第43話回顧 2
タカトはパンづくりの基本を父から教わっていたのだろう。
テイマーたちのパンづくりの場面はストップ・モーションで描かれる。
ギルモンが小麦粉でくしゃみをするところはアニメーション。
最初このテリアモンを見た時は衝撃を受けた。
楽しい朝食。
怯える女子高生。
なんだよう、ちょっと待ってくれよ! とインプモン。
そこを通りかかったサラリーマン。
うっ!
愛想良く笑う。誰にも愛されるクルモンを真似ている。
脱兎の如く逃げ出してしまう。
なんだよう! 俺はここになんて書いてあるか知りたいだけなんだよ!
――誰か教えてくれよ……。
と、趙先生の声。
何をわめいておる。
じっと見下ろしている趙先生。
……。
これ読んでくれよ!
「インプモンへ。私たちは本郷のおばあちゃんの家に行きます。アイ マコト」
ほんごう?
そこの駅から地下鉄が出ている。
五つ目の駅が本郷三丁目だ。そこで降りるがいい。
五つ目だな。サンキュー! 恩に着るぜ!
あんた、俺を見て何も思わないのか?
姿形など単なる器に過ぎぬ。
少なくともお前から悪しき心は感じなかったのでな。
なんかよく判んねえけど――
ありがとよ!
駅に向かっていくインプモン。
ジェンからデジモンの話を聞き、テリアモンとロップモンを居候させている趙先生だから良かった。これもインプモンの強運。
地下鉄大江戸線、本郷三丁目の五つ前の駅は若松河田町駅。インプモンはアイとマコの家近くでは誰も見つけられず、人が道を歩いているここまでやってきていた。
新宿駅西口はものものしい状態に。
ここもそろそろ危ないんじゃないですかー? と恵。山木がここに用事がある為、ついてきている。
そうね、と答えて麗花――、
デ・リーパー・ゾーンをみやる。
そこに被る、陸上自衛隊中隊長の声。
昨夜の戦闘で、我々は甚大な被害を被った。
今更ここで引き下がる訳にはいかん!
しかし――と山木が翻意を促す。
監視ミサイル、配備完了しました!
発射しろ。
いきなりミサイルを撃ち込む気ですか!?
このミサイルは、爆発しない。
ええっ?
93式近距離地対空誘導弾 特殊弾頭装備を発射。
ミサイルを横位置からトラッキングする迫力あるカット。
TAWの様に有線で繋がっている。ゾーンに打ち込まれた。
信管は備えておらず、弾頭部にはキャメラが。
このモニタに、あの泡の内部の映像が映し出される。
!? これは……。
絶句――。
これが都庁……、と愕然となる山木。
だが、その視界が四方から何かが遮っていく。
泡がミサイルを飲み込んでいく。
モニタは真っ暗に。
一体何が中で起こってるんだ……。
左右を見て――
何もしやしねーよ!
遠巻きにされるインプモン。まだ世間はデジモンに恐怖を抱いている。
は~、もうお腹いっぱい……。
ぼくも! 焼きたてのパンがこんなに美味しいとは思わなかったよ! とジェン。
ギルモンはまだ、形だけのギルモンパンを食べている。
レナモンが異音を察知。
どうしたの?レナモン、と留姫が訊く。
車だ。
えっ!?
車が停止する音。
呼び鈴を鳴らされる。
誰……?
もうこの辺りには誰もいないと思ったのに。
立ち上がる。
警戒しながら――
はい、どなた?
ああ!? 山木さん!
やはりここにいたか。
麗花と恵も同行。
山木さんどうしてここに?
(麗花を見て)あ、まいど……。ていうか、よくウチにパン買いに来てくれる人ですよね。
ええ。こんにちは、と挨拶する麗花。
なんだ、知ってたのか、と驚く山木。
あのタカトの偵察は山木の指示ではなかった様だ。
よーし、終わった!
観測機器の設置が完了した。
コーヒーでも煎れましょうか、とデイジーが声を掛ける。
デイジーがふと横を見上げて、驚愕。
どうした?
デイジーが指差す先に――、
「デジタル・ワールドのテーマ」である「代わりなんてない」が流れ始める。
SHIBUMI!
SHIBUMI、生きてたのね!?
気持ち良く眠っていたんだがね。
何らかの原因で長い昏睡状態にあった。
あいつの正体を教えてやろうと思って起きて来たのさ。
あれが何だか知っているのか?
あいつは、デ・リーパー。淡々と言うSHIBUMI。
何ッ!? デ・リーパーだって!?
はい、ぼくたちがデジタル・ワールドで見た奴と同じなんです。とジェン。
デジタル・ワールドだけではなく、こっちの世界にも現れたっていうのか……。
真剣な話をしているが、絵面が何とも面白い。
デ・リーパーというのは、許容量を超えた活動体が現れると――
その場を元の無に戻す浄化を始めるプログラムだ……。
覚えてるだろ? 懐かしいよな。
憤るデイジー。
懐かしい? いい加減にしてよ! デ・リーパーなんて私たちがデジモンの研究を始めるずっと前のプログラムじゃない。それが何で?
人はコンピュータ・ネットワークを飛躍的に拡げ活用し始めた――。それは同時に――
デジタル・ワールドというネット世界をも拡大させたのだ……。
デジモンは増え、進化し過ぎた。それでデ・リーパーが消去する為に動き出したという訳か……。
そう。そしてリアル・ワールドも……。
デ・リーパーにとっちゃ、リアル・ワールドはさぞかし消し甲斐のあるものばかりだろう。
頼む! どんな事でもいい! 判る事はなんでも教えて欲しい! デ・リーパーは一体何が目的なんだ!?
――それはぼくたちにも……、とタカト。
外から戦闘音が聞こえる。
飛び出してくる一同。そこからは見えないが、戦闘兵器の音が聞こえる。
また戦いが始まった!
山木は苦渋。人間の力だけでは敵わないと言っているのに!
今度こそ奴を、撃破しろ!
撃て!
撃ちまくれ!
大爆発が起こるが――
ADR-03 Pendulam Feetが飛び出す。
本郷の住宅街に来ているが――
どこにいるんだよ……。アイ、マコ……。
見上げるインプモン。
青い空――
ここまでがA-Part。