Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

第38話回顧 4

急激な進化を遂げる事の成果と、その代償――。テイマーズの物語のバックボーンはやはりリアルな事実であった。

ジェンがチンロンモンに問うている。

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さっきの話の続きを聞いてもいいですか? 真の敵、って何者なんですか?

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何者かは知らぬ。その名前すらも。コンタクトした事がないからだ。――とチンロンモン。

しかし、その目的ははっきりしている。我らデジモンの抹殺だ。――とスーツェーモンが憤る。

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いつからいたの?

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デジタル・ワールドの創成期からいたらしい。しかしいつの間にかいなくなった。深いところに潜っていたのだ。

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深いところって?

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チンロンモンが力を顕現。

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海の水を避けて地面を露出。中央に黒い部分がある。

これがお前たち、人間の世界、リアル・ワールド。

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そこから6つのレイヤーを挟んで――、デジタル・ワールドの物理層――

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お前たちが最初に着いたのはここだ。

チンロンモンは、タカトたちがこの世界に来てからの動向を把握している。

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デジタル・ワールドが生まれた時はこれだけの世界だった。この中に――

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我らデジモンの祖先やデジノームが暮らしていた。 あと――

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向こうから来る何かを警戒しているデジノーム。

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真の敵も――

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それに触れると消失していくデジノーム。

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しかしいつの頃からか、真の敵はデジタル・ワールドからいなくなった。

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真の敵はデジタル・ワールドの外に、自分達の世界を作ったのだ。

黒く侵食していく周縁。

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……。

バイフーモンの領域――

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深い所から、戦っている音らしき音が低く響いている。

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じっと観察しているリョウ。

 

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真の敵の脅威がなくなり、デジモンたちは平和を得た。進化が進み、それと共にデジタル・ワールドは拡張を始めた。様々な世界が創られた――

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風の谷――

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歯車の世界――

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ゲコモンの森――

他にも幽霊の城がある町や、清流が流れる森林なども――。

デジタル・ワールドのエキゾチックで静的な場面には、「デジタル・ワールドのテーマ」の様に、「冒険者たちの戦い」の「代わりなんていない」が選曲されてきた。

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そして、デジモンとデジタル・ワールドの秩序を司る存在として、最も進化した我々の領域が生まれた。

しかし、こうした進化は誰かが計画したものでもなく――、眠っていた真の敵を目覚めさせてしまった。

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……。

 

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戦闘が激化している。

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リョウが立っていた崖も崩れる。サイバードラモンがすかさず救い出す。

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下で――、一体何が起こってるんだ!?

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崖がどんどんと崩れ落ちていく。

 

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デジモンに進化をもたらす者―― 、それがデジ・エンテレケイア!

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羽ばたきだけで岩を払い、かつてのデジ・エンテレケイアの容器を露出させる。

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それはデジモンにとって必要不可欠なものではあったが――、

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真の敵を鎮めるには隠さねばならなかった。

つまり、デジ・エンテレケイアを隠したのはチンロンモンだった。

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スーツェーモンは憤る。

それにしても――、

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必死に崖を登っていくクルモン。恐ろしいまでの意思の力。

デジ・エンテレケイアをデジモンに変えるとは――

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戯れ言も過ぎる!

それは我に非ず! とチンロンモン。

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では誰が!?

と――、向こうからやってくる――

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デジノーム!

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つまり、クルモンというデジモンに変成させたのはデジノームであった。

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ああっ!

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SHIBUMIこと水野悟郎が運ばれてくる。

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四聖獣の領域で何が起こってるのか、この目で見たいと思ったら、デジノームたちが連れてきてくれたよ。

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デジノームは願いを叶えてくれるんだ。チンロンモンや、水野さんや、ぼくの!

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ケンタが、誰?この人、と訊ねる。

水野さん、とジェンが答える。

人間? と留姫。

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水野さん! デジタル・ワールドが出来た時、デジモンたちと一緒にいた、デジモンたちの敵って?

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ん?――

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SHIBUMIの姿と重なる、

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何処か山間の病院――

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昏睡状態にある、リアル・ワールドの水野悟郎。

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苦しそうだが、実際に声に出そうとする。

で、デ・リーパー……。

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でりーぱー?

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って何なの?

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ネットワークが生まれた頃に作られた、不良人工知性駆除プログラム。

パックマンの様にデータを食い尽くす。

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それだったのかぁ……。四聖獣たちが恐れていたのは……。

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ヒロカズが一歩前に出て、

そいつらって強いの?

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そいつら? デ・リーパーはどこにあっても、ただ一つだけの存在。原始的な知性も感情もないプログラム――、

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だった筈……。

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ノンモン(無音)で初めて描写される、デ・リーパーそのものの客観描写。不定型なブロブが集散を繰り返す。

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だった筈って、じゃあ今は違うの?

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あの頃のままだったら、四聖獣が恐れる訳がない。デ・リーパーに――

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何かが起こったんだ。何かが――

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何かって、進化……?

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何が……、

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ついに覚醒する水野。

一体何が起こったんだ!?

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突如SHIBUMIが姿を消して、驚く一同。

どこへ行ったの!?

水野さーん!?

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デジノームも去って行く――。

 

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未だ続いていたバイフーモンの戦い。しかし――

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静かになっている。

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どうなったんだ……。

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シェンウーモンも様子を窺っている。

 

そことは別な縦坑――

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早くここから出るでクル!

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しかし――、クルモンの登ってきた下の方から――

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これは、なんですか?クル?

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クルモンは、それに触れたら自分が消滅するのだという事をまだ知らない――。

 

というところで38話は終わる。

大雑把にではあるが、デジタル・ワールドの成り立ちと歴史、構造までが明かされた。それほど子どもでも難しい話ではないのだが、前作までのデジタル・ワールドとは違うので、同じデジモンが出ているから戸惑う視聴者もいたのかもしれない。デジモンが古代や神話の要素を持つ者もいるのは、ネットワークにデジタイズされた記録やデータがライブラリ的に利用されていた、と解釈していた。デジタル・モンスターという名前であるからには、そうだろうと。

スーツェーモンは言わばデジモン原理主義の過激派。一度火がつくと(最初からついているが)その怒りが収まらないが、その行動原理はデジモンという自分たちが護っている仲間の進化と繁栄だ。更に、自分達が一度人間(ワイルド・バンチ)に棄てられたという歴史を知っており、それ故に人間には反感を抱いていた。デジ・エンテレケイアがリアル・ワールドに出奔した事を知るや、自らが再構築したデーヴァを繰り出したのも、彼なりの義があっての行動だった。

チンロンモンは、デジモンアドベンチャーでも登場して子ども達を助けた存在。なのでテイマーズでもそれを踏襲した。

1年のシリーズであっても、四聖獣という存在の強力さを描くのは難しい。アドベンチャーでは、ダーク・マスターズに封印されているという設定で、チンロンモンのみが登場していた。(だからヒロカズらは知っている)

テイマーズで4クール目をそれに割り当てたら、毎週が天変地異を描く様なものだ。バイフーモンは今話は姿を見せず、スーツェーモンとチンロンモンの睨み合いを軽く描くのが精一杯であった(それでも今話の前半の様な大事になる)。

デ・リーパーは完全に3D CG。

デジタル・ワールドがニア・イコールの現在のインターネットとすると、その端緒は1969年のALPAnetという、核戦争時に生き残れる様な分散ネットワークを作っておこうと、DARPAが作ったもの。1983年になってTCP/IPによって軍用ネットワークが分離されたのが、現在のインターネットなのだ。

1970年には最初のコンピュータ・ウイルス《ワーム》が仕込まれ、リーパー(死神)プログラムによって駆除される。

デ・リーパーそのものは1980年代に生まれたと想定していた。

つまり、このデジタル・ワールドとデジモンたちは、たった20年程の間に急激な進化と発展を遂げていたのだ。ジャンユーらが戸惑うのも当然なのだ。SHIBUMIはそれを期待していたが、しかしその発展に伴って、好まざるものまで進化したのだという事に気づき始めている。

 

にしても見応えある濃い回であった……。

 

 

 

#38 Credits

 

ギルモン~デュークモン:野沢雅子
松田啓人~デュークモン:津村まこと
テリアモン:多田 葵
李 健良:山口眞弓
レナモン/タオモン:今井由香
牧野留姫:折笠冨美子
塩田博和:玉木有紀子
北川健太:青山桐子
加藤樹莉:浅田葉子
ロップモン:多田 葵
李 小春:永野 愛
サイバードラモン:世田壱恵
秋山 遼:金丸淳一
山木満雄:千葉進歩
李 鎮宇:金子由之
バベル:乃村健次
デイジー百々麻子

SHIBUMI:諏訪太朗

クルモン:金田朋子
ナレーション:野沢雅子

チンロンモン:小杉十郎太
シェンウーモン:八奈見乗児

スーツェーモン:森山周一郎

 

原画:山室直儀 田辺由憲 羽坂英則 吉田直

動画:塩田夕子 渡邊 渉

背景:徳重 賢

デジタル彩色:井浦祥子 藤田 潮 足立和也 田中唯巳郎

デジタル合成:三晃プロダクション
       広川二三男 則友邦仁 吉野和宏 中山照美 福井道子

演出助手:地岡公俊

製作進行:山下紀彦