第11話回顧 1
テイマーとデジモンたちが、次のステージに進もうとしている。しかしそれは決して安寧な道ではない。三者三様のパートナーシップ。
留姫の家――。
テイマーを辞める=レナモンとの縁を切る思いで――
D-Arkとカード、カードホルダーを棄てる留姫。
新宿大ガード 1分30秒の対決!
脚本:前川 淳 演出:川田武範 作画監督:伊藤智子 美術:松本健治
一番今気楽なのはタカトだ。
学校近くの恐竜公園では――
タカトがコンボでヒロカズに勝つ。
ケンタが驚く程に、ちょっと普通ではない取り合わせ。
タカトはアイスデビモン戦を思いだし、同じカードを使った。実戦で鍛えたのだと漏らしてしまう。
実戦が何だって?と聞きとがめるヒロカズだが、ここではタカトはお茶を濁す。
給食の残りのパンが一つだけなのがちょっと不満なギルモン。
ぼくたち最強のパートナーだよね、と勢いづくタカトだが、ギルモンは今はパンを味わう事しか頭にないらしい。
川田さんの演出回なので、ジェンリャの頭にテリアモンが乗る。少しは恥ずかしい自覚があるらしい。
しかし肩に乗せようが抱こうが、テリアモンサイズのものを持ち歩けば人目を引く。
だから家で留守番してればというジェンリャに、テリアモンが例の如く、あーんなことやこーんなことが――。いつも抽象的にしか言わないのでジェンリャには判っていないのだろう。なぜぼかした言い方をするのか――?
とか話していたら、向こうでデジタル・フィールドが!
デジモン!
ヒュプノスでは、リアライズしようとしているワイルドワンを徹底阻止しようという構え。ギガビット・トレーサーが追従出来ないとなれば――、ユゴスを撃て!
西の青梅街道の陸橋から見ている――
テリアモンが立ち向かおうと走り出すとジェンリャが止める。
帰るというジェンリャにテリアモンは反対する。あんなところでデジモンがリアライズしたら大変じゃないかと。
ジェン! ぼくに戦わせてよ!
ユゴス発射。ビットの欠片も残さず破壊しろ!
これは7話の素材からかな。ユゴスはワイルドワンを撃破出来たらしい。
フィールドが消えた――。
山木は満足げだが――
ヒュプノスに響く何者かの声――。復讐してやる、人間ども――。
今回のサブタイトルにある「大ガード」とはここの事。西口と東口を繋ぐ。ここより西が青梅街道だが、大ガードの先から靖国通りとなる。
2021年はこういう感じ。
海外のスタッフが日本ロケをすると、近年はほぼ必ずこの辺りの夜景というのが定番になっている。これはコーディネーターの趣味なのか、それとも海外の人にとって東京らしく見えるところなのだろうか。昔は銀座辺りがそうだったのだけれど。
ジェンリャはテリアモンに戦って欲しくないという。
以前ジェンリャは、テリアモンが現実の世界にいる事自体が不自然な事だと話している。勿論それはジェンリャ個人にとっては嬉しいハプニングだが、これが今後普通に起こり続ける事を想像すると、ジェンリャには得体の知れない事態がその先にあるのではないかと不安を抱かせる。
テリアモンはジェンリャから降りて背中を向ける。ぼくが邪魔?
レナモンみたいにいなくなった方がいい? というテリアモンに、ジェンリャはそんな事は言っていないとなだめる。
風呂の中で案じるジェンリャ。
ジェンの言う事も判る。しかし自分はデジモンなのだ――。
この一連のシークェンスは、留姫とレナモンもそうなのだけれど、メロドラマだと言える。ジェンダーとか種だとかを越えての、絆をめぐるメロドラマ。
しかしテリアモンのメランコリックな気分を瞬間的に消滅させる存在が――
テーリアモンちゃーーん、とシウチョンが来た。
風呂上がりに牛乳を飲んでいたジェンリャ――、
レナモンが来ている。
満月に舞うレナモン――。
テリアモンの口ってこんなに柔らかいのか……。
ジェンリャが行ってしまったので、シウチョン大盛り上がり。
怒りマークを浮かべるが――
がまんがまん……。
あんなことや、こんなことや……。
奔るレナモン。
自転車じゃないと追いつけないジェンリャ――。
眠れぬ夜を過ごしている留姫――。 デジモンなんて嫌い、と口に出してしまった事を想起――。
そこへ不審デジモン、いつの間に入り込みごみ箱をあさる。
勝手に入って来ないでよ、と言われ一瞬シュンとなるも――、クルモン・ジャンプ!
え? そんな技は持ってないぞ。
一応、ネガティヴなもの言いはするものの、そう強くない。
元気でーた?
……。
かつての様に、敵を倒してロードし強くなるというデジモンとテイマーの関係が、もうレナモンには判らなくなっている。
戦う、だけではなく、僕たちがパートナーになったのは他に理由があるかもしれないというジェンリャ。実に聡明だ。
ジェンリャとレナモンという珍しい取り合わせの場面。前川さんの発想に唸らされたのは覚えている。
ジェンリャの言葉をすぐに飲み込めないのかもしれない。
テリアモンの耳を枕に眠ってしまったシウチョン。起こさない様に、そっと引き抜くのに苦労。
しょうがないなぁ、と薄布団をかけて上げるテリアモン。
あんなことや、こんなこと――、されるのだけれど、シウチョンの事を悪くジェンリャには言いたくなかったのだろう。
この眠る小春に布団を掛けてあげる、という図も、中鶴勝祥さんの初期イメージ・スケッチに描かれていたものだった。
ずっと静かな音楽が流れ続けている。
留姫、クルモンが置いたD-Arkに目を向ける。