第16話回顧 1
「浦沢さーん、今度のキャンプ教室なんだけど、留姫は私立なんで一緒に行かないんですよー。でもどこかで出して欲しいんですけどー」
「はい、はい」
という会話が関Pと浦沢さんとであったかは知らない。
街の灯を守れ! デジモンたちの危険なキャンプ
脚本:浦沢義雄 演出:梅澤敦稔 作画監督:清山滋崇 美術:渡辺佳人
これは神楽坂下の外堀だろうか。Canal Cafeがある近く。
こんな朝早くから何? とレナモンが現れる。
最近戦いが多くて、疲れてるみたいだから、と顔を上げず言い――
正確なコントロールで小瓶を投げ上げる。
栄養ドリンク……?
じゃ。
留姫……。
ありがとう。
ぐび。
――よっしゃ!と小声で気合い。尻尾が上がる。
というシュールな場面があって――、
淀川小学校の前にバス。
1組が乗車中。そういうのが流行ってるのか?という森先生。
どこで売ってるの? というのは千葉さんのアドリブかも。
これは勿論、テリアモンを同行させる為のクラスあげての策謀であった。
しかしギルモンは大きいからどうするのかなぁと案じていたジェンリャだが、タカトが来たのを見て安堵。
奈美先生、おはようございまーす。と言って――
不自然に周り込み、カメラの操作方法を教わる。
どれどれと見ている間に合図。
マーチング・ドラムと共に横一列で行進してくるヒロカズら。
ギルモンの姿をブロックしている。
これもクラスの協力あればこそ。
挙動不審で見ているタカト。
難儀している。カメラには細工がしてあったのかもしれない。
その隙にギルモンは乗車。
はぁ、と安堵するタカト。
何安心してんの、という浅沼先生の問いに、口を縦に白々しく答えるタカト。
この表情と声の演技のマッチが凄い。
モーマンタイ。
乗り込むジェンリャ。
あ、クルモンも一緒に行くみたいだよ。
え? どこ? あ……、
くるるー
タカトぉ、重いよう。
もうちょっと我慢して。奈美先生、すぐ寝ちゃうから。
どうしてギルモンを連れてきたのかと問う樹莉。
フラッシュバック。キャンプ旅行にテリアモンも連れて行ってあげようと思うというジェンリャ。
ギルモンも連れて行ってあげない? と言われ戸惑うタカト。どうやって……。
最近、戦いばっかりだし――
自然の中で思いっきり遊ばせてあげたいんだという。
だから無理をしてでも連れてきたかったんだ。
何でも協力するわ! と樹莉。
嬉しいタカト。
それではキャンプ教室に――出発!
都内の公立小学校に通っていた私は、泊まりがけのキャンプというのは行事になかった。中高のも無くなってきているとも聞いた。
これは渋谷の南口、桜ヶ丘の辺り。首都高で東名に入るのか。
そしてバスは山林へ。
今話は背景が緑濃く美しい。そしてバスの中では――
ケンタが無カラオケで演歌を歌う。
キャメラがバス外にいくと、中の音は聞こえない。耳を塞ぐ子――
泣いている子――、気分を悪くしている子――
盛り上がるギルモンとヒロカズら。
熱唱。
静寂。
熱唱。
浅沼先生は確かに眠っているという。
この歌は本線の録音後に別録りしたのかなぁ。
ケンタが演歌好き、というキャラクター性がこのギャグで誕生し、後にキャラクターソング「男飛沫」(塩田博和&北川健太)なる曲をリリースするに至る。
ギルモンも大喜び。
お昼は弁当を食べている。
ジェンリャはテリアモンとクルモンと一緒だが、異様におにぎりにぱくついているテリアモン。
喉に詰まらせる。
ほらお茶。
今夜はここで各自テントを設営して泊まる事になる。
テントは俺たちやっとくから、ギルモンたちを遊ばせてこいよ、と男気溢れるヒロカズ。
ありがとう!
デジモン連れ組は渓谷の橋へ。
大喜びのギルモンたち。
よかったね、と見合う二人。
このテントに三人と一体、狭い。
まあいいか、と声を揃える。ここ、浦沢脚本ポイント。
嫌な声を上げて飛ぶ鳥の一群――
なんだ?
鳥の群れの中にデジタル・フィールド。
D-Arkが弱く反応。
デジモンか――
ギルモンを呼び戻そうとするタカトを、ジェンリャは制する。
あんなに楽しんでいるんだから、もう少し様子をみようと。
いつの間にギルモン、片手での逆立ちが出来ている。しかも断崖絶壁な橋の上。
タカトも同意する。
曲芸逆立ちをしている向こうの山――
木々の中でデジタル・フィールドが――
その中に、目が。
ヒュプノスでもワイルド・ワンとして検出されているが、反応が小さいので室長への報告は様子を見る事に。
キャンプファイヤーでの食事、それと――
怪談。
カレー。うんこれは私も飯盒炊飯で食べたなぁ。
はい、はい。
とっておきの怪談を話している森教諭だが――
ん?
向こうの誰もいない筈のテントが――
タカトおかわりー
ぎゃああああああああ!
ぎゃあああああああ!
はい、はい。
薪が消され就寝の時間。
テントを見回る教師たち。森先生は浅沼先生の後ろから恐る恐る。
ホントに見たんです、テントの中にもののけがぬーっと、と訴える森教諭。
はい、はい。
いつまで起きてるんですか。
ごめんなさーい。
森教諭、もうダメ、と腰が抜ける。
タカト君は?
もう寝ちゃいました。
「アルカトラズからの脱出」(1979)
早く寝なさいと言って浅沼先生は森先生の首を引きずって帰っていく。
夜の森を楽しそうに走るデジモン。
切り立った崖から都会の灯りが見えるのだと連れてきた。
こんなに素直に喜んでいるギルモンたちを、見られるとは……。
連れていて良かったと思っていると……、
怪しい叫びが森の奥から――
二人は、楽しんでいるデジモンは置いて、様子を見に行く事にする。
木々の中へ――
いた!
が、ちいさな鳥のデジモン。
ここでA-Partが終わるのだが、一連続くのでこのまま暫く。
静かにしている。
実は奪取出来る電力を観察しているのだが――
ギルモンたちに早く帰ろうと促す。今夜対決は避けたい。
きええええええっ!
都会の電力を吸い始める鶏デジモン。
次々と停電に。
都庁の電力も落ちるが、ヒュプノスは予備電源に切り替える。
電力を吸って身体を増大させていく鶏デジモン。
これは捨て置けないと、室長を呼ぶ恵。
走る山木。電力が失われて町が混乱している事は把握している。
にしても謎の力の入った全動画がカッコいい。
デジモンはこの世界で、何をしようというのか――?
山木が管制室に来ると――、成長が止まる。
歩くギルモン。上の二体は眠っている。
何も起きなくて良かったね、とキャンプに戻るのだが――
同ポジで夜明けの景色に――。
実に美しい。