第48話回顧 1
今話のサブタイトル、私は普通に「こぶし」と読むべきだろうと思っていたのだが、ここでこの「拳」という文字には「獣王」というものが本来前につくのだ。だから「けん」が正しかった。
インプモン、ベルゼブモンの約1年間の物語のひとつの結着。今話はベルゼブモン・ブラスト・モード状態だけの登場であるが、今話のベルゼブモンの執念、へこたれなさはまさに19話のインプモンだ。
このサーガを書き続けた前川淳さんの最後の担当話。
演出は、中盤よりまつもとただおさんと交代で各話演出助手(前半は門由利子さんだった)を務められた地岡公俊さんが演出デビュウ作となる。シリーズ初期は、アイキャッチを製作されたり、貝澤シリーズ・ディレクターの仕事を見られていたのだろう。
作画は八島さんの一人原画。八島さんもテイマーズは今話がラスト。
美術は清水さん。(前エントリで違う事を書いてしまったが、各話の四役はWikipediaのテーブルを参照していたので、間違えてしまった。Wikiの表が間違っている)
樹莉を守る力 ベルゼブモンの拳!
脚本:前川 淳 演出:地岡公俊 作画監督:八島善孝 美術:清水哲弘
拡大するデ・リーパー・ゾーン。
オペラタワーのすぐ下にまで――
デ・リーパーがそこまで……。
ここも移動しなくてはならない。
心配で顔を見合わせる剛弘と美枝。
あそこに――、加藤さんがいる……。
んんも~~~~!
いつまで寝てるクル!
早く起きるでクル~。
オペラタワーの吹き抜けのパティオに、グラニが駐機している。
デイジーが実機の保守点検を担当している。
各チェックの終了次第、新装備を装着願います、と麗花。
判ったわ。
その背後、SHIBUMIが来て――
ポンポンと叩く。
よく来たなぁ、ここまで……。
アークにとっては長く苦難の旅だった。
つかれた~? とギルモンの声。
お腹すいてない? ギルモンパンもらってこようか?
笑うSHIBUMI。
ギルモンパン? それが君の動力源かい?
ギル。というギルモンの声に――
アークの目が動いた。
!
麗花!!
一同がモニタの周りに集まっている。
これは、グラニのメモリに残っていた、デジタル・ワールドのデータです。
荒んでいるデジタル・ワールド。そこここではまだ戦いが続いている。
デジタル・ワールドが……、
ひどい!
あああ……。
……。
キャメラ前をかすめて飛ぶ――
スーツェーモン!
今尚、「神」を慕っているロップモン。
長くは保たない――。
グラニが記録したデータを信じれば、デジタル・ワールドの約47%がデ・リーパーによって消滅させられた事になる……。
デジタル・ワールドだけじゃない! という山木。
こっちも見てくれ!
軍事通信基地。
レーダーアンテナ――
これは……、と絶句するジャンユー。
軍事通信衛星から傍受した映像です。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド――。(この五カ国が Five Eyes。最近この名は一般のニュースでも出る様になった。日本も入るとか入れないとか見当違いな意見も見られた)。
世界中の通信施設が、次々にデ・リーパーに襲われました!
私たちの、国も……。デイジーとバベルは合衆国民。
何か打つ手はないんですか!?
このままここでじっとしているなんて! ――俺はもう……、と剛弘。
打てる手がある限り――、いや、それがなくなっても諦めない。
私たちの世界を守る為に。
それを教えてくれたのは、あなたの息子さんたちなんですよ。
子どもたちだけを、戦わせはしません!
やっと気がつくベルゼブモン。
――見回し――
樹莉ぃぃ!
ベルゼブモンが起きたでクル!
すると、巨大な轟音と振動。
なんでクル?
心臓の鼓動の様に、明滅と轟音をたて始めるカーネル。
ええ?
突如――
樹莉が囚われているところから離されていく。
ジュリィイイイイイイイ!!!
突如都庁の最頂部が巨大な球体に包まれ――
周囲に衛星が配置される。
衛星が繋がり――
防御板が張り巡らされていく。
ADR-09 Gate Keeper。シナリオだと「デ・リーパー・ボール」だったが、カーネル・スフィアと区別がつかないので、この名称の方が相応しい。要塞化したのだ。
うわ! うわ!
みんな~~~!
何だ!? 何が現れた!? とドルフィン。
また新手のエージェントか!? とジャンユー。
望遠レンズで見るゲートキーパー。
デ・リーパーの核――
カーネル・スフィアを防御し始めた。
モニタを見ていた留姫――
ここに誰かいる!
ベルゼブモン!
シウチョンは前々話からそう訴えていたのだが……。
無言で互いを見る留姫とジェン。
そしてタカトも。リョウだけ、空気を読まずにサムズ・アップ。
ぼくたち、行きます!
強く頷く剛弘。もう覚悟は出来ている。
駆け出すテイマーズ。
あ、待って!
ロップモン、シウチョンを頼んだよ!
我……、
ぼくにまかせるなり!
カーネル・スフィア、そこに加藤さんがいる!
現れるBubbles。
出たなエージェントども! とリョウ。
どすこーい!
ヒョウ!
サイバードラモンとガードロモンが、テイマーたちの出陣をさせる為に先攻。
行くよ! ギルモン!
うん! タカト!
加藤さんを――
助けにいくんだ!
マトリックス・エヴォリューション!
「One Vison」デュークモンVer.。
町を奪い家を奪い――人の心を奪うデ・リーパー――!
このデュークモンが必ず倒す!
留姫とレナモン――
ジェンとテリアモン――
リョウがサイバードラモンを呼び――
四究極体進化の光。 ややして――
激しい爆発。
ロップモンはね、ここでお母さんたちを守る大事なお仕事があるんですからね。
わかってるなり、あ、わかってる、だ、よ、シウチョン……。
ゼロ・アームズ、新装備装着しました!
発進準備完了! と背後の山木に――
久しぶりのジッポー・ライター登場!
グラニ、お前に新たな力を与えたぞ。
グラニ!
発進!
巨大な電磁パルスパワーで――
浮上――
吹き抜けから上空へ垂直上昇。
リアルなマジンガーZ、的描写。この場面は大好きだ。
作中で飛行原理は明かしていないが、完全に電力。
「One Vision」はここまで。
グラニの飛行原理は、TR-3Bの様なものだと私は考えていた。
ワイルド・バンチのプロジェクトが打ち切りとなって解散した後、デイジーはアメリカの航空兵器メーカーの開発者になって、先端科学の実験(ブラック・プロジェクト)に携わっていた筈だ。
アークの設計は、この彼女の主導で短期間に作られたのだから、そうしたノウハウを持っていた筈である。ただ、アークのメインOSを働かせるAIには、マッコイ教授がかつて書いたデジコア、デジモンの核と同じプログラムが流用されていた。このデジコアには、プログラムを書いたドルフィンにも想定していないポテンシャルがあったのだろう、というのがデジモンの大進化の理由だと44話で述べていた。
TR-3Bという存在は、余程のUFOマニアでないと知られていなかったのだが、この2、3年の間に都市伝説ジャンルのYouTuberが増え、三角形のUFO画像や動画が山の様に作られた(大半が偽造)。そっち系の興味を持つ人には周知されている。
これを執筆時点(2021年7月)、アメリカは前政権が請求したUFO情報開示が形だけ果たされ、数ページの報告書が開示された。2017年頃からメディアに露出していた、AAITIPという国防総省のUFO調査プロジェクトは、もうプログラムを終了したとアナウンスしていたが、水面下では調査が進んでいた様だ。この時点から、UFOと呼ぶとサブカルチャー的過ぎるのと、エイリアン・クラフトとは断定したくない為か、UAP Unidentified Aerial Phenomenon 未確認空中現象と呼称する様になった。
今現在の私は、2014年にカリフォルニア沖の空母とその艦載機によって記録された、いわゆる「Tic Tac映像」は、何らかのドローン、つまり地球製の可能性が高いと思っている。というか、この開示運動はヒラリー・クリントンが大統領候補だった頃に民主党主導でやっていた事の再来でしかないと思っている。
デ・リーパーが西新宿に続いて、ファイブ・アイズ加盟国を狙ったのは、ヒュプノスの元々の機能、通信傍受施設があるというダークな側面を想定していたからで、これについての設定はResourcesの「クロニクル」で概観出来る。