第5話回顧 1
企画初期は《クルルモン》という名前だったが、版権取得関連でかクルモンへと変更となった。クルモンが時々(しょっちゅう)「くるる~」と言う由縁。
ちなみにレナモンは元は《ルナモン》だった。
くるっくるーん!クルモンと遊ぼ!
脚本:まさきひろ 演出:芝田浩樹 作画監督:伊藤智子 美術:渡辺佳人
テイマーズでは1クールに1回あるかないかという貴重な日常回。まさきさんが二話続けて担当。殆どオーダーはなくて、とにかくクルモンをフィーチュアさせるエピソードという事だったのだけれど、何故か2話に続けての学校の怪談話に。
演出はテイマーズ初登板の芝田さん。作画監督、伊藤智子さん。原画が(たぶん)全員女性。
タイトル・コールもクルモン。
ある朝の淀橋小学校――
校庭にぐにゃぐにゃのライン。
浅沼先生は抜き打ちテストを宣告。
不満そうな生徒たち――。
その後の給食時――
今はまた給食の感じも変わっているのかな。私の頃も先割れスプーンだった。
生徒達が噂をしている、淀小の怪異。こないだ校長先生が見た怪獣って、《テケテケ》じゃなかったのかな――という辺りは平静に聞いていたタカトだが、給食のパンを全部食った、という怪異が指摘されるや――
タカトは牛乳を喉に詰まらせ――
鼻から……
放課後、掃除当番のタカトと樹莉。学校の怪談なんて冗談だよね、と、リアリストに見える樹莉に話しかけるタカトだが――
私、見たの。
お腹が痛くなって、保健室で寝ていたら――
他に誰もいないのに、棚の方から音が――
誰か、いるの?
そっと伺う。棚の中が揺れている。
ゆっくりと、近づき――
怪しい小さな影が――
突如棚から飛び出して逃げていく。もう安全かとふと見上げたら――
天井に小さな足跡がいっぱい――
天井の足跡はやらなかったけれど、私も実写の「学校の怪談」で、同様の怪異を書いた事がある。原案+お化け役が中田秀夫監督だった……。
ぅぅ……。
もの凄く丁寧なサッカー場面。
タカトはジェンリャに幽霊とか信じるかと訊ねる。即答しないジェンリャ。これは判る気がする。
目立つ少年の声はヒロカズの玉木さんが演じている。
枝の陰から覗いている――
今話は登場人物がみな夢想する。
激烈なドリブルで疾走――
シュート!
とか夢想していたのに、日が暮れたら誰もいなくなってしょんぼりするクルモン。
テク テク テク とか自分で言いながら歩くクルモン。
これは台本になかったんじゃないかなぁ……。でも動きにピッタリ合っている。
やっぱりこいつかという。しかし今日は前夜の過ちを繰り返さない為に、体育教師が城前をつけていた。ここで諦めないのがクルモン。石で鍵を破壊。
もう表記できないオノマトペを発しながら――
グニャグニャのラインをライン引きで描く。どうやらクルモンは、ラインがあれば、サッカーチームが来るという解釈をしている。
翌日曜日。タカトはウサギ小屋の餌やり当番で登校。他に誰もいないと思い、ギルモンを連れてきている。
しかし……、
校長と体育教師が憮然と見ていた。
まだタカトは、何が起こっているのか判らない。
ウサギと仲良しのギルモン。
しかしギルモン、僅かなデジモンの気配を察知。
タカトも警戒してホウキを振り上げつつ近づくと――
グランドローラーの側でクルモンが眠っていた。
可愛いなぁと手を出すタカト。
ニコニコ笑ってはいるが、手から逃れる。
う~~~ん と身を震わせて――
くるー!
とこれでタカトは何か納得しているが、私には判らないぞ。
遊んでるの? 鬼ごっこ?とタカトが訊くと――
ノンノンノンノン!
……。
ギルモン・ホームに連れて来ている。
見た感じ、幼年期と成長期の中間的な、未成熟さ。ジェンリャは誰か世話を出来る人はいないかと考える。
誰かいないかとタカトに訊く。
ぼく思い当たる人がいる!
デジモン・カードバトルをしているヒロカズ、2回続けて攻撃プラグインNを切る。
ケンタが、それアリ?と訝っている。ケンタは私の弟の小学生時代にそっくり。
ジェンリャはヒロカズの戦略の拙さを指摘。あれではノーガード戦法だと。
ここでタカト、夢想。
スカイカム(高予算のMVでよく使用された。現在スポーツ中継で使われているのはドイツのスパイダーカム)の様に、ボクシング・リングを天井から周回しながら接近していく視点――、ってこれを手描きアニメーションで描く恐ろしい演出。
ノーガード戦法 → 「あしたのジョー」
そこで――丹下段平なヒロカズが、いけえクルモン、攻撃プラグインNのカードを――
出崎ターーーッチ!
するとクルモンが――だらーん。
これ、矢吹丈が使った、相手が撃ちに来た瞬間にカウンター(反対の自分側から)攻撃をするという作戦なのだが――
ふぎゃー、っとなぜか猫パンチを繰り出すギルモン。
グラブとグラブが交錯し――、とここまでは原典に忠実だが――
リーチが違い過ぎた。
……。
ちなみに、現在「ノーガード戦法」で検索すると、まず出てくるのは将棋の戦法。サイバー・ノーガード戦法などというものもある様だ。
ところで当時の視聴者の子どもたちは「あしたのジョー」を知っていたのだろうか……? 金田朋子さんは絶対知らなかったと思う。
中村隆太郎監督から生前、出崎統(おさむ)監督+杉野昭夫作品の話はあまり聞いた覚えがないのだけれど、マッドハウスのアニメーターとして参加されていた。両監督とも今は亡くなってしまった。隆太郎さんの演出は極めて独自性が高かったけれど、希に、出崎さんの影響を感じる時があった(静止画像のハーモニー長セルで短く3回連続でパンするとか)。
さて本篇に戻る。
何故かテリアモンがシウチョンはどうか? と提案してくる。
テリアモンは、自分を玩具にされるのを忌避出来るかもという魂胆だったかもしれない。
人形遊びをしているシウチョン。
良さそうだけど、とタカトは見るが――
小さい子だから限度を知らない。
あれこれ着せまくってしまうだろう……。
シウチョンは英語版だとSusieと命名され、結構愛されているのだけど、多分それはやっぱり吉田玲子さん脚本回のお陰だろう。ジェンリャはHenryだった。要はBruce Lee的な英語名が、北米の視聴者には親しみやすかったのだろう。
さてどうしたものか。
同年代の女の子がいい。クラスにそういう女子はいないかと問われてタカトが思い描くのは――
加藤さんなのだけれど――、
こないだ恐ろしい目に遭っていたしなぁ……。
ぼくとても言えないや、と、ここのタカトのリアルさ。