第35話回顧 3
今話で最も辛いパート。見直すと、随所に私自身が言いたかった事が含まれている。
倒れて動かなくなったメギドラモン。
肩で息をしていたベルゼブモン――
うぐぁああああああああああっっ!!!!
雄叫びを上げ続けるベルゼブモン。
絶句。
未だベルゼブモンの雄叫びは聞こえ続ける。
ホントにあいつ、最強のデジモンになったのかよ……?
がああああああああああああああ!!!!
加藤さん――。
タカトの視線に気づいて樹莉、数秒後に後退る。
樹莉の目に涙が浮かぶ。
も、もうやめて、こんな事……。こんな――
ぼくだってこんな戦い――
タカトがこちらへ来ようとすると――
来ないで!
ギルモンちゃんを――、あんなに可愛かったギルモンちゃんが――
衝撃を受ける。樹莉の言葉で、自分のした事を更に強く認識――。
今、ギルモンは――
メギドラモンの姿で――
動かなくなっている。
ハザード・サインが徐々に薄く消えていく。
ネットワーク最深部レイヤーの異常、停止した模様です――。
助かったのだろうか……? とジャンユー。
山木は――
何が起こっているのすらも判らない――。
頭を垂れる。
こんなもの(ヒュプノス)を作って有頂天になっていた自分が、あまりに愚かしい……。
ジャンユー、近づく。
これからさ、これからだよ山木君、と励ます。
ワイルド・バンチの皆さんが作っておられるアーク「箱舟」は、あとどれくらいで完成するのですか?
1980年代にワイルド・バンチの、主にデイジーが手掛けていた「アーク」は、ネットワークと子どものインターフェイス・デヴァイスだった。それが、デジノームによってリアル・ワールドに現れたが、ジャンユーはまだそのプロセスは知らない。
今ジャンユーらが試みているのは、デジタイズした子どもたちを現実世界へ戻すためのプログラム。それを「アーク」と呼んでいる。これらは玩具設定には無く、商品名ディーアークから私が合理的な意味として見出した解である。
基本設計は出来ている。しかし計算が膨大で……。
ヒュプノスのメイン・フレーム(メイン・コンピュータ)を使ってください。
あ、ありがとう――。
急がねばならない。あの子たちは恐らく、自分たちも知らず――
この世界を救おうとしているのかもしれない――。
実にその通りの事を、テイマーたちはデジモンと為そうとしているのだが、それが顕在化するのはまだ後の事である。
朱雀門の前で、ベルゼブモンは――
もがき苦しんでいる。先刻までは、勝利の昂揚感で雄叫びを上げていたが、ロードしたデータがまだ身体の中で再構成されていない。激しい痛みが身体の中で起こっている。
その間に――
離ればなれだった子どもたちが集まっていく。
意を決して断崖を跳ぶシウチョン。続くロップモン。
テリアモンが笑顔で、ふぁ~と言いながらロップモンとシウチョンのところに駆け寄る。今話唯一の和むカット。
留姫もレナモンと再会。
そして――
タカトは断崖を越えて――
暫し佇む。
メギ、ドラモン……。
メギドラモンの倒れている近くで。
動かない。
意を決して、メギドラモンに近づいていくタカト。
ぼくが、いけなかったんだ――。
語りかけるタカト。
全部、ぼくが――
ぼくは、とってもデジモンが好きで――
ネットの中とか、カードの中だけじゃなくって――
ホントにぼくと一緒に遊んだり出来たら――
とっても楽しいのにって――
ずっと思ってて――
だから、ホントに夢が叶ったっていうか――
ぼくがそうなって欲しい事が――
魔法みたいに起こって――
でも――
デジモンはデータ……。
魔法なんかじゃなかった――。
激しく自らを悔いるタカト――。
このフラッシュバックは、1話、2話、8話(グラウモン)以外は、13話(信実さん作監)のパートが多い。特に13話の、可愛いギルモンとか、公園で並んで座るカットは、シナリオで書いておいて良かったとつくづく思った。
注意して見て欲しいのは、この場面でも、タカトではなくギルモンの方から、タカトを説得しているのだ。ギルモンはタカトの想念だけで生まれたのではなく、自身の考え、自我をしっかりと認識している存在なのだ。
だがタカトを責めないで欲しい。樹莉に言葉にされるまで、この時この瞬間にこうした内省を出来なかったタカトを――。
ケンタが樹莉に必死に呼び掛ける。
加藤-っ! ねえ加藤ってばー! こっちに来なよ! 危ないってばそこに一人じゃ!
しかし樹莉は動かない。
なぜか、レオモンが消失してもD-Arkは消えていない。ノイズを表示し続けている。
液晶表示についてはシナリオに無いのだが、今後の展開を考えて角銅さんと相談して入れて貰ったのか、今は覚えていない。
いずれにせよ、この最深部レイヤーの大地の亀裂がどういう影響を及ぼすかも、この後に関わってくる。
ヒロカズ――
しょうーがねーなー……。ま、無理ないけど……。俺、連れてくる、と言って――
助走する分、後退った時――
大きな音が――
ベルゼブモンが復活――。
凄まじい放射を発している。有り余るエネルギーが体内に蓄積されたという表現。シナリオはあっさりとしか書いていないが、ここではフルアニメーションで、まるで翼を拡げるかの様に描かれている。
がああああああああああああああ!!!!
完全復活。
俺は! 俺は勝った!
俺は――
最強のデジモンになったんだ!!
この描写、台詞もそうだけれど、構図も絵柄も、何となく手塚治虫のマンガを想起させる。具体的な作品までは思い当たらないのだが。
まずい。あいつはタオモンたちのデータも自分のものにしてしまったんだ……。
なんて奴、とテリアモン。
シウチョン、ロップモンに――
進化して、進化してあいつやっつけて――と言う。
我……、進化はもう許されない……。
だってみんな危ないんだよ!?
シウチョン、ロップモンに無理を言うな。
決して怒鳴ったりはしていないのだが――
だってえー、と泣き出してしまう。無理もない。この緊張状態に長く置かれたら。
ジェンは頭を抱えるが――、
留姫が近づいて、頭を低くしてシウチョンに優しく語りかける。
シウチョン、大丈夫。みんなもいるよ。
レナモンやテリアモン、ガードロモン、みんな私たちと一緒。
留姫の言葉も今のシウチョンには――
留姫とシウチョンは、これが初対面なのだが、ジェンとどういう関係の幼い子なのかは察した。22話(吉村脚本)で、カードゲームを教えて貰いたがった樹莉に優しく接した留姫がここにいる。
あいつ――!
ベルゼブモンは何をしようとしているのか――。
子ども向け番組にあるまじき事をベルゼブモンは仄めかす。
手塚風味。バンパイヤのロックっぽさでしょうか…?(笑)💦
— 信実節子 (@S_NOBUZANE) 2021年6月11日
ぼくは悪魔の申し子だいッ‼️ pic.twitter.com/1miFMeThvp
あっ! これかもです!
— 小中千昭 Chiaki J. Konaka (@yamaki_nyx) 2021年6月11日