第51話回顧 4
2017年にニコニコ動画で4話ずつ配信された際に見直した時、51話が自分の記憶と少し違って、デ・リーパー撃退までが想定より長くなっている感覚を抱いたのだが、キャプチャをとりながらシークバーを見ると、計算通りな尺で残りのパートがちゃんと残されていた。現存するシナリオでそれを読み切れないのは、長く書きすぎていた(20枚、製本台本40P分)からで、きちんと収めてくれた梅澤さんには感謝しかない。
デ・リーパーが退化し、リアル・ワールドから消えていくという事は、今彼らがいるデ・リーパー・ゾーンそのものも消失しようとしている事になる。究極体がゾーン内で活動出来る様に最適化されたのが、SHIBUMIが書いたレッドカードのアルゴリズムだった。ゾーンが消えると、究極体そのものも成立しなくなってしまう。デジタル・グライドの力まで削いでしまう。
途方もない戦いを終えてホッとしていた時――
突如苦しみ始め、光を放ち始めるジャスティモンとサクヤモン。
どうした!? サイバードラモン!?
リョウ! 何かおかしい!
突如「テイマーボール」の「グライド」(帯)が消える。
留姫! すまない! 私にはどうにも出来ない! 今井さんはサクヤモンではなくレナモンとして演じている。
どうなっちゃうの!?
樹莉ーーっ! 飛翔していたデュークモン――、
突如苦しみ、光に包まれる。
どうしたの!? ギルモン!?
タカト――、もうこの姿、保てない……。
ギルモン!
タカトぉ!
彼らも分離する。
タカト! 樹莉を!
うん!
タカト、ギルモンの尻尾を掴む。
ギルモン、渾身の力で自分の尾を振り回して――
タカトを押し出す!
無重力空間の連携プレイ。7話でギルモンを救う為に、ジェンと留姫がタカトを押し出した7話の反復。
気合いの声のタカト。
デジモンよりも人間の方が、ゾーンはトキシック。留姫もリョウもぐったりしている。
早くここから出なくては留姫たちが!
だが、あいつらがまだ――と、サイバードラモンが下方を促す。
孔から浮かび上がってくるジェン。
テリアモン……。
テリアモンの姿は見えない――。
レナモン、ジェンを……。
判った!
ここで暗転。
じゅーり! じゅーり!とクルモンの声。
加藤さん!
ぼくだよ!
長い睫越しの開眼POVだった。
タカト、くん……?
ぼくだよ! 来たんだ! 迎えに!
私――、会いたかった……、とっても……。
ぼくだって!
樹莉、急に元気づいてタカトに抱きつく!
ここから「デジモンテイマーズのテーマ」。
クルモンが耳を大きく拡げる!
じゅりー、と平泳ぎしながら上ってくるギルモン。
くるも~ん! ギルモーン!
レナモンが留姫とジェンを保護している。
早くここから出ないと!とレナモンがタカトに。
だけど、どうやってここから出たらいいんだろう……。
ぱぴゅぽー、という声。おーーーーーいというヒロカズの声も。
すると! 一同に被さってくる巨大な――オーシャンラブの泡。
おーいみんなーっ! とケンタが呼んでいる。マリンエンジェモンのテイマーである。
助けに来てやったぜ俺たち様がよ! とヒロカズ節。
ヒロカズ! ケンタ!
あんたたち……、と留姫が頼もしそうに。
さっ、帰ろうぜ! とヒロカズ。
シナリオだと「テリアモンはどこだぁ?」というガードロモンの台詞だったが、ケンタに振り返られた。今話、梁田さんは呼べなかった……。
マリンエンジェモン! テリアモンを頼む!
ぴ~ぴ~ぷ~
孔を降下していくオーシャンラブの泡――。
ジェンが叫ぶ。
テリアモン! 大丈夫かーーーっ!?
も~まんたい~~~~
みんな、一緒だね?
うん! みんなずっと一緒さ! ね? ギルモン!
うん!と深く頷くギルモン。
日本の小学生の、最大限な愛情表現は「抱きつく」事だと思った。
後期エンディング曲、AiMさんが歌う「Days -愛情と日常-」の事は一度Twitterでは回顧したのだが、改めて後に書こうと思う。ともあれ、間違いなくラヴソングだと私は思ったし、この曲がシリーズの終幕をどう描くか、大きな啓示をくれたとも思っている。ただ、当然タカトと樹莉の関係性は、恋人には至っていない。だから、これが「最大限」なのだ。
引いていくデ・リーパー・ゾーンの点描を見せながら、山木が回顧的にモノローグ。
あれが本当にただのプログラムだったのか――
それとも、ネットワークの奥底で何か他の――
別の世界と繋がった存在だったのか――
今の我々は知る事が出来ない――。
今は、だが……。
溶暗。
大団円的なパートは短い。この後の「別れ」の場面があるからだ。
本来的には、英雄的に戦って世界を救ったタカトたちを、皆が祝福する様な場面があって然るべきだった。けれど、やはりそれは不要だ。これはあくまで、子どもたちの目線で描いた、子どもたちを描く物語なのだ。