第26話回顧 1
タカトやギルモンが登場しないという異例な回。サブタイトル・コールも留姫が担当する26話は、浦沢さんの解釈したデジタル・ワールドのサブセット。演出は川田さん。作画監督は伊藤さん。美術は徳重さんの一人美術。
小世界! 風の強い谷のジジモン・ババモン
脚本:浦沢義雄 演出:川田武範 作画監督:伊藤智子 美術:徳重賢
光の柱から逃れようとしている四人。
レナモンが何とかしてくれると思っていたら、それどころではなかった。
光の柱に飲み込まれるや――
シャッガイで牽引されたデジモンの様にデータの奔流に――
突如、巨大な縦坑へ落ちているというワンカット。
レナモン、留姫たちを何とかしようと――
あかん……。
底が見えない。
強い風が吹いている荒地。
風に抉られた岩。
落ちている四人。
最初に気がつくのはレナモン。
身体にはダメージはない。ここはデジタル・ワールド――。
留姫を気づかせる。
タカトたちは――
ああっ!
リアル・ワールド球があんなに小さく見える。それくらい深い階層に落ちた。
この世界、変わっている。
奇妙な形の岩には穴がぼこぼこと。
あれは家かしら。でも窓もないし入り口も……。
屋根を大きな布が覆ってる。
それに――
木の枝に葉がない。木の枝が同じ方向を向いている。
やな予感がする。早くみんなのところに――
どうしたらあんなに遠くまで――
あと二人は?と振り向くと――
すやすやと眠っているケンタとヒロカズ。
こんな時に気持ちよさそうに寝たりして――
少しは真剣になったらどう!?
だからこの子だち、デジタル・ワールドに来るのは反対だったのよ!
レナモン、思わず留姫、と諫めるが――
もう少し言わせて。いつまで――
寝てんのよ!! と蹴飛ばすと――
うええええええ
おはよう、と地獄の様に冷たい声を掛ける留姫。
何すんだようと二人ユニゾン。
帰れ! 新宿へとっと帰りなさい!
今話のキラー・ワード。
帰れる訳ねーだろ! 学校の先生みたいな言い方するなよ!
そーだ! その通り!
そりゃあ留姫、お前は確かに可愛いよ。
ヒロカズ、それ関係無いだろ? もうちょっとビシッと――
ケンタ、そんな事言っていいのか?
身体検査の時、新宿区の小学生の中で一番コレステロールが高かったの――
ケンタだってバラしてもいいんだ。
頼む!言わないでくれ!
視聴者の反応。
テイマーの私がこんなのと……、
こんなのとは何だ!
留姫、こんなのでも――
レナモン!
すまない。仲間は仲間なのだから。
頭では判ってるけど……。
風が強く吹き出す。
ダスト・パケットが流れてくる。
どんどん強くなる風。
早くあの岩陰に隠れよう!
木が同じ方向向いているのも当り前――
タイヤが転がる。
タンスや椅子――
タンスが岩に当たって砕ける。
あれが(岩の)キズの原因だ!
なべ、フライパン――
冷蔵庫、扇風機、となんだか所帯じみてくる。
ぼこぼこと岩に穴を穿っていく。家に窓がないのもそのせい。
布は風を防ぐ為?
うむ、それに風の強さを測るものだろう。
そんなのんきな事言ってる場合じゃないと思うけど!?
グランドピアノが飛んでくるので、慌てて逃げ出すが――
うああああああああ
レナモンは留姫を抱き――
一軒の家に――
ぶち当たる。すると――
扉が反転し――
無傷で中に入れた留姫。しかしその家には――
誰じゃ。
人の家に勝手に入るとは。
ジジモン、究極体? 必殺技はハング・オン・デス。
ババモン、究極体、必殺技はエンブレスヘイズ――
尚、ジジモンとババモンは夫婦――
ジジモンは割と多くのゲーム等に登場してきたデジモン。ババモンとセットになったのはテイマーズだけではないかと思う。
公式的に性別がないデジモンで、夫婦と堂々と謳うのも珍しい。
この回のゲスト・デジモンがなぜこうなったのか、私はさっっっぱり覚えていない。恐らく浦沢さんのチョイスではないだろうか。
さっさと戸締まりせんか、と角材で閂をかける。
なんでそもそも開いていたのか……?とは誰も気にしていない。
それでよし!
ジジモン!
ババモン!
いきなり戦い出す二体。
ホウキと熊手?の打ち合い。
何なの?
夫婦喧嘩?
気合いの入った戦い。止めなくていいの?
俺たちに止められる? 無理ーー!
このまま見てるだけ? その内息が切れるとレナモンは冷静。
が、戦いは地下へと――
まるでダンジョンへの階段の様な――
息が切れている二体に、留姫が
あのー
なんじゃ
どうして戦うの? 夫婦ゲンカ?
退屈しのぎじゃ。
風が吹くとやることがなくてのう。
退屈をしのぐには夫婦ゲンカが一番じゃ。
しかしババモン。
なんじゃジジモン。
もう夫婦ゲンカも必要ない。招きもしないのにこうやってお客が来てくれたわい。
確かに良い退屈しのぎになるのう。
俺たちと戦うつもりだぁ。
すっとレナモンが前へ。しかし――
ババモン! ご馳走の用意じゃ!
おー!
ほほほほほ
ご馳走の用意だって!?
本格的に調理を始める。
人間はこういうものを料理と言うんじゃろう?
当然だがデジタル・ワールドで、デジモンは食性は本来ない。
よいスパイスの加減じゃ。 味付けもバッチリ――
悪いデジモンではなさそうだ、とレナモン。
信用しても大丈夫なの?
今回のエピソードは、「これって――」と視聴者に童話的な罠の話を想起させていくという心理的なホラーでもある。
お待たせ。改めてご挨拶じゃ。
本日はジジモンとババモンの家に、ようこそ。
四人もきちんとお辞儀。
わー美味しそう!
食材は一体どこからとか疑問を持ってはいけない。
いただきま で食べ出す。
私もいただきまーす。
いただこう。
ジジババはワイン?で乾杯。
そうそう、お風呂も用意したから入ってくだされ。
(食べながら)はい!
吹きすさぶ風の光景に――
哀愁のイントロが流れ出す。
転がるダスト・パケット。
それが燃料になっている。こんな用途に使われるとは予想だにしていなかった。
湯加減はどうじゃ?
結構なお湯で――とヒロカズが。
二人が湯船で歌い出すのに聴き入るジジモン。
ここは歌詞のテロップも入れて欲しかったところ。
塩田ヒロカズ+北川ケンタ「男飛沫」(作詞:山田ひろし 作・編曲:太田美知彦)
「デジモンテイマーズ ソングカーニバル」(AmazonでMP3利用可)に収録。
玉木さん、青山さんは、男子的な低いキーなのに歌いきる。
残念ながら留姫は入らず。
ベッドも用意したから、風が止むまで休んでってくだされ。
安堵して紅茶?をいただく留姫。
まだ歌っている二人。
段々興に乗っていく。
しかし引くと、そこは地底の水溜まりが風呂になっている。
マイク慣れしているところを見ると、二人とも親とカラオケに行くのだろう。
拍手するジジモン。
夜が更ける。ここでCMだが、もう少しだけ進める。
留姫……。
何……?
風が止んだら、クルモンを探しに行こう。
この村にいるかもしれない。
判った……。
くるる。
ぴょこ。
近くにいると思しきクルモン。
この谷の下に――今――
ん~~~~~ん?
くりゅっ!?
光の柱に飛ばされる。