り出すのには手こずった。一度MPEG2とかに変換すれば、フレーム・バイ・フレームでコマ送り出来るのだが、MP4以降の圧縮は前後も圧縮するので難しい。しかしそこまでやる程の意味があるのか、という逡巡を、キャプチャの地味な作業中、いつも繰り返し考えている。
考えたな。衛星回線を使って、タカト君と連絡をとるとは……。
驚くのはまだ早いですよ。
タカト君、ユゴスを撃つんだ。
グラニに、ユゴス・ブラスターを装着した。
ユゴス・ブラスター??
この衛星通信は、デュークモンと直なのではなく、グラニを介しての通信。なのでサクヤモンなどには使えない。グラニは人間の先端テクノロジのデータで、仮想空間にて作られた。アークもそうだが、本来は操縦者を必要としない自律型ドローンなので、衛星からの通信が必須なのだ。
シリーズの最終到達点の、ぼんやりとしたイメエジは描いていたが、ここまでに蓄積してきた「物語」のディテイルを、この最終章では回収していく。思わぬ事が発展している事も多い。浅沼教諭だってそうだった。
ユゴスの初出は7話。山木が作った、ネットワーク内の異物、ワイルド・ワンを粉砕する仮想攻撃兵器。それをグラニのリアライズに合わせて実装させたのだ。デイジーにアークの改修を強く持ちかけたのは、山木なりの勝算があったからだった。
こうした設定的な事は私が考えていたが、今話が迎えるクライマックスは、前川さんが自ら手繰り寄せた。
そもそもで言うと、テイマーズはデジモンの死を、一回はきちんと描く。命はだから大切なのだ、というメッセージとして。
で、テイマーズのデジモンは倒した相手をロードするという、元のデジモンそのものにはない設定を入れた。しかし、カードバトルの場合だと、勝者がカードを手にするのだから、全く無い設定ではない。
だが、じゃあデジモンのカードをスラッシュして、そのデジモンが生きているかの様に見せるのは、やはりそのデジモンが好きなファンには悪いよね、という事で、オプション・カードでの支援が圧倒的に多い。しかし留姫がスナイモンのカードをスラッシュしたし、32話ではジェンがテリアモンに様々なデジモンのカードでテリアモンを強化させた。カードの新たな使用方法は、まさきさんが最も研究してくれた。
だが、ベルゼブモンはカードではなく、実際にレオモンをロードしたデジモン――。
つまりそれは、今話クライマックスを自ずと導く。これを成立させる為に、カーネル・スフィアの設定を作ったといってもいい。