第31話回顧 2
後年、「神霊狩 –GHOST HOUND-」の為に酒蔵を取材した。最初は舞台にする九州北部へ行ったのだが、季節が夏近くで仕込みの時期は過ぎていた。また中村隆太郎監督が遠出を好まなかったので同行しなかった(美術の小倉さんは同行されたので、映像的にはこのロケハンは活かされている)。半年後、冬の時期に青梅か奥多摩か忘れたが、東京の酒蔵を隆太郎さんと共に見学させて貰った。今話はそんな事を思い出させてくれるエピソードだった。
さて、Act.2はタカトたちから。
このままじゃどこ行くか判らない! ジェン! 脱出しよう!
わ、判った! 手を繋ぐんだ!
テリアモーン!
ちょっと苦労しながら耳をジェンに伸ばす。
行くよ!
ジェンが一旦タカトを内側に引き込んでから――
思いっきり光の柱の外に飛ばす。7話で使った手だ。
そして留姫たちは――
まるで老舗の酒蔵の様な……。
ギルモンたちは運んできたアンドロモンをそっと寝かせる。
誰が住んでるのかしら? と樹莉。
住んでるというより――
やっぱり……
うあっ。
ん???
せっせとダスト・パケットを運んで働いているゲコモンたち。
ゲコモンたちが何かしてる、とギルモンが言うが、ゲコモンと会った事は無いはず。
工場?
何か、臭わない?
匂いを嗅ぐ樹莉――
お酒?
えっ? という驚きは、小学生が何で酒の臭いを知ってるのかという。
私、小料理屋の娘だから、アルコールに敏感なの。
その通りだゲコ。
いきなり東映動画のテレビまんが展開に驚く一同。
ここは酒造りの工場だゲコ。
原料は……。
私が工場長ゲコ。
アンドロモンの傷の手当てをしたいのだが。
アンドロモン!?
断るゲコ!
何故だ。
何か訳がありそうだ。
聞きたいかゲコ?
するとギルモン、聞きたいゲコ!
ギルモンがゲコって言うことないんだと思うけど。
だーって、面白いゲコ?
平和だったこの世界に……、
合唱を指揮している、現在の工場長。
突然オロチモンが落ちてきた――
パニック。
静まれゲコモンども!
オロチモンが脅す。
デジモンはもう進化しなくてもいいのだ。進化しなくても酒さえあればいいのだ。
だからお前たちは俺の為に酒を造れ――
造りやがれ!
号泣しているゲコモンたち。
オロチモンは無類の酒好きだったでゲコ。
それでお酒の工場造ったのね。
平和を愛するゲコモンはお酒を造るしかなかったゲコ……。
絞る前の生酒か。
良い出来らしい。
オロチモン様! 作りたての酒でございますゲコ!
ぬ、っと現れるオロチモン。
樽を咥えて――
一気に飲み干す。
オロチモンに酒を呑ませて平和を守ろうとする我々に――
このアンドロモンは!――
戦おうぜ! 戦わなくちゃ! オロチモンの良いなりになってるなんて、俺は嫌だな。
戦うならお前一人で戦うゲコ!
ああ、そうする、と去って行くアンドロモン。
やはりデザイン通り、ロボコップの様なアクチュエータが開閉する音がする。
アンドロモンとオロチモンが戦う度に――
この世界が壊れ――
修理するのは――
いつもゲコモン
ゲコ。
今日はこのザマ、ゲコ! こんな迷惑者に関わりたくないゲコ!
ゲコモンの気持ちは判るけど、アンドロモンだって平和を守る為に――
ダスト・パケットと酒があれば、アンドロモンの傷の手当ては何とか――
本当!?
出来る、とレオモン。
ゲコモン!
なんだゲコ……。
手当は他でするから、お酒とダスト・パケット、少し分けてくれない?
――いいだろうゲコ……。
損傷部に酒をかけるヒロカズ。
傷に酒を掛けると――
痛みに呻く。
お酒で消毒したのね?と樹莉。
ああ、とレオモン。
ダスト・パケットは?と留姫
デジモンにとって、データは化膿止めの薬となる。(知らなかった……)
レオモン、ありがとう。
オロチモンが強いと判ってて、一人で戦いに行くなんて……。とヒロカズはアンドロモンに思い入れを強める。
と――
ダスト・パケットが飛んでいき、アンドロモンのシルエットが――
より小さいデジモンの姿に。
ガードロモン、成熟期、必殺技はディストラクション・グレネード。
何故か今話でこの技を披露しなかった。我々がヒロカズのパートナーをあれこれ考える中で、デジモン図鑑を見ている内に、ガードロモンのディストラクション・グレネードを撃っている渡辺けんじさんのイラストを見ていて(超絶に可愛い)、どうしてもこれをアニメに出したいと考えての選択だった。第三部では勿論この必殺技は披露される。
戦いでエネルギーを消耗したんだ、とレナモン。
傷も治ったみたい、と喜ぶ留姫。
突如! オロチモンの尾先、きつく丸まっているそれが飛んできて――
きゃああああああ!
樹莉が囚われる!
インパクトある構図なので、よく使われるカット。
自分の住み処へ戻っていくオロチモン。
レオモーーーーーーーン!
樹莉ーッ!
皆も急ぐ。
待ってよ!
その背後でうめき声。オロチモン……。
えっ!?
レオモーン!
樹莉! と水に飛び込む。
レナモンたちも到着する。
必死に泳ぐレオモンだが――
オロチモン、炎を吐きかける。
くっ! レオモン、水中へ。
池面を炎で覆う。
じっと堪えるレオモン。
炎が去った――。浮上。
レオモン! 私は大丈夫!
小料理屋の娘だからーーーっ!
酔っ払いの扱いには慣れてるからーーーーーっ!
そういう問題ではないと思うんだが。
ここがオロチモンの住み処――。