第38話回顧 1
第二部デジタル・ワールド編も大詰めに迫る。
前半は、スーツェーモンの逆襲がアクション満載で描かれ、神の怒りとその力を見せつける。しかし後半からは、これまで仄めかされてきた点と点を繋いで、状況が開示される。
SHIBUMIが32話以来に登場。四聖獣という言葉をテイマーズで最初に発したのがSHIBUMIであった。
まさきさんがここで子ども達とパートナーを一挙に集め、設定を視聴者にも判って貰える様な脚本を担当。演出は吉沢さんがガードロモン以来の担当。まさき脚本とは10,17話でも組まれている。作画監督は山室さんによる濃密でスタイリッシュな画面。美術は徳重さんが一人背景。
動き出した真の敵! 四聖獣の戦い
脚本:まさきひろ 演出:吉沢孝男 作画監督:山室直儀 美術:徳重 賢
前話から直結して――
神を恐れぬ愚かな者ども。神の裁きを受けよ!
たったひと羽ばたきだけで大地までも薙ぎ払われる。
サブタイトル・コール、タカトが通常担っており、特段に内容に沿った言い方をするという演出はないのだけれど、今話はとても力がこもっている。(真の「しん」が裏返っている)
これまでテイマーズで登場した中で最もリアルに描かれた都庁舎。
2021年、都庁に自衛隊の常駐部隊が派遣されている。20年後、ある意味ではヒュプノスが現実化していると見えなくもない。
だが作品内の「今」は、リユニオンしたワイルド・バンチが子どもたちを救う為に作業をしている。キーボードを叩く音が聞こえてくる。
こういうのはどう? とデイジー。
あ、もう液晶ディスプレイだ。
何か乗り物らしき設計プラン。これはグラニから逆算して中鶴さんがデザインされたのかな?
まだこれが新「アーク」とは作品内で呼ばれていない。
ドルフィン、カーリーが納得している。
動かないプログレス・バー。
いつまで処理中だ、遅い、と苛立つジャンユー、いやこの場では「タオ」。
しょうがないさ、複雑な計算させてんだから。とバベル。
落ち着いてコーヒーを飲む。
ヒュプノスを使ってもこうですか、と山木が落胆の声を漏らす。
だったら日本には――(日本のスパコンはこの時期から世界一を取ったり譲ったりはしていた。しかし専従プログラムを走らせる余裕はない)
それだったらご心配なく。
ちょうどメールが届く。
世界中の仲間が手伝ってくれてますから、とバベル。
思い出すわ。デジモンもこうやって、みんなで一緒に作ったんだよね……。
バベル、振り向きもせず
ノスタルジーに浸るのは後、後。子どもたちの運命が掛かってるんだから。
判ってる。
進まないプログレス・バー。
ため息をつくタオ。過去最もカッコ良い描かれ方。
目を向こうにやる。
新アークが作られつつある。
待ってろよ、ジェンリャ、シウチョン、みんな! この「箱舟」で助けてやる。
だからそれまで、頑張ってくれ!
「SLASH!!」ヴォーカル入り。
スラッシュ・バンク、進化バンク二段階を圧縮してタオモンへ。
「オン!」――
23話(吉沢演出)で用いた陰陽シールド結界で、子どもたちを――
助かるのだが――
容赦なく降りかかる岩。
うわああああ!
陰陽結界は何とか回避出来ている。
助かったぁ……と安堵するタカトだが――
喜ぶのは早い!
ド迫力のワンカットで迫るスーツェーモン。
海面に波を立てて進む――
恐ろしい勢いで迫ってくる。
オン!
スーツェーモンが猛然と飛ぶコースから、タオモンが結界を浮上させる。
巨大なスーツェーモンの尾がすぐ下をかすめていく。
あぶなかったぁ……。ありがとうタオモン。
タオモン、膝を突く。振り向くギルモン。
肩を揺らして息をしているタオモン。この結界を維持するだけで体力が削がれていく。
シウチョン、また来る!と――
執拗に狙ってくるスーツェーモン。
オン!
また結界の軌道を変えようとしたが――
もうスーツェーモンの嘴が迫っていた。
弾き飛ばされる結界。
こんなに揺らされたらGなど耐えられない筈だが――
陰陽の場は引力を維持する様だ。
かわすのが精一杯だなんて――、と悔しがるジェン。
タオモンの息が荒い。
また! とシウチョンが叫ぶ
ワンカット。
もう直撃を免れないコース。
ギルモンとテリアモン――
無言でうなずき合う。自分たちがやらねば――
結界とスーツェーモンの距離がもう――
ギルモンとテリアモン、気合いの声を上げて――、結界から飛び出す!
無茶だ!
やめて!
ギルモンの空中ファイア・ボール!
吐いた後のリコイルまで描写。
そしてこちらも新規作画のプチツィスター。
バンクだと「ぷちついすたあ」と書きたくなる可愛さがあったが、こちらは迫力がある。しかし――
理解に苦しむ。此奴が本気で勝つつもりでいるのか。
スーツェーモンの声。
再び波状攻撃。
二連の目を細め、怒りを露わにする。
だとしたら余りにも愚か。
だが、情けは掛けぬ。
嘴に突かれて転落していくギルモンとテリアモン。
パートナーが名を呼ぶが――
海に落ちていく。
スーツェーモン、海上を見下ろし静止。
必死に泳ぐギルモンとテリアモン。
逃げなきゃ!
タカトはスーツェーモンに問い掛ける。
どうしてなの!?
愚かな者が受けるべき報い――
浅瀬まで必死に泳いできた。が――
それは、死。
どうして戦わなきゃいけないの!?
滅びの炎の中で、己の罪を思い知れ!
四枚の羽先から紅焔が迸り――
四つの紅焔を捩らせながら叩きつける!
直撃されたら――
ロップモン、呟く。
最早これまでか……。
神の前では所詮、我らは無力な存在……。
やっと岩場に辿り着いた二人だが――、
頭上に膨大な力が迫っていた――。