第41話回顧 2
なんとか全員揃って帰還の途につくものの、一人だけタスクを達成していない者が残っていた――。
ったく、おっせーよ女子はよ! とヒロカズが文句。
御免。
留姫、珍しく素直に謝る。そして誰を抱いているのか判る。
そいつ――
留姫、そいつが何したか判ってんの?
うん、と小さく頷く留姫。
ま、判ってて連れてくんなら、しょーがねーけどな。
ま、しょーがねーな。とガードロモン。
あ? こら、真似するな!
その時、ピーピープー、という声。
んん? と耳を澄ますヒロカズとガードロモン。
ケンタのポケットから、眩い光。
デジヴァイス!?
それを押しながら出てきたのが――
ぱ~ぴぷー!
わあ! と顔を輝かせるケンタ。
そうか! そうなんだ! マリンエンジェモンが俺のパートナーだったんだ!
俺のパートナーは、究極体のマリンエンジェモンだーっ!
上昇するアークの前を――
過るデジノーム一体。
ケンタにパートナーを運んだ役割。
前話で当分出ないと書いてしまったが、ここで出るのを忘れていた。
デジノームは名残惜しそうに降下していく。
かなりリアル・ワールド球へ接近しているアーク。
ジェンが事情を聞いた反応。
そうか、レナモンはインプモンを探して……。
インプモンの心の声。
いいのかよ、俺なんかが帰って……。
俺なんかが……、俺なんかが……。
自分の存在理由を、心の底から欲しがっているのだ。
触ろうとするヒロカズを拒絶するケンタ。
ちょっと触らしてくれよん。
だーめ! 絶対ダメ!
俺なんかが……。
いよいよ不可視のレイヤーを何層も突き破っていくアーク。
美しい雷光の様な、アークがレイヤーを破る光。
動いている……。アークが……。
デジモンのコアを持った船……。アーク――。
リアル・ワールド再突入、準備!――麗花。
突入角、修正!――恵。
慌ただしく行き交うヒュプノス技術員。
頑張れ!
頑張るんだアーク! もう少しだ!
子どもたちをこの世界に帰してくれ!!
菊池さんのこの熱い演技を覚えておいてほしい。
軌道がズレたぞ! マイナス114!
オーケー! 軌道は任せろ!と応えるバベル。
誰かー!? 子どもたちのリアライズ・ポイントの変更を家族に伝えてあげて!
デイジーが立ち上がる。
場所はここ! 中央公園よ!
ついにアーク――
現実と仮想の端境を越す。
「冒険者たちの戦い」から「シーサモンのテーマ」が流れる。スラップ・ベースのブラス入りジャズ・ファンク。テイマーズ後半の使用頻度からして、「冒険者たちの戦い」のサントラは事実上の「歌と音楽集 Vol.3」だ。
ギルモンが話している。
でね? ぼくたちとっても大変だったんだよ。
タカトが不審がる。
あれ? ギルモン誰と話をしてるの?
ん? アークだよ。
え? アーク?
アークはね、ギルモンのお願いをちゃんと聞いて、止まってくれたんだよ?
へええ、すごいんだねー。
タカト、掌をかざし――
そっと触れる。
アーク、ありがとう。
ここからはタカトの心の声。
そうだ。ぼくらは、アークのお陰で帰れるんだ……。ぼくたちの世界へ――。
――ふと樹莉が気になる。
加藤さん……、
もう少しだからね……。
樹莉――、もう少しだよ。
頑張ろう、ね。と留姫が優しく言うが……。
あ~あ、君たちのお陰で、俺も一年ぶりぐらいに帰れるなぁ。
この親不孝者! と拳で小突く留姫。
お互い様だ。
インプモンはレナモンが預かっていた。
安心して眠っているシウチョン、ロップモン、テリアモンを抱えているジェン。
何か異変を伝えている様子。
急制動が掛かる。
牽引ビームが細くなって――
消え、ゆっくりと降下し始めるアーク。その傍らを浮上していくデ・リーパーの泡。
どうしたーっ!?
ね、光の道がなくなっちゃうよ、とギルモン。
急激に落ちる事もないが、浮上出来ずにいるアーク。
でA-Partが終わる。
浮上する泡が増えていく。
アークとは交信出来ない様だ。
そんな……。
あれ? ジェン兄ちゃん、落ちてるよ?この船。
アークたる者の力もここまでか……、とロップモン。
じょ、冗談じゃねーよここまで来ておいて! とヒロカズ。
これってマジ……? とケンタ。
軌道が消えて、アークは行き先を失ったんだ! とジェン。
するとタカトがアークに大声で話しかける。
アーク! ねえ聞こえてる!?
聞こえるでしょアーク!? あともう少しなんだよ!
あともう少しでぼくたちは、元の世界に戻れるんだ!!
……。
だから、助けて欲しいんだよ、アーク! ねえ聞こえてるんでしょ? アーク!
!?
シンプルな応答。
アーク……。
タカトの声、聞こえたみたいだね!
うん!
しかしその直後、船の尾部から異音。
またも全動画でトラックバック。
激しく揺れ出すアーク船体。これは無加工のキャプチャ。原版からモーション・ブラーを激しく合成されている。
尾部からデータを破壊する事で推進。
推進Gが掛かる。
しっかり掴まって! とジェン。
アークが後ろから消えていく!!
自らのデータを破壊しながらロケット推進しているアーク。
突入するぜ!!
頑張って、アーク!
ここから2カットは無音、その後は音楽無しで効果音だけで見事に演出されている。
シナリオだと「ちびっこ広場」なのだが、私の記憶では「じゃぶじゃぶ池」だったところ。水深が20㎝程度の浅い池。
こ、子どもたちは……?
デジタル・ワールドのテーマ的な静謐な曲が薄く流れる。
この、光の中から歩いてくる子どもたちとデジモンの構図は、オープニングで近い感触のカットがあった。貝澤さんにとってのテイマーズ最終話、とも言える今話に刻印的な構図。
それぞれに喜ぶ子どもたち。
それぞれの親のところへ駆けていく。
流石に山木も感銘を受けているのだろう。
ここからはストップ・モーションの点描。
ギルモンを労る剛弘。
ヒロカズの母親はヤンママ。いや、中鶴さんがそういうキャラにしてきたから、以降そういう事に。
九州からリョウの父親が迎えに来ているが、これはタカトとの通信で、リョウも一緒に帰るという連絡があったという事にして欲しい。
迎える人がいないインプモン、そっと人に紛れて去って行く。
留姫は気づいた。
去って行くインプモンを。
インプモン……。呟く留姫。
麗花が山木に報告。
加藤樹莉さんの御両親にやっと連絡がとれたわ。
松本にある、奥様の御実家に行ったみたいなんだけれど……、
それで、どうした。
それが……、あんな勝手な娘、帰りたければ勝手に一人で帰って来い、って……。
えっ、と振り向く。
麗花、困惑している。
勿論、本心じゃないと思うんだけれど……。
ぼく、送ってくる!
驚く二人。
加藤さんを一人でなんて、ぼくもう行かせられないんだ!
でも……、長野県まで……、と流石に剛弘も躊躇う。
いいわよ、という美枝の意外な言葉。
だって、何処かもう判らないところ(デジタル・ワールド)にいるんじゃないもの。
ありがとう、と母にもたれるタカト。
男はつらいもんだよな、と父の同意も得る。
美枝の言葉。
いい? ちゃんと送ったら、必ず逗子の叔母さんのウチに来るのよ?
――留姫が樹莉に別れを告げている。
約束よ、という母に、うん! ありがとう、と応えるタカト。
松本か……。
新宿周辺の交通機関は今止まっているから……、
西新宿は異常振動が続いて避難勧告が出ていたが、新宿駅も運行停止になっていた。
その時、大きな振動。しかしこれは地震ではなく――
沈んでいくアーク。
ワイルド・バンチも全員出迎えていたのだが――、
もうリアル・ワールドでの形を保つ事が困難となった。
皆が見守る。
言葉を発さないまま――
アーク……。ありがとう……。
池の光も消えていく。
アークという疑似デジモン的な船にここまで個性を与えたのは、当然後にデュークモンを支援する飛行マシンとして甦るというイヴェントがあるからだ。
41話はやはり三部構成にしている。最後のAct.3はここまでと全く違うドラマを描く。41話は全体で、一種のロード・ムービーという、テレビアニメでは普段描けない様な構成になった。