第4話回顧 2
テリアモンとの出会いが、デジモン・ゲームであった事が明かされる。どうもPCソフトらしいのだが、グラフィックはワンダースワンに準拠していると思われる。この頃のPCゲームはアリス・イン・ナイトメアとかの時代でそれなりにグラフィックは進化していた。ここでは視聴者に親しみのあるヴィジュアルにしたのだと思うが、そうするとジェンはPCでワンダースワンのエミュレータを走らせていたのだろうか。いやしかしパッケージは洋ゲーだしなぁ……。
父がアメリカ出張から帰ってきた。土産物を貰って喜んでいる嘉玲(ジャアリン)とシウチョン。映っていないがもう一人、兄の連杰(リンチェイ)がいて李家は四人兄妹となる。なお、名前は(多分)当時活躍していた香港映画人(スタッフ・俳優)から採っているのだが、李小春は男性であった……。いや、全く覚えがなかったのだけど……、スイマセン。
父、鎮宇(ジャンユー 尚、いずれも読み方は北京語ではなく香港準拠の広東語)からジェンリャが貰ったのが、北米先行発売のデジモン・ゲーム。ジャンユーが単なる主人公の家族キャラクターではない事は、まだ当面判らない。
早速インストール――、したのか、ともあれソフトをロードして起動。
登場デジモンは自分では選べないらしい。最初に選ばれたのはゴリモンで、その相手がテリアモンだった。
プレイを始める。
操作はマウス。
この時のゴリモンは挙動がおかしく、何故か物理レイヤー(テイマーズの世界観については後にくわしく)に逃げ出したりする。ああ、このゲームはやっぱりネットワーク接続が前提だからPCゲームなのだ。
さて、ここから現時制の対決と、回想のゲーム内バトルとで行き来する見せ方となる。
現時制では振り回されているテリアモン。このゴリモンの個体が強いのにはそれだけの履歴があった。
ゲーム内でベジーモンとヌメモン―― (なかなかテイマーズでは登場させ難いものの、デジモンと言えば、というアイコニックなキャラクター)
モノクロモンを倒し――
データ化した彼らをロードしていた。
一方現実では――
滅多打ちにされるテリアモン。
ゲーム内でも苦戦しており、ジェンリャは立て続けにカードをスラッシュして支援する。この当時だと25pinのパラレル接続かな。
ジェンリャのカード支援で、瞬間的にはパワーを増すテリアモンだが――
いいぞテリアモン!ゴリモンをやっつけるんだと、普段には見せない様な顔になるジェンリャ。アルバンデールの矢というカードをスラッシュ。
とにかくテリアモンを強化すべく何枚もスラッシュしていく。ここら辺の描写で、カードの使用制限といったルールの有無が気にならないではないのだが……、
これでテリアモンが進化する。オーヴァー・ドーズな強化をしているのだから当然の成り行きだ。
ニコニコ動画の配信だと、テリアモンがガルゴモンに進化する場面では必ず「かえして」「もどして」「やめて」というコメントが流れるのがルーティン化していた。ゲーム内のガルゴモンは前話同様、笑いながらガトリングアームの乱射をする凶悪さを見せる。
ゴリモンが退散して喜ぶジェンリャだが――、ガルゴモンは銃撃を止めない。
あのテリアモンが、進化するとこうなるなんてと呆然となるジェンリャ。
リアル・ワールドでの戦いは続いている。
投げ飛ばされたテリアモンをギルモンが好フォロー。
ギルモンを助けようと、角材を握り降りてきたタカトだが、ゴリモンのエネルギーカノンに攻撃される。
タカトは必死に手持ちのカードでギルモンを助けようとするが、ちぐはぐなタイミングであまり適切ではないカードを切ってしまう。
やっぱりテリアモンを進化させるしかないとジェンリャを説得するタカト。しかしジェンリャは頑なにそれを拒む。
憂えるジェンリャ。父にデジモンの生態系について質問をしていた。ジャンユー(金子由之さん・演)は、デジモンはそういうものだとここでは割り切っている。彼にとってはデジモンはずっと昔に取り組んだものなのだから。
しかしジェンリャは割り切れない。ゲーム内のテリアモンを、ただの戦いの道具に使う事に抵抗を抱いている。
ところで今話の川田さんの演出は、パン・ショットが多用されている。大判セル(とはもうこの時代でも言わなくなっただろうが)ではなく、拡大ズームでモーションをつけてある。なのでカットを切り取ると主線が太いカットがままある。
描写は無いが、ガルゴモン状態でバトル・ジャンキー化したテリアモンは、パワーが尽きてボロボロになっていた。
ぐらっと倒れてしまうテリアモン。自分が過剰なブーストをしたからだと悔いるジェンリャ。
これだけ“生きた存在”としてゲーム内の存在に思い入れられたのなら、奇跡の一つが起こっても良いだろう。
カードの一枚がブルーカードとなる。
ジェンリャは、それをスラッシュすれば、テリアモンを助けられるかもしれないと思う。すると、カード・リーダーがD-Arkへと変貌した。そしてジェンリャがそれを持つと、D-Arkが光を放つ。
言い忘れていたけれどD-Arkは商品名で、劇中ではアドベンチャーと同様に「デジバイス」と呼んでいた。本ブログではD-Arkと記していく。
それと共に、CRTモニタ(ブラウン菅、と書いても若い人には判らないかもしれない)内からテリアモンが実体化して出てくる。
労る様にテリアモンをベッドまで連れて行くジェンリャ。モニタからは未だデジタル・フィールドが流れ出ている。
ジェンリャの涙がテリアモンの頭に落ちて、テリアモンが顔を上げる。ねぇジェン、どうして泣いているの――。
なぜテリアモンはいきなりジェンリャを“ジェン”と呼んだのかは映像では判らない。情感的には、心が繋がっているから――なのかもしれないが、私はゲームを始める時に、ジェンリャがユーザ登録した時のネーム呼称だったのではないかと思っている。
ベッド上に鎮座させるが、肩を落として泣くジェンリャを、テリアモンは慰めたい。
すぐさまジェンリャの頭に乗って、泣かないでよと言う。
リー君たらぁ、とタカトはリー君呼び。
進化させる以外に何か手段がある筈だ、と必死に思考するジェンリャ。
タカトの持っていた“外れ”カード「トレーニングギプス」を見てそれだ!
ジェンリャのスラッシュバンク初披露。
流れ出す「SLASH!!」ヴォーカル入りヴァージョン。バトルいっぱいまで流れる。
三人の中でも最もアクションが派手。これはライター陣で後々ジェンリャというパーソネルを掘っていく上での手掛かりにもなるのだけれど、貝澤さんの演出意図としてはどうだったのだろう。
「カード・スラッシュ」というかけ声は、タカト、留姫とそれぞれ少しイントネーションが異なるのだが、初期は割とノーマル。徐々に山口さんの独自性が出てくる。
トレーニング用途のギプス、っていうのは判らないかもしれない。「巨人の星」の主人公が、父親から無理矢理装着される《大リーグボール養成ギプス》というのがありまして……。ともあれタカトは怪訝。なんで耳にあんなもの――
しかしテリアモンはすぐさまそれをゴリモンに投げつける。
ゴリモンの身体が拘束される。
すぐさまギルモンの脳天チョップ!
テリアモンがプチツィスターで追い打ちを掛ける。
これで決まったかと思ったが――
がーん
ゴリモン、満身の力でギプスを破壊。しかし――
テリアモンのかつてない大きさのブレージング・ファイアで――
やっとデータ化。テリアモン、そのデータをナチュラルにロードしようと一歩前に出ようとするがジェンリャに止められる。
不満げだったが、ジェンがダメっていうならいいや、とあっさり。
これもパンショットだったが、繋げてみた。
タカトはジェンリャとテリアモンのコンビネーションに素直に感銘を受けていた。
するとギルモンが、ぼくたちも頑張ろうと言う。既にギルモンの知性は相当に高まっている。
そしてテリアモンとジェンリャの場合は――
モーマンタイ。
そう、魔法の言葉、モーマンタイ。
#04 Credits
原画:直井正博 長崎重信 細工ひとし 深本泰永 山口泰弘 箕輪 悟
動画:吉川真奈美 下平夕子
背景:松本健治 須和田真 花松裕吾
デジタル彩色:藤田 潮 審良幸司 佐藤道代 戸塚友子
色指定:板坂泰江
デジタル合成:三晃プロダクション 広川二三男 峰岸智子 白鳥智和 井上秀和
編集:片桐公一 演出助手:まつもとただお 製作進行:山下紀彦
美術進行:御園 博 仕上げ進行:浅間洋介