Digimon Tamers 2021 Blog

デジモンテイマーズ放映20周年記念ブログ

第5話回顧 2

 

 

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タカトたちがクルモンの引き取り手を探して奔走する間、ギルモンはクルモンとホームで留守番をしているのだが――、クルモンはしきりに遊びに行こうと誘う。ギルモンもなぜ遊びに出てはいけないのか判らなくなり――、じゃ行こうか、となる。

この場面、非常に美しく描かれている。

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入れ違いに戻ってくるタカトたち。ギルモンらに差し入れるパンを持っている。

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だが既にその学校には……

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厳重化されている錠前。

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とてもこれでは壊せないと嘆くクルモンに――

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凄まじい勢いで地面を掘るギルモン。トンネル掘れば中に入れるよ。という事で――

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大喜びのクルモン。ラインマーカーを押しているのはギルモン。

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またグニャグニャで出鱈目の線になるのかと思いきや――

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何故か魔法円の如き図形に描かれている。するとその中心からデジタル・フィールドが噴出。

余談になるが、こうした魔術に用いるMagic Circleを、ある頃まで私は「魔方陣」だと思っていた。これは明らかに実写版「悪魔くん」(1966)のエンディング・ソング(オープニングは中近東風メロディの詠唱:水島早苗)の、「悪魔くん」という山下毅雄メロディの歌で、「回れ地獄の魔方陣」というフレーズがあるからだ。全く誰が作詞したのかと調べたら――、水木しげる+ハ手三郎……。

 

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ギルモンがいなくなっていて憤るタカト達だが、ふと見ると淀小の方からデジタル・フィールドが立ち上っているのを見て、急ぐ。

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現れたのは――、怖そうな見た目ではあるがサイズの小さいイビルモン。「グレムリン」の《モホーク》を思わせる。サイズ感的にも。

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ギルモンは小さいデジモンとは戦わない、とイビルモンのプライドを自覚せずにズタズタに。

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ナイトメア・ショックという技は結構威力があって、ラインマーカーがデータ化破砕。

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必死に逃げるクルモン。

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ギルモンがファイヤー・ボールを放つ。ここで初めて、技コール宣告。絵柄は火球を放っているのに、技コールが台詞になるのはおかしいのではないか、と私は当初思っていたのだが、これはデジモンのみならず東映アニメーションの、いや、ロボットアニメ全般に於いても約束事の様なので、受け容れた。今は寧ろ、これがなくては、という気持ちになるのだから面白い。

ここでやっとタカトたちも学校に到着。

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テリアモン・アイを通してアナライズするジェンリャ。イビルモンを小悪魔型成長期、と呼ぶのだが、イビルモンは成熟期。ここは読み取りエラーだったと収められたい。

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タカトはギルモンを支援すべく、「白い羽根」のカードをスラッシュ。ただしまだ、タカトはスラッシュ・ポーズを決められる程には成長していなく、スラッシュ・バンクはまだない。

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白い複欲がギルモンに飛翔能力を与える。

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舞い上がってからのファイヤー・ボールがイビルモンを直撃。

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基本的にこの回は、カートゥーン的な表現が多い。

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しかしイビルモン、すぐに立ち直って反撃してくる。ここでジェンリャ、テリアモンに叫ぶ。が超高速プラグインD。もうここで山口さんの「カード・スラッシュ」のイントネーションが完成形になっていた。

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猛烈な速さでテリアモンが駆けていき――、イビルモンを痛打するもまだこちらへ攻撃しようとする。

テリアモンはギルモン、テリアモン、子どもたちの前に堂々と立ちはだかる。

まとめてロードしてやるとイビルモンが攻撃しようとすると――

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イビルモン!あんたの相手は――

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こっちよとレナモンを指している留姫。

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留姫、カード・スラッシュ! エイリアス!(つまり分身の術)

PCだとショートカット、昔のMacOSだとエイリアスと呼ばれていたが、今はどうなのか知らない。

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レナモンに攻撃を掛けて成功したと喜んでいるイビルモンに――

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あんたがやったと見せかけたのは分身! 本物は――

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はい勝利。

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テイマーズの《敵》の最期の表現は、データに分解されて四散するという、生々しさが全く無くて、良い表現だと自分では思っている。

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データをロードするレナモン。

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御礼なら要らない。データが欲しかっただけだからとうそぶく留姫。

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デジモンは生きているのにデータが欲しいだけなんて、と抗議するタカト。

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その言葉に、顔をを少し曇らせる留姫――。タカトの主張が最早理解出来ない訳ではない。しかし――、デジモンデジモンでしかないと言い捨て立ち去ろうとすると――

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ふと足元を見ると……、

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あーそぼ

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クルモンに手を出すな、というタカトだが、ロードしたとて大したデータが得られそうに見えないクルモンに、そもそも手を出す気もない留姫。クルモンの隠されたポテンシャルを知らないのだ。

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繊細な芝居だが、クルモンを踏まない様にそっと立ち去る留姫。

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あー面白かった!

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ここまでの出来事、全てがクルモンの《遊び》であったというのか。

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ちょっと心配だが、あのままでいいんじゃない? というテリアモンの楽観論に今は頷くしかない。

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そして翌朝、ボコボコになっている校庭。校長は「あの時の恐竜だ」と主張。

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級友らは尚も学校の怪談解釈に固執。《テケテケ》《人面犬》などなど……。

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 暫くは黙っていようという二人。

 

ライトなエピソードなのだが、バトル後の留姫とタカトたちのダイアローグは、見直すと重要な事柄に言及している。デジモンは生き物なのか。生命の価値とは――。
間違いなく、アニメのデジモンは生き物として描かれる。ヴァーチャルな存在があたかも生きた存在の様に感じられる場面というのは、現代の方がより多くなっている筈だ。
では何なのだと、ここで安易に答えは出ない。これはシリーズ全体を通して様々なケースから考えを進めていく事になる。例えば、《グラニ》など……。

 

 

ところで本作でやたら言及される《テケテケ》は、多くの人が耳にしているだろう現代怪談の妖怪名。90年代からいわゆるジャンルとしての《学校の怪談》が世間に認知されていくのだが、前段ではプルンヴァンらの収集した「アーバン・レジェント」都市伝説というものがまず“怖い話”の一形態として成立していた背景がある。

元教諭だった常光徹氏、地方の都市伝承を収集していた松谷みよ子氏らの著作物が、90年代初頭から出版され始めるのだが、研究書以外に、児童読み物としての《学校の怪談》がポプラ社などから出版され始める。

多くの人は1995年の映画「学校の怪談」、或いは2000年のアニメ「学校の怪談」(津村まことさんや折笠富美子さんも出演)を思うだろうが、初の映像化作品は、1994年に関西ローカルで放送された「学校の怪談」である。

もう今は無き名門の宝塚映像という撮影所が関西テレビで長年、夕方に少年少女向けのドラマを製作していた。黒沢清監督や弟の和哉も時々参加していた。
その枠がついに終わるとなった時、関西テレビのプロデューサーだった西畠泰三さんが、最後には自分の趣味なジャンルをやりたい、と企画したのが「学校の怪談」だった。1クールしかないが、池乃めだか師匠が学校の先生姿のストーリーテラーとなって、毎回異なるオムニバスのエピソードを作った。私は三本のシナリオを書き、内二本が和哉とのコンビ作。黒沢清監督が「小中理論をパクらせて貰う」と宣言したのも、このシリーズの時だった。

私が書いた一本は「闇よりささやくもの」というタイトルだけれど神話とは関係無く、ちょっと百合要素がある幽霊譚で、実話怪談ではない。もう一本は“ありす”を含む三人の中学生が突然“アリスの穴の中”に落ちて、延々とテクテク歩くという「絶叫ハイスクール」(完全に非ホラー)。そしてもう一本が「妖怪テケテケ」であった。

古びて小さい撮影所だったが、本格的なスタジオ撮影が可能だった。予算がないとは知っていたので、自分のギャラを注ぎ込んで私がクリーチュアを造形して、堂々としたモンスターホラーを作ろうとした。苦手の人もいるだろうから画像はここには貼らない。

これについては旧サイトに詳しく記したので興味ある方はこちらへ。いかんせんインターネット初期のホームページ。画像サイズの小さいこと……。

関西ローカルなので見た人が少ない作品なのだが(後に何本かはレンタルでリリース)、これを見ていたというのが今話の脚本、まさきひろ氏なのだった。

なので強調しておくが、ホラー風味にして欲しいなどと私は言っていない。私は潔白だ。まさきさんがホラー好きなので、こういうエピソードが作られたのだ。

 

尚、「妖怪テケテケ」の主人公・監督の高校生役を演じた辻本貴則氏は現在映像監督として活動されている(同姓同名の映画監督もおられるのだが)。
担任教師が“浅沼ちゃん”だった事を、私は完全に忘れていた。

宝塚映像が解散した後も関西テレビはしばらく、夏にスペシャル版を放送した。製作は周防監督作品で知られるアルタミラ・ピクチャーズで、私が構成をスーパヴァイズしている。清水崇監督が商業作品として初監督したのがこの枠。

 

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#05 Credits

クルモン:金田朋子
正:宮下冨三子
泰三:魚谷香織
裕治:中山りえ子
ゲーム相手の少年:村岡雪枝
浅沼奈美:松谷彼哉
岩本先生:木村雅史
校長先生:菅原淳一

 

原画:朝倉温子 野津美智子 大谷房代 大河内忍 池田志乃

動画:仲野美代子 具志堅晃

背景:鈴木慶太 今村立夫 佐々木友子 

デジタル彩色:露木奈美 木村紘子 鳥本佐智子 藤橋清美

デジタル合成:三晃プロダクション 吉野和宏 則友邦仁 石川晴彦 福井道子

演助進行:徳本善信