髪の毛地獄!ラクシャサ
私がデジモン・シリーズに関わる様になったのは、「02/ダゴモンの呼び声」を角銅博之監督から執筆依頼されたのが最初。
この経緯をまとめられたモーメントがなくなってしまった。作成された方がアカウントを消されてしまったので、ログを掘り起こすのに少し手間が掛かる。いずれまとめる。
「デジモンアドベンチャー」「同02」シリーズ・ディレクターを務められた角銅さんとは、90年代後半に知り合っていて、最初に一緒に仕事をしたのは「serial experiments lain」Layer:09 Protocol のコンテ/3DCGを担当して戴いた時となる。
その後、佐藤順一監督がSDだった「ゲゲゲの鬼太郎」4期に、ホラー作家なんだからと紹介されたのだが、佐藤さんは別作品に移ってしまう。そこで私の脚本を求めてくれたのが角銅さんだった。
結果としては、一本のみ「髪の毛地獄!ラクシャサ」というオリジナル・エピソードを私は提供するに留まったが、この当時の角銅さんは同シリーズで京極夏彦氏の脚本・出演作も演出するという活躍ぶりだった。
テイマーズから遡り、何故私がデジモンに関わる事になったかのそもそも話をしておきたい。テイマーズ世代の人はそんな太古の話には興味がなかろうとも書いておく。人脈的な流れで言うと佐藤順一監督のOVA「魔法使いTai!」に私は途中から参加した。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
キャラクター・デザインが伊藤郁子さんなのだが、実質的には共同原案・脚本監修ほかオルガナイザー的な関わりをされており、東映アニメ系の人達はみんなこうなのかと驚いたのだが、後にそれは特殊例だった事が判る。さておき――、
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
2020年後半から、しばしば伊藤さんとは会っていて何かをしようとしていたのだけれど、二度目の緊急事態宣言という愚策を食らってまた空いてしまった。
私が角銅博之さんと初めて会ったのはいつ、何処でだったか訊ねたら、2人とも記憶がズレており(多分私がボケている)、どうやらリアルより先にパソコン通信の私主宰の会議室でオンライン上だった事が昨夜判る。今は普通な事でも、1995年辺りの話である。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
角銅さんは自主映画界では知られたグループえびせんに属されており、私もそもそも自主映画上がりなので非常に趣味も知識も近く(というかほぼ同じ)、やっとリアルに会ったのは「ディフェンダー」(柳葉敏郎+菅野美穂主演の小中兄弟映画)試写会だったらしい。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
仕事として最初に組んだのが4期「ゲゲゲの鬼太郎」の89話「髪の毛地獄!ラクシャサ」(作監:木下和栄 美術:徳重賢)だった。私が鬼太郎を書いて映像化されたのはこれ1本。実は「墓場鬼太郎」も頭2話書いていたのだが、よく判らない理由でリセットされた。 pic.twitter.com/6v6sGAaxE2
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
「ラクシャサ」の回は膨大な話数の鬼太郎の中でもファンには印象深かったらしい。ねこ娘が(魔に魅入られて)大人に成長して鬼太郎に妖しく迫るという筋。この回は妖怪もインドの羅刹を水木しげるさんが描かれた絵を見つけて、完全にオリジナルな話を起こした。 pic.twitter.com/NDvF2GNdHN
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
場末の純喫茶を主舞台とした薄暗い昭和の雰囲気(つまり漫画の鬼太郎的な)を醸す事が私の動機にあった。しかし多くの視聴者には、ねこ娘の恋に恋する少女らしいもの悲しさの方が印象深く記憶された様だ。じわりとした無気味さを角銅さんは見事に演出している。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
テレビアニメでもホラー表現が出来る事を知り私には大きな意義の作品となった。この回の砂かけ婆は、こんにゃくを千切って鍋に入れているのだが、これが勅使河原宏監督作品「砂の女」(1964)のオマージュである事について、誰にも言及された事が無いのが淋しい。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
塩沢兼人さんが演じたラクシャサと鬼太郎のバトルはホンよりも激しく盛り上がり、放送を見てとても昂奮した事を覚えている。一つ悔いを残しているのは、この期のねずみ男は千葉繁さんが演じられていたので(後にlainにも1エピソード出演して戴いている)――
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
塩沢さんは2000年、早くも物故された……。
私は嬉々として「、」の少ない台詞を立て続けに1.5倍増しで書いていたのだけれど、千葉さんのアドリブが入る余地が全く無かった。やり過ぎはよくないのだと反省。あと角銅さんは京極夏彦さんが書いた101話「言霊使いの罠」も演出されており、こちらも必見。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
角銅さんに、この一連Tweetをリプライの形で補完して戴いた。
後にDVDBOXのうちの一箱の表紙になるくらいのインパクトが有った様子。手前下の女の子が101話での猫と少女ですね。 pic.twitter.com/4B75xGPgLU
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
それまでに小中さんからおすすめの作品(今思えばJホラーの黎明期の作品群)をいろいろ見せていただいてたので、その感じをアニメでいかに再現できるかとやってみました。当時担当してたぬ~べ~でも少しはやってたけど、デジタル化された鬼太郎ではフィルムでは難しかったこともいろいろと。 https://t.co/WbQdOIqmvt
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
塩沢さんは同シリーズで前にもでてるので……というプロデューサーを押し切ってお願いしました。怪しいウエイターは他に考えられませんでした。 https://t.co/1clKAT78gw
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
幸運だったとしか……。
千葉さんのアドリブが入りにくいタイミングのシートを付けてたこちらの責任もあるとは思いますが、内容的に入れないほうがいいのだと判断されたのだと思います。 https://t.co/5NCHyPMzrj
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
ラクシャサと101話言霊使いの罠は、今までやった仕事の中でも最も楽しんだベスト3のうちの2本。どちらも鬼太郎のしかも原作にない話というのが面白いところ、余談ですが鬼太郎に少し遅れて始まるぬ~べ~の監督を打診されたもののこれは絶対貝沢さんがむいてるからと鬼太郎から引き抜いてもらい https://t.co/YdLnH97jPB
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
「言霊使いの罠」が京極作。
こちらも自主映画界および宇宙船やスターログなどで小中さんの名前と作品のいくつかは知っていたものの、この試写会のあとでたしか津原泰水さんと三人でお茶飲みに行って緊張していた覚えがあります。 https://t.co/2F1UYLe892
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
更に続き。その後小中さんと貝沢さん、伊藤郁子さんはファンファンファーマシィで組んで、『lain』お手伝いしたあと次はデジモンでダゴモンの話書いてくださいと約束取り付けておきながら1年目で入れる隙間がなく02に持ち越し、またテイマーズで小中さんと貝沢さんが組むことになったという流れ https://t.co/LRVtf7VXxk
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
そう、本来は「02」ではなく無印だったという。
こういうツイートもしてた https://t.co/KfN2xrGtS3
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
え……、「地底の足音」の脚色? 完全に覚えてないです。そんなの書きましたっけ……。もうね、本当に記憶力が……。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
本気で覚えていない。未だに思い出せず……。
確かプロットまでありましたよ。
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
それでその後、ファーマシィーでダンウィッチを私は書いてしま……、いやいやあれはネロンガのオマージュで……。
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2017年12月21日
あ、そうだそこつながりますか!
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
余談続き。ラクシャサの準備で鬼太郎のアシスタントプロデューサー(後のデジモン02の井ノ上京のモデル)たちと、彼女も読んでた京極夏彦さんはすごい水木ファンだから脚本も書いてもらえばいいのになどと言ってたのを耳にした企画部長がどこかのパーティでほんとに京極さんにお願いして101話に https://t.co/LRVtf7VXxk
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日
もう1回だけ続き。さて上がった言霊使いの脚本、誰が演出だろ、自分はぬ~べ~から1回だけの出張だしなあとぼんやりしてたら他に京極著書読んでる演出がいないんでやれと。しかしコンテ期間が半分以下しかなくてドタバタ。台詞多くてプリントしたものをコンテに貼り付けるようになったのはここから。 https://t.co/EwllD9xMqO
— 角銅博之 (@kakudou) 2017年12月21日