Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

第35話回顧 1

 

いよいよギルモンとタカトが究極進化をする35話。今の私の感覚では4クール目頭かと思っていたが、3クール目が終わるまでまだ4話もある。放送は2001年12月2日。

夢の無い話を先にしてしまうと、クリスマス商戦の玩具発売を控えて、この辺りに出して欲しいというスポンサー要求があった。まだ残り話数を多く残している段階で、主人公デジモンの最上進化を見せてしまうのは(隠し球があるとは言え)、製作態勢的にもどうなのかとは案じつつも、最終回レヴェルのイヴェント回にしてしまった。

こうした回で角銅さんと組めたのが本当に有り難かった。今話についてはがっつりと会議で話し合いをしたが、その前の回についても立ち話でだけれど相談をする事が出来た。

作画監督は21話でも角銅さんと組まれた信実さん。信実さんも多くの原画を描かれたという。原画にクレジットされた人の数は過去最大。美術は清水さんが担当される。

 

 

カット毎ではなく、動きの前後もキャプチャしていたら500枚を越えてしまった。1エントリは100枚程度にしているので、5分割になりそうだ。

 

その名はデュークモン! 真なる究極進化

脚本:小中千昭 演出:角銅博之 作画監督:信実節子 美術:清水哲弘

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今話は「前話までのあらすじ」はノーマル。だが前話の内容だけに、絵柄も恐ろしげなものになっている。更に前話の終わり間際をリプライズさせた。

今話では、物語として到達しなければならないものが先ずあるだけでなく、構成役としてはフォローしておかねばならない描写も入れ込む必要を感じていた。今後の展開に必要な要素も入れ込まねばならない。様々な計算と、やはり書く時の自分自身の情熱、そのバランスにはいつも以上に配慮した。

 

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新宿中央公園から赤い光の柱が立ち上っている。

2018年のCDドラマで、中央公園の地下にヒュプノスの後継施設が作られているという設定にしたのだけれど、2001年のこの時には単に、ネットワークの集中ハブがあるという想定だったと思う。

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ジャンユーが、ちょっと出かけてくる、と声を掛ける。

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ちょっと待って。

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ね、シウチョンにどの服送ったらいいかな。今、香港の気温てどうなの? と、服を畳みながら訊く麻由美。

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靴べらを乱暴にねじ込むジャンユー。

聞こえたのか? 出かけてくる。

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待ってよ!

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シウチョン、本当にあなたの御実家に行っているの? おかしいわよやっぱり。

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私、夢で見たもの。あの子、ジェンリャと同じところに行っちゃったんでしょ?

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――すまない……。

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なんで!? なんでウチの子ばっかり!

心配そうに見ているリンチェイ(兄)とジャアリン(妹)。

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後でゆっくり、話す。

と言って出てしまうジャンユー。

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一瞬息を呑んで――

後っていつよ!?

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泣き崩れる麻由美。

33話でシウチョンがデジタル・ワールドに渡ってしまった事を、ジャンユーはこう妻に言い訳していた。

タカトや留姫の親に比べて、ジェンはジャンユーが物語のキーパーソンなので、父ばかりを描写してしまっており、麻由美を描写する場面が少ないのは良くないと、こうした場面を書いた。ジャンユーの余裕の無さを表現する意図もあった。しかしこうして丁寧な演出と作画、安達まりさんによる演技によって突きつけられる、親の想いの重さ。

ジェンの冒険にはこうした代償もあるのだ。

 

そしてシウチョンがいるところ、デジタル・ワールド最深部、四聖獣の領域――

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これがワンカットで描かれる。メギドラモンの咆哮までも、野沢さんが当然の様に演じられる(全然当然などではない)。

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朱雀門の前で対峙するベルゼブモンとメギドラモン。

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あまりの体躯の違いにベルゼブモン――

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絶句。

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唸る低周波音は流石に効果音が用いられる。

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怖い、と顔を歪めるシウチョン。ロップモンが庇っている。

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あれがギルモンの究極体……。

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ギルモンはウイルス種――、だけどあんなになっちゃうなんて……。

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メギドラモン、ウイルス種究極体――

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やっぱり究極体だ……。

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あれが、ギルモン……、ぼくが考えた、デジモン……。

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メギドラモン、吠え掛かり――

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剣先の様な尾を放ち――

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尾でベルゼブモンを捉える。

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視聴者までも飲み込もうかという迫力で迫る。

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ベルゼブモン、喰われまいと必死に抗う。

何だこいつクソ!

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強すぎる!

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メギドラモンの唾液が――

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ベルゼブモンに落ちる。

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もう喰われるのも間近そうだ。

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もうやだ!

レオモンを失っただけでなく、ギルモンまでもが化け物になったのだ。樹莉の精神は限界に来ている。

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加藤さん……。

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何が起きているのか、やっと現実を認識するタカト。

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ぼくが、あいつを倒せ、あいつを消してしまえって思ったから、

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ギルモンは――

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突如、地割れが起こる。

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深淵までの深い切れ込み。

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亀裂はそこここで起こる。

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留姫が叫ぶ。

どうしたの!? 何が起こってるの!?

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ジェンと、ヒロカズ、ケンタ、ガードロモンが離れていく。

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メギドラモンの胸が、違う明滅を始める。三つの三角が回転しながら強く明滅。

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ハザード・サイン……。

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この進化は、デジタル・ワールドそのものにまで危機をもたらすんだ! あのマークはそういう意味だったのか!

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ハザード・サインの光が強まっていく。

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ジェン兄ちゃーん!とシウチョンの声。

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地割れでシウチョンとロップモンが離れていく。

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躊躇わず、シウチョーン!と叫んで断崖を跳ぶジェン。

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安心して抱きつくシウチョン。しかし――、三人にいるところが孤立していく。

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しまった……。

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ラピッドモン!大丈夫?

ラピッドモンは、その速さを描写する為に、これまでは瞬間移動的な表現ばかりだったのだが、今話では低速飛行を見せてくれる。効果音でジェット音がついているので、SVTOL機的な挙動だ。

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まだまだぼくは、負けないよ。

耳先の損傷は修復出来ているが、肩は傷ついたまま。

 

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都庁――。勿論そこには

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ヒュプノスが。

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ここで流れるBGMはこれまでも度々使われてきたが、映画「冒険者たちの戦い」の「メフィスモン復活」。いかにも「東映動画のマンガ映画」的で昂揚する。

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ジャンユーが向かったのは勿論ここであった。

何が起こっている!?

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不明です。デジタル・ワールドの一番深いレイヤーで、強大なパワーが現れ、レイヤー自体を揺るがしているのです。

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ジェンリャ達は!?

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判らない、と力なく首を振る山木。

連絡がとれません……。多分、彼らの行動が関係しているのは間違いないでしょう……。

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なぜ、なぜ今なんだ! 世界の仲間と連携して子どもたちを救い出すアークを作っているところなのに、間に合わないなんて!

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私は彼らを信じます、と言う山木。

え、と見るジャンユー。

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彼らはこれまで、大人の我々ではとても不可能な事をやってこれた。

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そう――、そうとも……。

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しかし――、しかしこの異変は――。

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これが意味する事が、タカトらのいる場所で具象化される。

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デジタル・ワールドに立ち上っていく光の柱。これまでのそれとは違い、マグマの様なものが地底から光線となって上っている。

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赤い光の柱はリアル・ワールド球にも届く。

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荒野の果てにいる――

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リョウとサイバードラモン。

何が起こってるんだ……?

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すぐ背後からも――

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赤い光の柱が――

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点滅周期が速くなりつつある。と――

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地表レイヤーに段差が生じ始める。そして地殻移動までも。

必死にまだ堪えているベルゼブモン。

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もう――、もうやめてギルモン! もうやめるんだ!

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しかしメギドラモンにタカトの声など届かない。

こいつは――、俺を喰う為だけに生まれたのか……? ベルゼブモンは、負けそうな自分を呪っている。

 

デジモンの設定には、データ種、ウイルス種、ワクチン種という三つの種族に分けられており、これは三竦みの力関係という意味合いとなっている。同じデジモンが、種を変えている事はままあって、テイマーズではD-Arkでデータを表示する時の読み上げでも、「種」については省略していた。

しかしこのメギドラモンへの進化の異常性に、思わずラピッドモンが漏らしたのがギルモンがウイルス種だという事だった。

胸にはハザード・マークが描かれ(このハザード・マークは本来は放射能汚染警告。バイオ・ハザードなど他の種類も概ね三点表示)、「罪」Guiltyを名の由来にしているギルモン(タカトはそういう意図では命名していないが)は、確かにタカトという人間の子どもが考えた事で生まれたデジモン。故にデジモンの世界をも破滅させるポテンシャルすらも持ちかねないのだ。

しかし、この「種」というのは単なる属性。対決した時のバランスの為のもの。アンティラモンだって本来はウイルス種だったが、デーヴァのアンティラモンはデータ種に変わっている。この「種」の軛は、自身の意思と行動で乗り越えるべき「運命」なのだ。

 

以下は余談ではあるが、2020年から起きてる現状を把握する上で、ウィルスについても随分と勉強をする事になった。単に病原体というイメエジを抱かれがちであるが、人間のDNAの多くがウイルス由来であり、人間が今の様な進化を経たのは伝播されたウイルスが媒介となっている可能性が強いのだ。

一方で、ワクチンというものについては引き続いて、極めて疑わしい目で観察しているところだ。

 

更に余談だが、二ヶ月くらい前に「デビルマンレディー」の一場面を切り取ったTweetが出回った。日本国民強制ワクチン接種が実施されているという場面(21話)。
人を強制的に別の存在に進化させるにはどういう手段があるか、と1998年の私は、RNA改変ウイルスというものを考え出した。これは当時でも構想された「治療法」なのだが、実現は遠いものだった。
アニメ版「デビルマンレディー」は、「デビルマン」と同じく、原作マンガが連載され始めた時点での企画開発で、事実上パラレルに進行するしかなく、マンガ版(アニメ終了後に連載も終了)とは遠く離れている。のだが、私は原作マンガ版「デビルマン」を規範に物語を構成した。
到底、陰謀的にアニメの存在を宣伝してくれたTweetやブログが疑う様な「予測プログラミング」では全くないのだと、ここで書いておく。

陰謀論用語では、事前に起きる事故や事件をフィクションで提示しておくというのが予測プログラミング。私にもその意味というか効果は疑問を持つが、9/11については数多くの映画やカートゥーン、ドラマで事前に似たヴィジョンが事前から提示されていたのは事実だった。)